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ナンバルゲニア・シャムラードの日常 109

「まあいいや……」 


 要は黙ってサードの位置に戻ってきたアイシャをにらみつける。アイシャはふてくされたように取ってきたボールを要に投げ返した。


「よろしく頼むわね」 


 不適な笑みを返すアイシャ。要は大きくため息をついて自分を落ち着かせると今度は大きなバウンドの打球をアイシャの前に転がした。


 長身を弾ませてバウンドにあわせて捕球するとすぐさま鋭い送球をヤコブに送る。当然のようにヤコブはそれをこぼす。


『ラビン伍長!』 


 要とアイシャの言葉がシンクロして闇に浮かぶグラウンドに響いた。ミットで叩き落して地面に転がるボールを苦笑いを浮かべながら拾い上げるラビン。それの反省が無い顔に頭に来たのかアイシャがづかづかと一塁ベールに詰め寄っていく。


「止めなさいよ」 


 思わず飛び出したサラがアイシャを抑えた。シャムがホーム上を見ればこちらも切れそうな表情の要が仁王立ちで一塁ベースのヤコブをにらみつけている。


「なんやねん。ええ加減にせんといかんで」 


 そこにタイミングよく明石が誠と岡部、カウラをつれて現れた。


「ええ加減も何も……いくら内野がとってもファーストがあれじゃあ……」 


 要は明石にヤコブを指差して愚痴る。そんな様子に相変わらずの笑みで明石は要の肩を叩いた。


「いいか、西園寺。ワシ等は楽しみで野球をしとるわけや。隣の菱川重工のようにプロを目指しとるわけやない。エラーは関心せえへんが素人のやることや。いちいち目くじらたてとったら体に悪いで」 


 そこまで言うと明石はグラウンドを見回した。外野の菰田達はだるそうに遠投を続けている。他の部員達もそれぞれにやる気がなさそうにキャッチボールなどを続けていた。


「あかんなあ……集まれや!」 


 明石の一言。それまでやる気がまるで見られなかった菰田達が明石の声を聞くやいなや一斉に走り出した。シャムもまたそんな雰囲気に呑まれて一緒にホームにたどり着く。


「おい、タコ。なんなら監督やるか?」 


 要は自嘲気味の笑みを浮かべながら明石を見上げた。明石はヘルメットを取ってはげ頭をさすりながら拗ねた調子の要を見下ろす。


「ワシは所詮は部外者や。何も助言できることなんてあらへん」 


 そう言い切るとまわりに集まってきた部員達を見回す明石。その顔は自信に満ちていて見るものを安心させる何かがある。シャムはそう思いながら彼を見上げていた。




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