第72話 マシュマロ婚約者のご挨拶
一週間後。優と穂乃花は優の実家を訪れた。
「穂乃花ちゃん久しぶり!」
「お久しぶりです」
「あっ優も久しぶり」
「俺だけ感情こもってない気がするんだけど……」
「早く上がって上がって!ご飯たくさん用意したから!」
リビングのテーブルには豪華な料理が並んでいた。
「うわ~!美味しそう~!」
穂乃花が目を輝かせる。
「いっぱい食べてね」
「はい!」
穂乃花は箸を手に取りかけたが、ピタッと動きを止めた。
(そうだ。挨拶しに来たんだった)
美味しそうなご飯でつい忘れていた。背筋を伸ばして話し始める。
「えっと……うちは……じゃなくて私は優さんと……」
「大丈夫大丈夫!私たちは穂乃花ちゃんなら安心できるから!」
「そうだぞ優。こんなに面倒見がいい子は他にいないぞ」
「分かってるって」
「お腹空いたでしょ?ほら食べて食べて」
「は、はい!」
穂乃花は料理をよそってパクッと食べる。
「美味しいです!」
「よかったわ。でも優は穂乃花ちゃんが作るご飯が世界一って言うのよね」
「ちょっと優……恥ずかしいからやめてよ……」
「事実だもん」
「おい。母さんが作る料理が世界一に決まってるだろ!」
「やだ!あなたったら!」
「息子の前でイチャつくなよ……」
わいわい食事を楽しんだ後、優は父親とお酒を、穂乃花は母親と食器洗いをしていた。
「穂乃花ちゃんゆっくりしたらいいのに……」
「いえいえ。美味しいご飯を頂きましたから手伝わせてください」
「そう?」
母親が洗った食器を穂乃花が拭いていく。
「どうして穂乃花ちゃんは優と結婚してくれたの?優よりいい人なんて他にもいると思うのに……」
「そんなことありません。優はうちにはもったいないぐらいの人ですよ」
「そう?」
「優は凄くうちを大切にしてくれるんです。いつもうちを助けてくれるし、その……いつも愛されてるなって感じて……それが嬉しくて……」
「それはそうよ。あの子穂乃花ちゃんがここに来てからずっと好きなんだから。でも、本当によかった」
母親は父親と楽しそうに話す優を見て安堵する。
「穂乃花ちゃん。優をよろしくね」
「は、はい!」
「もし夫婦喧嘩したらいつでも優を怒ってあげるわ」
「ありがとうございます!」
二人はクスクスと笑った。
「穂乃花~!」
夕方。優は穂乃花にギュッと抱きつく。
「ごめんね穂乃花ちゃん。飲ませ過ぎた」
「本当よ!お昼にあんなに飲ませるなんて聞いてないわよ!」
母親が父親の頭を叩く。
「今日はありがとうございました」
「またいつでも来てね。ごちそう作って待ってるから」
「はい!」
家を出ると優は穂乃花の腕にしがみつきながら歩く。
「穂乃花……」
「何?」
「……結婚式したい?」
穂乃花がそれに反応して動きを止める。
「……優はどうなの?」
「俺はしたいと思ってる。咲人とかが協力してくれたおかげで今があると思ってるから」
「そっか……」
「で?どうなの?」
「うちもしてみたい」
「じゃあ次の休みに式場探すか」
「うん!」
結婚式……か……してみたいって言ったけど恥ずかしいな……
皆に優とキスするところ見られるし……
でも……美咲に、千秋に、美鈴さんに……
もちろんお父さんとお母さん、お兄ちゃんにも……幸せになったって伝えたい。
結婚式ってそれを伝える式だと思うから。




