~外伝2~ マシュマロ彼女に甘えたい
とある日。教室で面談が行われていた。
「……えっ?」
面談を受けていた優は担任の一言に衝撃を受けていた。
「わかったかい?この成績じゃ推薦条件を満たせない」
「じゃあ……推薦は受けられないってことですか?」
「今のままではね。でも次の期末……これが今後の進路を決める上で重要になる。期末で高得点を取れば、推薦条件は満たせる。高得点でなければ……」
優は唾を飲みこむ。
「普通に受験するしかないよ?」
「そんな……」
面談後、優は穂乃花の家を訪れていた。
「頼む!期末で点数取らないと受験勉強しないといけなくなる!俺に教えてくれて!」
優は頭を下げた。
「いいけど本当に真面目に勉強するの?」
「するよ!だから頼む!」
「……いいよ。でも条件がある」
「条件って?」
「うちのお腹を触らないこと。キスしないこと。エッチしないこと」
「え……」
優がポカンとする。
「あとハグも禁止」
「えぇぇぇぇぇ⁉なんで⁉」
「うちに甘えて勉強しなくなるでしょ?だから期末が終わるまでダメ!」
「そんなぁ……」
「受験勉強したいならいいけど?」
「……わかった」
優は悲しそうにうなづいた。
翌日の朝。いつものように穂乃花が優を起こしにきた。
「優。起きて」
「う~ん……」
優が目を覚ます。
「あと5分だけ……」
「じゃあ5分経ったら起こしに来るね」
「えっ……抱き枕になってくれないの?」
「約束したでしょ?期末が終わるまでハグは禁止」
「朝ぐらい頼むよぉ」
「ダメ!それより5分経っちゃうよ?」
「起きる!起きるから!」
優は起き上がると、洗面所に向かう。
(なんだよケチ……)
優は頬を膨らませた。
家を出ると、穂乃花は優の隣に並び、歩き始める。
「なぁ……」
「何?」
「手……繋がないのか?」
「うん」
「手繋ぐのもダメなのか⁉」
「だって……繋いだら優に甘くなっちゃうから……優の為に我慢してるんだよ?」
「だったら俺の為に手繋いでくれ」
優が手を伸ばす。
「でも……」
「繋ぐぐらいいだろ?」
「……」
穂乃花は少しの間迷ったが、伸ばしかけていた手を引っ込めた。
「やっぱりダメ!」
「えぇ……」
普段通りの学校生活が始まったが、朝から優はイライラしていた。
「~~~!」
「どうした優?」
咲人が声をかけると、優は大声で訴える。
「穂乃花とイチャイチャしたい!」
「はぁ?」
「辛いよ……ハグも……キスも……お腹触るのも……手を繋ぐのもダメなんて……耐えられない!」
「どういうことだよ?」
優は咲人に事情を説明する。
「まぁ……それは雪宮が正解だな」
「なんで⁉」
「雪宮と二人きりになったら優は勉強に集中できねぇだろ」
「そんなこと……あるな」
今思えば夏休みの宿題や冬休みの宿題をやる時も……そっちのけでイチャイチャしてた気がする……
「期末終わるまでなんだろ?少しなんだから我慢しろ」
「無理だ。約束してまだ1日経ってないのに我慢できねぇんだぞ。この状態が続いたらどうなるか……」
優は何かを思いついた顔をする。
「そうだ!咲人が教えてくれよ!そうすれば……」
「勘弁してくれ。俺も内部進学するために期末は点数取らないといけねぇんだよ。バカに構ってる暇はない」
「バカってなんだよ!バカって!」
「とにかくそんなに我慢できないなら勉強でもして気を紛らわせるんだな」
「そんなぁ~」
咲人は落胆した優を無視して、自分の席に戻った。
学校が終わると、優は穂乃花の家で勉強を始める。
「穂乃花。ここわかんない」
「どれ?」
穂乃花は優が解いていたワークを覗き込む。
「ここはこの前の公式を使って……」
穂乃花は丁寧に説明する。
「……で、こうすると答えが出る。わかった?」
「わかった。凄く分かりやすい」
「じゃあ後は一人で頑張って」
穂乃花は自分の勉強を再開する。
(あぁ……イチャイチャしてぇ……)
真剣な表情で勉強している穂乃花を見るとドキドキする。
(ダメだ……一日でも我慢できねぇ……)
優は立ち上がり、穂乃花の元に近づく。
「優?」
「……」
優は座ると、穂乃花をギュッと抱き寄せる。
「ちょっと優……」
「ごめん……俺、無理だ」
優は穂乃花の唇にキスをした。
「優……んっ……」
穂乃花が何かを言おうとすると、唇で塞ぐ。
唇を離すと、お互いドキドキしながら見つめ合う。
「約束破った……」
「結構我慢したんだけど……限界だった」
「うちも我慢してたのに……」
優は穂乃花をギュッと抱きしめると、お腹に手を伸ばす。
「休憩しよっか」
「うん……」
この後、結局休憩時間が長くなってしまったのはここだけの話。
翌日、穂乃花がさらに厳しくなり、勉強漬けになってしまうことを優は知らない。




