~another story~1 マシュマロ奥さんと新婚旅行(前編)
俺は幼馴染と結婚した。優しくて……可愛くて……食いしん坊で……
マシュマロみたいに柔らかい幼馴染。
むにっ……そうそうこれこれ。この柔らかさが穂乃花の一番好きな……
「優!」
突然の声に目を開けると、目の前にはマシュマロみたいに柔らかい幼馴染―――
穂乃花が優の体に跨っていた。
前を見ると、優の両手が穂乃花のお腹に触れている。
「起きて!」
「……」
むにっ。
「こら!」
「いやだって触れてるから……」
「触れなかったらいいでしょ!」
パシッ!と両手を叩き落とす。
「早く起きて!」
「ちょっ……あんまり揺れないで……苦しい……」
「なら起きて!」
「簡便してくれよ……今日休み……」
「だからこそうちに構って!」
穂乃花がまた揺れ始める。
「ぐっ……わかった……わかったから揺れるなって……」
「よし」
穂乃花がどくと、優が起き上がる。
「朝ごはんできてるから早く……」
突然後ろから優が抱きしめる。そしてお腹を揉む。
「こら……お腹揉まないで……」
「仕返し」
「朝ごはん食べないの……?」
「堪能してから」
「えぇ……」
その後、優は満足そうな表情で朝食を食べていた。
「やっぱり満足した後の朝食って美味いな」
「……それで味が変わるわけないでしょ」
「これが変わるんだって。マジで」
「変態!」
「変態じゃなくてフェチって言ってくれよ」
二人が言い合った後、穂乃花がもじもじしながら口を開く。
「優……あのさ……うちら……結婚したじゃん?」
「うん」
「だから……その……そろそろしたいなって……思って……」
「……!」
驚きのあまり、喉を詰まらせる。
「ちょっと!大丈夫⁉」
「はぁ……はぁ……大丈夫……」
「それで……どうかな?」
ゴクリと唾を飲みこむ。
「俺は……穂乃花が望むなら……いいけど……」
「……!本当?」
「あぁ……でも穂乃花は大丈夫なのか?」
「うん。調整すればいけるよ」
「じゃあ……今日……するか?」
それを聞いて、穂乃花が驚く。
「今日⁉いきなり過ぎない⁉」
「じゃあ……明日とか?」
「待って待って。新婚旅行ってそんなに早くするものなの?」
「……えっ?」
優がぽかんとなる。
「新婚……旅行……?」
「何鳩が豆鉄砲喰らったような顔してるの。最初からその話してるじゃん」
「あぁ~……そっちをしたいのか……」
「何と勘違いしてたの?」
優が恥ずかしそうに耳打ちすると、穂乃花の顔が真っ赤になる。
「いやそれは……確かにそうとも捉えられる言い方だったかも……」
「恥ずかしそうに言うし」
「だって!自分から言うの恥ずかしいもん!」
「旅行の提案を恥ずかしがる必要ないだろ」
「新婚旅行と旅行は別なの!」
穂乃花が頬を膨らませる。そして、自分のお腹を見つめる。
「……」
お腹に触れる。柔らかい。ぷにっとしてると自分でも思う。
そして、ゆっくり撫でる。
(まだいない……だけど……)
チラッと優を見る。
「……?穂乃花?」
「……何でもない。それより新婚旅行!どこ行く?」
「そうだなぁ……海外でも行くか」
「海外!」
イギリスのスコーン……イタリアのピザ……スペインのパエリア……
想像するだけで涎が垂れそうだ。
「……食べ物想像してるだろ」
「し、してない!」
「食いしん坊」
「だからしてない……って食いしん坊じゃないもん!」
二人で話し合った結果、行先はイタリアに決まった。
羽田空港でスーツケースを運んで、ワクワクしている穂乃花が優の方を見る。
「優!早くしないと間に合わないよ?」
「分かってるって」
二人の新婚旅行が始まろうとしていた。
[あとがき]
本日より、『マシュマロが好き』の復活連載を開始します!
新婚旅行編(時系列が75話~76話の間)と家族編(時系列が最終回の続き)の2編で構成します。短期連載の予定ですが、火曜18時不定期更新で連載していきます。
優と穂乃花の物語にもう一度お付き合いしていただけると嬉しいです。
今後の『マシュマロが好き~another story~』をお楽しみください!
鵲三笠




