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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 11

 嵯峨のタバコが赤く光りだすと同時に空が白んでいくのがわかる。


「日の出だね」 


 シャムの言葉に一時食べるのを止めたグレゴリウスがシャムを見つめた。


「もう!かわいい!」 


 そう言うとシャムは巨大な熊の頭にしがみついた。うれしそうに舌をだして喜ぶグレゴリウス。それを眺めながらのんびりと嵯峨はタバコをくゆらせた。


「しかし……この状況がいつまで続くんですかね」 


「俺のこと心配しているのか?いい部下を持ったもんだなあ」 


「そんなことないですよ。法術がらみのごたごたの話です」 


 嵯峨の様子を見ながら吉田がつぶやく。それには嵯峨は答えるつもりはないというように上空にタバコの煙を吐き出した。


 そんなシャム達に近づく影があった。


 金髪の耳まで見えるようなショートヘアーの女性仕官。整った顔に浮かぶ二つの青い瞳の鋭さがその人物がそれなりの修羅場を経験した戦士であることを印象付ける。


「おはようございます、大佐」 


 いったん軽くとまった女性仕官、マリア・シュバーキナ中佐はまるで敬意のこもっていない敬礼を嵯峨にするとそのままグレゴリウスが食事をするのを眺めているシャムの隣にまで来た。


「ああ、マリアお姉さん。何?」 


「昨日頼まれていた件だ。残したのは16名だ」 


 マリアの話にシャムはしばらく天を見上げた後思い出したというように手を打った。


「ああ、畑仕事のお手伝いね。ありがとう。でも……」 


「ああ、古株の連中は家畜小屋の掃除をさせてる。まあ軍警察関係者がヤギに引っ掛けられて労災だって訳にはいかないからな」 


 そう言うとようやくその戦いの女神というような硬い表情に少しばかりやわらかい笑みが浮かんできていた。



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