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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 5

「寒い!」 


 吹き付ける北からの季節風にシャムは手に手袋が無いのを思い出した。バイクに乗るときは基本今ジャケットのポケットから出しているライダーグラブをつけるのが好きだった。指は当然剥き出しで、寒さは骨にまでしみる。


「早くしよ」 


 そう言うと佐藤家の軽トラックの荷台の幌の隣においてある自分の愛用のスクーターの隣の猫耳つきのヘルメットを被った。なんとなく暖かくなる顔。フルフェイスなのでこの季節風の中を走るのには適していた。


 空には星が瞬いている。まだ空が白むには早い時間。


 シャムはすぐに遠隔キーでエンジンを吹かす。部隊の整備班がチューンしたエンジンは快調に起動した。


「さてと」 


 小型のバイクだが小柄なシャムにはちょうどいい大きさだった。またがりそのまま蹴りながら道に出てライトをつける。


 目の前を三匹の猫が驚いて駆け抜けていく。


「ごめんね脅かして」 


 そう言うとシャムは早速バイクを始動させた。軽快なエンジン音が眠ったベッドタウンの豊川市の市街地に響いた。遠くでうなりをあげているのは産業道路。シャムは部隊のある産業道路の向こうへとハンドルを切った。


 この町、豊川市の市役所の建物を抜け、そのまま駅へと向かう道を走る。何台かタクシーにすれ違うほかは車の気配はまるで無かった。


「寒いよう」 


 指先の感覚が無くなったりするのを感じながらバイクは走り続けた。そのとき突然ヘルメットの中のイヤホンに着信音が響いた。


「誰?」

 

『俺だよ俺』 


「俺なんて知らないよ」


『ったく誰にそんな言い方習った』


 困ったような声。その主はシャムにもわかっていたので自然とヘルメットの下の顔には笑顔が浮かんでいた。




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