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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 54

「うるせえ」


 搾り出すような要の声の後に銃声が連続して続く。的確に頭部に着弾する弾丸。そのまま全弾撃ち切ってスライドストップがかかりアイシャは銃を置いた。


「そう言えばシャムちゃん」 


「なに?」 


 突然話題を向けられてシャムは素っ頓狂に答えた。紺色の髪の下の調った目元からいたずらっ子のような目がじっとシャムを見つめている。


「要を呼びに来たんじゃないの?」 


「あ!」 


 アイシャの声に驚いてシャムは時計を見た。あと数分で12時。


「そうだ、要ちゃん。お昼だよ」 


「あのなあ、餓鬼か?アタシは」 


 そう言うと要はそのままテーブルの上に並んだマガジンを乱雑にアルミケースに放り込み始めた。アイシャは満足げに銃から空のマガジンを抜くと静かにガンケースにそれを収める。


「そう言えばカウラも出てきていたわよ」 


 アイシャの何気ない一言が一瞬だけサイボーグに寂しげな笑みを浮かべさせたが、要はそのまま銃をガンケースにしまうと何事も無かったように立ち上がった。


「じゃあ行くから」 


 そう言ってそのまま要は黙って射場から立ち去ろうとする。そんな要に思わずアイシャは肩をすくめていた。


「素直じゃないのね」 


 シャムはそんなアイシャの言葉に冷やりとした。売り言葉に鉄拳制裁。要ならそのまま荷物を捨てて殴りかかる。そう思って間に飛び出そうとしたシャムだが、要はまるで無視してそのまま射場の脇の荷物置き場にあるゴミ箱を軽く殴っただけでそのままシャム達の視界から消えていた。


「本当に大人気ないんだから」 


 アイシャはそう言うとガンケースをレンジのテーブルに置いたまま要が殴った分厚い鉄板で出来たゴミ箱のところまで走り寄るとその表面を撫でた。シャムのところから見ても明らかにへこんでいるのが見て取れた。


「でも進歩したんじゃないかな……」 


「まあうちでは問題児扱いされない程度にはなったわね。他の部隊じゃどうか知らないけど」 


 そう言うとアイシャはゴミ箱の隣で大きく伸びをした。




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