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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第三部

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第75話 マシュマロ幼馴染との結婚式

とある日曜日。海辺の結婚式場には多くの人が集まっていた。


「やっほ~美咲ちゃん!久しぶり!」


千秋が受付を担当していた美咲に声をかけた。


「久しぶり。相変わらず元気ね」

「だって穂乃花ちゃんが結婚するんだもん!全力でお祝いしないと!」

「お願いだから大人しくしておいてよね」


そう言って、千秋に席次表を渡す。


「じゃあまた後で!」


千秋は手を振りながら去って行った。


「お久しぶりです」


続いてやってきたのは後輩の和夫と紗也加だ。


「久しぶりね。会うのいつぶり?」

「先輩たちが卒業して、高校に遊びに来てくれた時以来ですね」

「そっか……結構経つわね」


美咲が紗也加の顔を見ると、紗也加はビクッとする。


「……元気?」

「は、はい!元気です!」

「これ席次表」

「ありがとうございます」


美咲と別れると、紗也加はドキドキしながら歩く。


「緊張した~……なんで来てるんだって言われるかと思った……」

「濱野先輩はそんなこと言わないよ」

「でも私……山城先輩と雪宮先輩にひどいことしちゃったし……やっぱり来ない方がよかったんじゃ……」

「そんなことない。来てほしくなかったら招待状を送ったりしないよ」

「でも……」

「それに山城先輩が言ってたよ。今まで自分と関わってくれた人にお祝いされたいって。紗也加ちゃんもあの時以来、素晴らしい後輩マネージャーになったって」


和夫が紗也加の手を握る。


「誰も紗也加ちゃんのこと怒ってないから大丈夫」

「ならいいけど……」



「さて結構人が集まったかな」


美咲が芳名帳を確認していると咲人と旭がやってきた。


「間に合った!ギリギリセ~フ!」

「おい。道分かるって言うからお前についていったのに……全然違うだろ」

「ごめんごめん!」


旭は軽く謝ると、受付に来た。


「やっほ~美咲ちゃん!」

「……丁度受付終わろうとしたところだから間に合ってよかったわね」

「本当にな!」

「おい」

「悪かったって咲人!」


二人はご祝儀を渡すと、美咲から席次表を受け取る。


「これからは気を付けなさいよ」

「おう!」

「本当に大丈夫か?」


咲人は旭の軽い返事に呆れてしまった。



参列者が揃うと、牧師が前に出る。


「皆さま、本日はお忙しい中、新郎 山城優やましろゆうさん、新婦 雪宮穂乃花ゆきみやほのかさんの結婚式にお集まりくださり、誠にありがとうございます。

今ここに、神と皆さまの前で、この二人が結婚の誓いを立てるために集いました。

この特別な日を迎えられたことを、主に感謝しつつ、心よりお祝い申し上げます。

それでは、これより山城優さんと雪宮穂乃花さんの結婚式を、厳かに、そして喜びと感謝をもって執り行ってまいります。

皆さま、どうぞお心を静め、温かく見守ってくださいますようお願い申し上げます」


参列者が牧師を見つめる。


「いよいよ、山城優さんと雪宮穂乃花さんの新たな人生の第一歩が始まります。

最初に、新郎 山城優さんが入場いたします。どうぞ皆さま、心を込めた拍手でお迎えください」


白いスーツを着た優がゆっくりと入場すると、参列者が拍手で迎える。

聖壇前に優が立つと、牧師が言葉を続ける。


「続いて、新婦 雪宮穂乃花さんがご入場されます。どうぞ皆さま、あたたかくお迎えください」


ウェディングドレスを着た穂乃花が父親と共に入場すると、参列者が拍手で迎える。父親が穂乃花の元を離れると、穂乃花は優の元へと歩いた。


「山城優さん、あなたは雪宮穂乃花さんを妻として迎え、喜びも悲しみも、健康な時も病める時も、富める時も貧しい時も、愛し、慰め、尊び、生涯を共にすることを誓いますか?」

「誓います」

「雪宮穂乃花さん、あなたは山城優さんを夫として迎え、喜びも悲しみも、健康な時も病める時も、富める時も貧しい時も、愛し、慰め、尊び、生涯を共にすることを誓いますか?」

「誓います」

「では、皆さまの前でこの誓いを立てられましたことを心から喜び、祝福いたします。それでは、お二人は互いの愛の証として、この指輪を交換いたします。

この指輪は、途切れることのない永遠の愛のしるしです。山城優さん、どうぞ雪宮穂乃花さんの指にこの指輪をはめ、誓いの言葉をお唱えください」


優は牧師から指輪を受け取り、穂乃花の薬指にはめようとする。


「私はあなたを愛し、尊び、生涯を共にすることを誓います。この指輪をあなたの指に贈り、永遠の愛のしるしとします」


薬指に指輪をはめると、輝いて見えた。


「それでは、新郎 山城優さん、ご新婦 雪宮穂乃花さんのベールをお上げください。これは、これから新たな人生を共に歩む二人の始まりを象徴する大切な瞬間です」


優がベールを上げると、愛する人の顔が露わになる。


「これより、山城優さんと雪宮穂乃花さんは夫婦としての誓いを表すキスを交わします。どうぞ皆さま、温かい拍手でお祝いいただければと思います」


穂乃花はキスを待つようにゆっくり目を閉じる。優はゆっくりと顔を近づけ、キスをした。すると、参列者からの温かい拍手が式場に響いた。


「これより、法律上の夫婦となるために、新郎、新婦に婚姻届への署名をしていただきます。お二人が今ここに結ばれた証として、心を込めて署名をお願いいたします」


二人は婚姻届に自分の名前を書いた。


「あなたがたはお互いを愛し、敬い、人生の喜びも悲しみも分かち合うことを誓われました。

これをもって、神の前に夫婦として結ばれたことを、ここに宣言いたします。どうぞ皆さま、大きな祝福の拍手をもってお二人をお迎えください」


参列者の拍手が響く。


「本日はお忙しい中、優さんと穂乃花さんの結婚式にご参列いただき、誠にありがとうございました。これより、お二人は新たな人生の第一歩を踏み出されます。

どうか皆さまも、お二人のこれからの歩みを温かく見守り、支えてくださいますようお願い申し上げます。皆さまの上に、神の豊かな祝福と平安がありますように。

これをもちまして、結婚式を閉じさせていただきます。どうぞ皆さま、ご起立いただき、拍手で新郎新婦のお二人をお送りください」


参列者が退場する二人に向かって拍手をした。



披露宴になると、優は咲人たちのところへやってきた。


「皆久しぶりだな!」

「結婚おめでどう優!」

「おめでとう」

「来てくれてありがとな」

「当たり前だろ!俺たち友達だし!」


話をしていると後ろから声をかけられる。


「山城君」

「……!秋風先輩!」

「結婚おめでとう」

「ありがとうございます!すみません。わざわざ時間を割いてもらって……」

「後輩の結婚はめでたいことだから気にしなくてもいいよ」

「それにしてもすごいですね!プロ野球でも好成績じゃないですか!」

「大学で頑張ったかいがあったよ」

「後でサインくださいよ!」

「もちろん」


空はチラッと穂乃花の方を見る。


「穂乃花ちゃんも幸せそうな顔してるね」

「あの笑顔が俺にとって大事な心の支えですから」

「幸せにしてあげてね」

「はい!」



一方、穂乃花は美咲たちと話していた。


「穂乃花ちゃん!結婚おめでとう!」

「ありがとうちーちゃん!」

「まさか穂乃花に先を越されるとはねぇ……高校生の頃から分かってたけど」

「美咲ももうすぐ大和さんと結婚するんじゃないの?」

「どうだろう……大和って何考えてるかわからないから」

「いいなぁ~私も彼氏欲しいなぁ~」


千秋が羨ましそうに穂乃花と美咲を見つめる。


「ちーちゃんは可愛いし、優しいからきっと見つかるよ!」

「そうかな~?」


穂乃花はある人物を見つけると、美咲たちから離れる。


「ちょっと行ってくる!」

「穂乃花ちゃん⁉」


千秋は頬を膨らませる。


「そう怒らないでよ。穂乃花は新婦だから話す人が多いのよ」

「そうだけどさぁ~……」


千秋は不満そうにお酒を飲んだ。



「紗也加ちゃん」


ビクッと紗也加が振り返ると穂乃花が立っていた。


「雪宮先輩……」

「来てくれてありがとう」

「え~と……ご結婚おめでとうございます!」


紗也加が頭を下げる。


「ありがとう。大石君とは順調?」

「はい……あっ!和夫なら向こうにいますよ?」

「その前に紗也加ちゃんに話したいことがあるんだ」

「えっ?」


紗也加は身を構える。もしかしてあの事を責められるんじゃ……

でも自分のしたことだ。どんなことを言われても仕方ない……


「うちね、紗也加ちゃんがマネージャーで入った時……凄く不安だったんだ……」

「……!」

「紗也加ちゃんってうちより可愛いからさ、あの時優は断ったけど……いつかうちを捨てて紗也加ちゃんを選ぶんじゃないかって……」

「……正直に言うと私が振られた時、まだ山城先輩を諦めていませんでした。なんで自分じゃなくてこの人なんだろうって……ずっと思っていました。雪宮先輩よりも私の方が彼女としてやっていける自信があったから」


紗也加は当時を思い出す。優と穂乃花が仲良く、楽しそうに喋るところを。


「でも……私がそう思ってもダメなんです。山城先輩は雪宮先輩がいい、雪宮先輩が彼女じゃないとダメなんだって……私が努力しても山城先輩の気持ちを動かすことはできない。だから、別れさせるしかない。そう思ったんです」


渋谷で優と穂乃花が喧嘩した時、紗也加は心の奥底で笑っていた。


「これで山城先輩と付き合える。そう思っていたけどダメだった。私がどんな手を使っても山城先輩と付き合うことはできなかった……」

「紗也加ちゃん……」

「凄いです……山城先輩は。あんな別れ方をしても雪宮先輩を好きでい続けられるなんて……」


紗也加は再び頭を下げる。


「改めて、あの時はすみませんでした」

「顔を上げて。もう気にしてないから」

「でも……」

「大丈夫だから」


穂乃花が紗也加をギュッと抱きしめる。


「紗也加ちゃんはうちらが卒業した後、率先して野球部を支えてくれたでしょ?うちはその努力を知ってる。紗也加ちゃんはもうあんなことしないって分かってるから」

「……ありがとうございます」


紗也加は穂乃花の腕の中で涙を流した。



無事に結婚式が終了し、優と穂乃花は家に帰ってきた。


「疲れた~!」

「今日は大変だったな」


穂乃花がソファーに座ると、それを受けとめるように沈む。


「たくさんの人にお祝いされたね」

「そうだな。来てくれた人たちに感謝しないと」

「だね」


優もソファーに座ると穂乃花がギュッと抱きしめる。


「優……うち、幸せだよ?」

「俺も幸せだよ」


お互い顔を見つめ合うと、キスをした。

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