ナンバルゲニア・シャムラードの日常 31
「うー」
しばらくシャムはレベッカを見つめていた。レベッカは気が弱そうにワイシャツを着ながらもしばらくシャムの方を観察していた。
「どうしました?」
「これ!頂戴!」
そう叫んだシャムがレベッカの胸を揉んだ。
「何するんですか!」
「ねえ!頂戴!」
「無理ですよ!」
シャムをようやく振りほどいたレベッカが眼鏡をかけなおしながらシャムを見つめる。シャムはにんまりと笑うとそのままジャンバーを脱ぎ始めた。
「でも……シャムさんも大きくなれば……」
「大きくならないから言ってるの!」
レベッカの言葉に少しばかり腹をたてたというように口を尖らせながらシャムは着替えを続けた。仕方なくレベッカも黙ってワイシャツのボタンをとめていく。
「そう言えばナンバルゲニア中尉の機体ですが……」
「レベッカちゃん。ナンバルゲニアなんてよそ行きの言い方は駄目!『シャムちゃん』て呼んで!」
ようやく吹っ切れたという笑顔のシャムが上着に袖を通しながらレベッカを見つめた。
「じゃあ、シャムちゃんの機体ですが……あんなにピーキーにセッティングしてよかったんですか?操縦桿の遊びもぎりぎりですよ」
「ああ、あれは隊長の助言だよ。隊長の機体は遊び0でしょ?だから私も真似してみたの」
「そうなんですか……でもこれから調整もできますから。もし必要ならいつでも声をかけてくださいね」
「心得た!」
シャムはそう言うとそのまま制服の上に制服と同じ素材でできた緑色のどてらと猫耳をつけるとそのまま更衣室を出た。