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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 4

 湯飲みを並べ。当然のようにお茶を注ぐシャム。それを見ながらこの家の大黒柱の信二がようやく茶碗に手をつけた。


「でもいつもごめんなさいね。うちは魚屋だから朝早くに起こしちゃって。いつもお仕事で夜遅くまで大変なのに……」 


「お母さん何言っているの!シャムちゃんもこの時間からいろいろすることがあるのよねえ」 


 和美の心配する様子に静香が茶碗をテーブルに置くと遠慮なくシャムに語りかける。


「うん!グレゴリウスと畑が心配だから」 


「畑……本当にうちでは食べきれないくらいもらっちゃって。いいのよ、家賃を半額にしても」 


「だめ!最初に決めたことだから」 


 そう言うとシャムは立ち上がり伸びをする。そのにぎやかな様子に引き込まれたというように奥の部屋から寝巻き姿の信一郎が現れた。


「起きちゃったよ……もう少し静かにしてくれないかな」 


「お兄ちゃんは遅すぎ!いつの間にか部活も辞めちゃって……」 


「辞めたんじゃない。引退したんだよ。それに来月だぞ受験日。それに向けて……」 


「見苦しい言い訳」 


 妹に言うだけ言われてむっとした信一郎はそのままトイレに向かう廊下に消えていった。それを見たシャムはそのままジャンパーを叩いて再び伸びをする。


「ご馳走様!出かける準備をするね」

 

「お茶ぐらい最後まで飲んでいけば……」 


 和美が心配するのに首を振るとシャムは信二から受け取った発泡スチロールの箱を手に再び階段を上った。


「さてと……」 


 部屋に戻ったシャムは部屋の隅の漫画本が並んでいる書庫の隣の小さなポシェットに手を伸ばす。それを開けばポケットサイズの回転式拳銃が収まっていた。


「これでよしと」 


 それを肩にかけるとそのまま再び階段を下りる。


「行ってらっしゃい」 


 トイレから戻った信一郎に声をかけられっると照れながら手を振るシャム。


「行ってくるね!」 


『行ってらっしゃい!』 


 佐藤家の人々の声を受けながらシャムは魚屋の裏口の扉を押し開いた。



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