表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/151

ナンバルゲニア・シャムラードの日常 145

「アイツ等も進歩がねーな」 


「それもええんとちゃいますか?」 


 呆れるランをたしなめるようにそう言うと明石は携帯を取り出した。


「なにか?タクシーでも呼ぶのか?ならアタシも乗せてけよ」 


 ランの注文に頷きつつ明石はつながった電話と話し始める。


「ごちそうさまでした!」 


 さっぱりした表情のパーラの礼。明石は軽く手を挙げる。サラもそれにあわせるように頭を下げそのまま駅の方に歩き始める。


「全く、女将さんには頭があがらねーや」 


 ランの苦笑いにシャムも自然と頭を下げていた。そこに急に現われるワンボックス。


「明石、先に失礼するな」 


 顔を出した吉田に電話を握ったまま明石が手を振った。シャムはそのまま車道に出てワンボックスの助手席に乗り込む。


「いいの?もう少しカウラちゃん達がどうなるかとか見て無くても……」 


「餓鬼じゃないんだから自分でなんとかするだろ?」 


 吉田はそれだけ言うと車を走らせる。すでに深夜と呼べる時間だが繁華街を歩く人は多い。多くが頬を赤く染め、機嫌が良さそうに歩き回っている。


「平和だね」 


 シャムの言葉に吉田は静かに頷いた。すぐにアーケードは途切れ、シャッターの閉まった商店街の中へと車は進み、信号で止まる。


「それよりお前の所……静かに入れよな」 


 気を利かせたように吉田が言った言葉にシャムは頷く。今日はそれほど酔ってはいなかった。何となくいつも通りの一日。


 車が走り出すと周りの景色が動き出す。花屋、金物屋、模型店。どれも光るのは看板だけでシャッターは閉まり繁華街のように人が出入りする様子もない。時々見かけるのは会社帰りのようなサラリーマンやOL。誰も彼も取り付かれたように早足でこの商店街から抜け出すように歩いている。


 大通りが見えたところで吉田は車を路側帯に止めた。


「どうしたの?」 


 シャムの問いに弱々しげな笑みを浮かべる。吉田がこういう顔をするときは彼のネットと直結された脳髄になにがしかの情報が入力されていることを意味していた。


「なんでもないさ……私的な……本当に私的な通信だ」 


 それだけ言うと吉田はウィンカーを出して再び車を走らせた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ