~外伝8~ マシュマロ彼女とハロウィン
とある日の朝。優と穂乃花が登校していると、近所は装飾している家ばかりだった。
「うちらの近所、皆飾ってるね」
「ハロウィンだからな」
「ねぇねぇ。夜、優の家に行っていい?」
「いいけどなんで?」
「お菓子もらいに行きたいな~」
「食いしん坊に渡すお菓子はないよ」
「食いしん坊じゃないもん!」
穂乃花は怒ったように優の両肩をポカポカと叩く。
「わかったわかった。用意しておくよ」
「やった~!」
教室に入ると、旭が両手を前に出してきた。
「|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》!」
「ないぞ」
「なんでないんだよ!いつも持ってきてるくせに!」
「今日は持ってきてないよ。全部穂乃花にあげるから」
「そんなぁ……咲人!|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》!」
「ない」
「そんなぁ~!」
旭はしょんぼりと肩を落とした。
一方、穂乃花のクラスもハロウィンムードになっていた。
「美咲ちゃん!|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》!」
「しょうがないわね」
美咲はラムネを手に何個か出し、千秋に渡す。
「やった~!」
「美咲。うちにも頂戴!」
「ちょっとだけよ」
「ありがとう!」
千秋と穂乃花はラムネに口に入れる。
「千秋、穂乃花。|お菓子をくれないとイタズラするよ?《トリックオアトリート》」
「もちろん!はいっ!」
千秋はグミキャンディを渡す。
「穂乃花は?」
「え、え~と……お菓子持ってきてない……」
「まさか……貰おうとしただけじゃないでしょうね?」
図星なのか、ピクッと反応する。
「穂乃花~!」
「ごめんなさ~い!」
夜。穂乃花は魔女のコスプレ衣装に着替えた。
「いってきま~す」
家を出ると、子供たちが近所の家にお菓子を貰いに行っていた。
(皆、お菓子貰って嬉しそう……)
微笑ましく見つめていると、子供たちと目が合う。
「お姉さん!|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》!」
「は~い。順番に配るからね」
穂乃花は一人ずつお菓子を渡す。
「お姉さんありがとう!」
「どういたしまして」
穂乃花は嬉しそうにお菓子を受け取る子供たちを見て笑顔になる。
「お姉さん僕にも!」
「私にも!」
他の子供たちが大勢集まる。
「ちょっと待ってね。皆」
穂乃花は鞄を広げて、お菓子を取り出した。
ピンポン!と優の家のインターホンが鳴る。
「は~い」
優がドアを開けると、穂乃花が立っていた。
「|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》!」
「はい、どうぞ」
優が大量のお菓子を渡す。
「こんなに……ありがとう!」
「食いしん坊には十分な量だろ」
「食いしん坊じゃないもん!」
優は頬を膨らませた穂乃花の頭を撫でる。
「とりあえず上がれよ。コスプレの写真も撮りたいしさ」
「しょうがないなぁ」
部屋に入ると、優は穂乃花の写真を撮る。
「これ待ち受けにしていい?」
「ダメ!」
穂乃花が恥ずかしそうに拒否する。
「じゃあ|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》」
「ちょっと待ってて……」
穂乃花が鞄を漁っていると、ピタッと動きを止める。
「ごめん優……お菓子なくなっちゃった……」
「なんでだよ?」
「子供たちが欲しがったから……配りすぎちゃった……」
「……」
優は黙ったまま、穂乃花に近づく。
「優?」
「言ったよな?|お菓子をくれないとイタズラするぞ《トリックオアトリート》って」
優は穂乃花をベッドに押し倒す。
「別にお菓子はなくていいけど、トリックオアトリートって言ったからにはイタズラしないとな」
「ま、待ってよぉ……」
優にイタズラされて、お菓子なくてよかったと思ったのは秘密である。




