ナンバルゲニア・シャムラードの日常 130
「焼けたか?」
「まだみたい」
吉田の問いに答えながらシャムはビールをグラスに注ぐ。
「神前!気を遣えよ!」
「ああ、すいません西園寺さん……ナンバルゲニア中尉……」
「いいよ、もう注いじゃったから」
要の白い目を見て誠を哀れみながらシャムはビールを飲んだ。そこでシャムは今度は誠にどんな話を明石からされたのか聞こうと思った。
「あのね、神前君」
シャムが声をかける。誠はカウラに注いでいたビールを持ってそのままシャムのところまで来た。
「ちょっと待ってね」
ビールを一気にあおってグラスを空にするとシャムは誠にグラスを差し出した。
「しかし、よく飲みますね」
「そうかな?」
シャムはそう言いながら注がれたビールを軽く口に含む。そして誠に立ち直りのきっかけを尋ねようとしたときだった。
いつの間にか誠の隣に来ていた菰田が誠の腕を引っ張る。
「何をするんですか!菰田先輩」
「お前も手伝え。下にシュバーキナ少佐が来てる」
菰田の言葉に誠の顔色が変わる。そしてそのままパーラと小声で話している春子に顔を向けた。
「神前君もお願いね」
春子の無情な一言に誠も立ち上がった。
「ああ、マリアも来てるんだ……」
結局誠に話を聞けなかったシャムは上の空でそう言うとビールを軽くあおった。
「おい、シャム。大丈夫か?」
「何が?」
「鉄板」
吉田の言葉にシャムは驚いて自分のお好み焼きを眺める。少しばかり焦げたような臭いが鼻を襲った。
「やっちゃった!」
シャムは叫ぶとへらでひっくり返す。焦げが黒々とシャムの三倍エビ玉を覆い尽くしていた。