表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/151

ナンバルゲニア・シャムラードの日常 77

 周りを見渡す。古参兵の姿は無い。新入隊員達は自分の仕事で汲々としているようで誰もシャムとアンの姿には目も向けていなかった。


「そのまま静かに降りてください」 


 西の言葉にシャムはどうやら自分が降り立った機械が相当やばいものだと察してアンを連れて静かに地面に降り立った。


「あのさあ、西君。これ……何の機械?」 


「知らないで乗ったんですか?」 


 天井を仰ぐ西。そして静かに西がつぶやき始める。


「アサルト・モジュールの主力エンジンの燃料は知っていますよね?」 


「反物質……主にヘリウムから合成した……」 


「そこまで分かっていればいいですよ。反物質が一旦こう言う外界に出て大気中の物質に触れたらどうなります?」 


 うつむき加減でいかにも怖がらせようと言う意図が見え見えの西の言葉に苦笑いを浮かべながらシャムは頭を掻いた。


「わかんない」 


「中尉!大爆発です!対消滅爆発!」 


 つい飛び出したアンの激しい言葉。シャムはとりあえず対消滅爆発が相当なすごいことだと言うことだけは理解して暗い表情の西を見つめた。


「で?」 


「で?じゃないでしょ!そう言う物質を安定化させて保存するのがこの機械です!現在は機体に残ったその反物質の抜き取りをしているわけで……」 


「そう、抜き取りをしているわけ」 


 突然の声に西が振り向く。そこには満面の笑みの島田が立っていた。


「西、貴様はシャムさん達があのパイプを降りてくるのを黙ってみていたわけだな?」 


「班長!自分は……気づかなくて……」 


 西の顔が次第に青ざめる。島田の笑みがどちらかと言えば怒りから発した笑みだと分かってシャムは逃げ出したいと言うように周りを見渡した。


 遠くで吉田が様子を伺っている。助けを求めるべく視線を投げるが吉田はぷいっと背を向けてそのまま詰め所に上がるハンガーへと歩き始めてしまっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ