第66話 マシュマロ彼女たちの語り合い
高岡は作っていた書類が完成するとふ~と息をつく。
「今日の仕事終わったし、飲みにでも行くかぁ~」
鞄を持って席から立ち上がると優が近づいてきた。
「部長。よかったら今日飲みにいきませんか?」
「いいけど……彼女さんと一緒に居たいんじゃ……」
「それが今日は友達とご飯食べに行くらしくて……」
「そうか。一人は寂しいんだなぁ~?」
高岡がニヤニヤする。
「そ、そんなことないですよ!」
「冗談だって。それじゃあ行こうか」
「はい!」
居酒屋に着くと、優と高岡が注文し、話し始める。
「仕事の方は順調か?」
「はい!部長が教えてくれたおかげです!」
「照れること言うじゃねぇか」
高岡は嬉しそうにビールを飲む。
「彼女さんとの同棲は順調か?」
「はい。仕事が忙しいのに家事も一生懸命やってくれて……いつも助かってます」
「山城君も手伝ってやれよ?」
「もちろんです」
話していると店員が注文したものを持ってくる。
「お待たせしました!唐揚げと串焼きとアジの塩焼きです!」
料理が机に並ぶと食べ始める。
「やっぱり結婚も考えているのか?」
「はい。でも、一緒に生活して日が浅いのでまだ先かな?とは思っていますけど……」
「そうか……」
「部長は結婚して幸せなことってあるんですか?」
「もちろんだよ!美人な嫁に、可愛い娘と息子が産まれて……家族ができて凄く幸せになったよ」
高岡はそう語るが、よく見ると寂しい目をしている。
「部長……なんかしょんぼりしてません?」
「だって……!最近、娘が中学生になって……反抗期になって……俺への当たりが強いんだよぉ~!」
高岡が泣き始める。
「娘が入った後にお風呂入らないでほしいって言われるし……洗濯分けてって言われるし……辛すぎるよぉ~……」
「元気出してください。今だけですから」
「そうかなぁ~?このまま嫌われたら……」
「父親ですよ。大丈夫ですって」
優は高岡を宥めた。
一方、穂乃花はとある人物とご飯を食べていた。
「美味しい~!」
「大人になってもよく食べるよね。本当」
美咲が穂乃花を見て変わってないようで安心する。
「最近、穂乃花と会えてなかったから変わってなくて安心したわ」
「高校卒業してからなかなか会えなかったからね。ちーちゃんにも会いたかったなぁ~……」
「忙しいらしいから仕方ないわよ」
「やっぱり小学校の先生って大変なんだね」
「本当にね。まぁ千秋って誰とでも絡めるし、子供好きだから違和感ないけどね」
美咲がハイボールを飲む。
「最近、柏原さんとはどうなの?」
「ぶほっ!」
動揺したのか、美咲は口を抑える。
「急に何質問してるのよ」
「それで?どうなの?」
「……知らないわよ。あんなの」
美咲がそっぽを向く。
「あれ?喧嘩してるの?」
「喧嘩っていうか……大和ってイケメンだから女性からのナンパが多いのよ」
「それは仕方ないんじゃない?」
「そうだけど……この前もデートしてたらナンパされてたのよ?それに大和って優しすぎるからはっきり断ってくれないし!もう知らない!」
美咲はイライラしながらハイボールを飲む。
「美咲が嫉妬するなんて珍しいね」
「嫉妬じゃないし!」
「ねぇ……美咲……」
「何?」
「飲むのそれぐらいにしたら?」
「……は?」
美咲が不機嫌そうに穂乃花を睨みつける。
「飲まないとやってられないわよ。本当イライラする!」
美咲は更にハイボールを飲む。
「ちょっと美咲……」
「いいよね~穂乃花は。いつも山城に愛されて~……どうせ夜も毎日してるんでしょ?」
「ま、毎日はしてない!」
穂乃花が恥ずかしそうに否定すると、美咲は穂乃花に抱きつく。
「いいなぁ~……私も穂乃花みたいに愛されたい……」
「迎えに来てもらったら?」
「来るわけないでしょ?今日は飲み会って言ってたんだから。どうせ同僚の女性に絡まれて私のこと忘れてるわよ」
「そう言わずに……ね?」
「わかったわよ」
美咲はスマホで大和に電話する。
『もしもし美咲?どうしたの?』
「大和?私のこと大切なら迎えに来れるわよね?」
『えっ?』
「だから~!」
電話は無理と判断した穂乃花はスマホを奪い、大和に事情を説明する。
『わかりました。すぐ向かいます』
「お願いします」
穂乃花が電話を切ると、美咲は膝の上で眠っていた。
「いっぱい飲んでたから寝ちゃったか……」
穂乃花は美咲の頭を撫でた。
穂乃花は美咲を運びながら店を出ると大和がやってきた。
「穂乃花さん!美咲がすみません」
「いえいえ。久しぶりに美咲と会えて楽しかったので」
美咲は気づいたのか、目を覚ますと大和に抱きつく。
「大和ぉ~」
「ごめんね美咲。迎えが遅くなって」
「いいよいいよ。私こそごめんなさいね~。女の人との楽しみを邪魔して~」
美咲は不機嫌そうに大和を見上げる。
「美咲?」
「実は……」
穂乃花は美咲が酔っぱらった経緯を説明する。
「だからこんなに……」
「止められなくてすみません……」
「穂乃花さんは悪くないですよ。ごめんね美咲」
「私なんか置いていきなさいよ。一人で帰れるから」
「そんなわけにはいかないよ。心配だから」
「本当に?」
「うん。僕は美咲が一番大事だから」
大和の微笑みを見ると、美咲はおとなしく大和をギュッと抱きしめる。
「……丁重に扱いなさいよ?」
「もちろん」
大和は穂乃花に頭を下げると美咲と一緒に帰って行った。
「仲良しでよかった」
穂乃花が帰ろうとすると、居酒屋から帰っていた優と目が合った。
「優!」
「穂乃花……ここでご飯だったの?」
「うん。もう少し早かったら美咲と柏原さんに会えたのに」
「いや……濱野には会いたくないかも……」
穂乃花は優に手を差し出す。
「帰ろう?うちらの家に」
「あぁ」
優は穂乃花の手をギュッと握った。




