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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 78

「ナンバルゲニア中尉……中尉も中尉ですよ。僕はちゃんと通路を通るように言いましたよね?」 


「言ったっけ?」 


 とぼけるシャムだがじっとりと脂汗が額を流れる。そして自分の言葉が明らかに島田の怒りに火をつけたのが分かって後悔の念にさいなまれた。


「西!テメエ何年ここにいる!」 


 怒鳴りつける島田、両手を握り締め、いつでも西の胸倉を掴みかかれるような体勢で三人をにらみつけている。


「もうすぐ……三年に……」 


「だったらテメエが何を扱ってるかくらいわからねえのか!事故じゃ済まないんだよ!こいつが吹っ飛べば災害なんだよ!もう町一つ消し飛ぶんだよ!それを……見てませんでした?ふざけるな!自分の目が届かないなら監視に新兵捕まえとくとか方法があるだろ!ちっとは頭を使え!」 


 西を怒鳴りつけた後同じく殺気を込めた表情でシャムを見つめる島田。シャムとアンはただその迫力に押されてじりじりと引き下がった。


「中尉……別にここは俺達技術屋の神聖な場所だから土足で入るなとは言いませんよ……でもねえ」 


 一応はシャムの階級は中尉。ましてや遼南では『白銀の騎士』と呼ばれた伝説になるべきエースである。頭から怒鳴りつける勇気は島田には無かった。


「俺達も必死で仕事をしてるんですよ。仕事ってのは中尉達の機体が安全に運行できるようにすべての機材のチェックを行うことなんです。ですからあんまり勝手なことされると……俺だって西を怒りたくて怒っているわけじゃないんですから……その辺分かってくれます?」 


 しゃべりながら半歩ずつじりじり迫ってくる島田の迫力にシャムは思わずのけぞった。


「う……うん分かった」 


「そうですか……わかってくれましたか……」 


 そう言うと島田は身を引いて大きく深呼吸をした。シャムはようやく嵐が過ぎたと言うようにため息をついた。


「一応、このことはクバルカ中佐に報告しますんで」 


「え!」 


 冷静に放たれた島田の言葉に飛び跳ねるようにシャムは驚いた。島田はあまりシャム達のミスを上に報告したりはしない。逆にそのことで自分の直属の上官である技術部長の許明華大佐に怒鳴りつけられている姿もシャムは何度か見ていた。その島田がシャム達の行動をランに報告する。シャムは自分のしたことを悔いながらうなだれたまま島田に敬礼した。


「ハンガーにはそれだけ危険なものがあるんですよ」 


 去っていくシャムとアンの背中に慰めるような島田の言葉がむなしく響いた。



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