第77話 マシュマロ奥さんの家族生活(最終回)
とある日の昼。穂乃花はスーパーで買い物をしていた。
「今日のご飯は何にしようかな?」
品物を見ながら何にしようか迷う。
「今日は休みだし、ちょっと豪華な料理にしちゃおうかな?」
優に伝えたいこともあるしね。
家に帰り、キッチンに立つと、エプロンを着用する。
「よし!今日も作っちゃうぞ!」
穂乃花はレタス、トマト、パプリカを包丁で切る。そして、鶏もも肉を切っていく。
「次は……」
卵を割ってボウルに投入すると溶いていく。溶き終わると、フライパンに投入する。
予め、炊飯器で炊いたお米を桶によそい、寿司酢と椎茸の煮物を入れて混ぜる。
「そろそろ優から連絡くるかな?」
スマホをチラッと見ると、タイミングよく電話がかかってきた。
「は~い!お疲れ様!」
『今から帰るけど何か買い物ある?』
「今日休みでスーパー行ってきたから大丈夫!」
『わかった』
「晩御飯楽しみにしてて!」
『おう!お腹空いたから楽しみだな~』
「じゃあまたね!」
電話が終わると、穂乃花は夕食の準備に戻る。
「優……喜んでくれるかな?」
「ただいま~」
「おかえり~!」
穂乃花が嬉しそうに抱きつく。
「おっと!今日はご機嫌だな。何かあったか?」
「それは晩御飯までお楽しみに」
「なんだよ……気になるなぁ~……」
「早く手を洗って。ご飯食べるよ!」
「は~い」
洗面所で手を洗うと、机には豪華な料理が並べられている。
「お~!今日は豪華だな」
「張り切って作り過ぎちゃった」
「全部美味しそうだな」
二人は席に座り、手を合わせる。
「「いただきます」」
優は取り皿に唐揚げ、ちらし寿司をよそう。
「それで?何があったんだ?」
「これを見てほしいんだけど……」
穂乃花が取り出したのは、小さな箱だった。
「これ何?」
「開けてごらん?」
優が箱を開けると中に妊娠検査薬が入っていた。
よく見て見ると判定窓に線が入っている。
「これって……」
「赤ちゃんできちゃった」
穂乃花が嬉しそうに微笑む。
「本当……?」
「うん!」
優は立ち上がり、穂乃花の両手を握る。
「産んでくれるの?」
「もちろん!うちと優の子供だもん!」
優は嬉しそうに穂乃花を抱きしめる。
「ありがとう!凄く嬉しい!」
「よかった」
「俺、頑張るから。仕事も子育ても」
「頼りにしてるよ?優。それともパパって呼んだ方がいいかな?」
「そうだな……俺、この子の父親になるんだもんな」
優は愛おしそうに穂乃花のお腹を撫でる。
「まだ日が浅いから柔らかいね」
「やめてよ……恥ずかしい……」
そう言いながらも穂乃花は嬉しそうだった。
2年後。小さな女の子がベッドの上に乗った。
「パパ!起きて!」
「う~ん……」
父親の起きる気配が全くない。女の子は頬を膨らませる。
「パパ~!」
女の子は布団をめくりあげる。
「早く起きて!」
「もうちょっとで起きるから……」
「もういい!」
女の子は拗ねて、母親のところへ向かう。
「ママ~!パパが全然起きない!」
「ママが起こしに行くから、稲穂は朝ごはん食べてて」
「は~い!」
稲穂は席に座り、トーストをパクッと咥える。
母親は寝室に向かい、父親の体をトントンと叩く。
「優。もうすぐ出る時間だよ?」
「う~ん……」
「しょうがないなぁ……」
穂乃花は優の体の上に乗る。
「うぐっ!」
「起きて」
「重い……」
「女の子に向かってそんなこと言うのよくないよ?」
穂乃花は頬を膨らませる。
「あと5分だけ……」
「もう5分経ったからダメ」
「走って行くから……」
「……それで間に合う?」
「うん」
「しょうがないなぁ……」
穂乃花は優の隣に転がる。
「穂乃花……」
優は穂乃花をギュッと抱きしめる。
「あれ?もしかして太った?」
「え?なんで分かったの?」
「肉感がいつもと違う……」
「肉感って言わないで!」
穂乃花は優の頭を叩く。
「もういい!早く起きて!」
「そんなぁ~……」
「起きないと今日はハグ禁止!」
「それは困る!」
優は慌てて起き上がった。
「よし……稲穂。保育園行くよ?」
「は~い!」
稲穂が優の手を握って玄関に移動する。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
穂乃花は見送ると、鞄を持つ。
「うちも急がないと……」
忘れ物がないか確認して、穂乃花も家を出た。
(今日も天気いいなぁ~)
穂乃花は眩しそうに青空を見つめる。
(次の休みは家族でピクニックにでも行きたいなぁ……)
そう思いながら、駅に向かった。
お昼。光星学園大学でとある女子大学生が授業が終わり、ノートを鞄に直していた。
「結衣!今日カラオケ行かない?」
「ごめん!今日バイト!」
「そっかぁ……残念」
「また今度ね!」
結衣は鞄を持ち、教室を出る。
「結衣ってどこでバイトしてるの?」
「確か駅前で人気のカフェだった気がする。名前は確か……」
結衣はバイト先の業務員用のドアを開き、中に入る。
「こんにちは!」
結衣が挨拶すると、店長の穂乃花が振り返る。
「こんにちは。結衣ちゃん」
ここは、最近オープンして平日でも行列ができるカフェ―――
「ここのカフェ凄く美味しいんだよ?」
「へぇ~!確かに行列できてるもんね」
「私、ここより美味しいケーキ食べたことないんだから!」
皆は口を揃えてこう言う。『|marshmallow』が好きと。
おしまい。
[あとがき]
本編はこれで完結ですが、今後は第三部として描く予定だった『三年生編』を『外伝』として連載します。(このシリーズで連載します)
改めて、『マシュマロが好き』を読んで頂きありがとうございました!
鵲三笠




