~外伝11~ マシュマロ彼女と新年最初の出会い
新年となり、優が神社で待っていると、穂乃花がやって来た。
「優!あけましておめでとう!」
「あけましておめでとう。穂乃花」
「今年もよろしくね!」
「こちらこそ」
「じゃあ行こっか!」
「あぁ」
二人はお賽銭に小銭を入れると、鈴を鳴らして二回拍手する。
(今年も優と一緒にいれますように)
(今年も穂乃花と仲良くやっていけますように)
それぞれ願いを心で言うと、お辞儀をして神社を出る。
「何お願いしたの?」
「秘密」
「気になるなぁ~」
二人がしばらく歩いていると、穂乃花が寂しそうに口を開く。
「もうすぐ卒業だね。うちら……」
「そうだな」
「卒業したら美咲とも……ちーちゃんとも会えなくなっちゃう……」
「連絡取れば会えるだろ」
「そうだけど……いつも一緒にいるのが当たり前だったから……」
穂乃花の沈んだ表情を見て、優は頭を撫でる。
「俺にはいつでも会えるだろ?それに専門学校でも友達を作ればいいだろ」
「……できるかな?」
「できるって。穂乃花は優しいし、可愛いからな」
それを聞いた穂乃花の顔が赤くなる。
「可愛いって言わないで……」
「事実なのに?」
「もう……」
穂乃花は恥ずかしそうにしながらも、嬉しさを感じていた。
「ねぇ。屋台やってるしさ、甘酒買いに行かない?」
「よし。買いに行くか」
二人は手を繋ぐと、屋台に向かって歩き始めた。
甘酒を買うと、人通りが少ない場所に移動して飲み始める。
「体が暖かくなるね」
「そうだな」
穂乃花が空を見上げると、雪が振り始める。
「高校に入ってからの三年間……色々あったね」
「本当だな。たくさんの出来事があったのに時間が経つのはあっという間だな」
優は穂乃果との出来事を思い出す。
『お願い優!うちが秋風先輩と付き合えるように協力してほしいの!』
聞いた時は凄くショックを受けたことを覚えている。
優にとって、遠く離れた存在の空を好きなのだったから……
それでも穂乃花を諦めることはできなかった。
『先輩!』
『なんだ?』
『勝負しませんか?』
『勝負?』
『体育祭では毎年、全学年共通種目の借り人競争がありますよね。それにお互い出場し、お題の答えが穂乃花になった方が告白する』
『……なぜそんな勝負わざわざ仕掛ける?』
『先輩に勝ちたいからです』
結果……勝負には負けてしまった。
穂乃花の所に移動している途中で足を怪我してしまい、保健室に運ばれた。
悔しいけど、これで穂乃花が幸せになれるなら……
この時はそう思っていた。
『で?借り人競走、先輩が選んでくれたんだろ?』
『うん』
『お題は何だったんだ?』
『分かんない』
『……え?分かんないって……お題聞いてないのか?』
『うん。だって先輩とゴールしてないから』
『なんで……』
『なんでって……優が心配だからに決まってるでしょ?』
『ふざけるなよ!』
優の怒号に穂乃花がビクッとする。
『先輩は穂乃花のこと好きだったんだぞ!穂乃花とゴールしてそこで告白するつもりだったと思うのに……なんで俺のところに来るんだよ!』
保健室がシーンと静まる。
『そう……だったんだ……』
お互いの間に気まずい空気が流れる。
『ありがとう優。うちのこと思って言ってくれて。でももういいんだ』
『え?』
『確かにうちは先輩のこと好きだったけど……でも気づいたんだ。大切なものに』
穂乃花が優の両手を握る。
『うちが彼女じゃダメ……かな?』
あの時の顔を忘れたことはない。今でも思い出せる。
「どうしたの優?うちの顔に何かついてる?」
「ううん。穂乃花が彼女でよかったなって」
「どうしたの急に?」
「思ったらダメなのか?」
「それを言うなら……優が彼氏でよかったなって思うよ?」
「一緒だな」
お互い微笑み、新年の最初を楽しんだ。




