第60話 マシュマロ女の子の友達
優と穂乃花が積み木で遊んでいると先生が穂乃花に話しかける。
「穂乃花ちゃん。ママが迎えに来たよ」
穂乃花は嬉しそうな顔になるが同時に寂しさを感じていた。
(もうそんな時間なんだ……)
親の迎えが嬉しいがまだ保育園に居たいと思うのは初めてだ。
「穂乃花ちゃん!また明日遊ぼうね!」
「……!うん!」
穂乃花は迎えに来た母親に抱きつく。
「ママ~!」
「あら?随分楽しそうな顔じゃない」
「今日優君っていう子と仲良く遊んでいましたよ」
「そうなんですか。よかったね」
「うん!」
帰宅すると東吾が真っ先に穂乃花に駆け寄る。
「おかえり穂乃花!」
「ただいまお兄ちゃん!」
「嬉しそうな顔だけど新しい保育園楽しかったの?」
「うん!優君といっぱい遊んだ!」
それを聞いて東吾がピキッと固まる。
「優……君……?」
「うん!」
「穂乃花。手洗ってきなさい」
「は~い!」
穂乃花は機嫌良く洗面所に向かう。
「ねぇ……ママ」
「何?」
「優君って誰?」
「さぁ?同じクラスの子みたいだけど」
「ふ~ん……」
「そんなこと聞いてどうしたの?」
東吾は少しの間黙っていたが微笑んだ。
「何でもない!穂乃花に友達できてよかったと思っただけ」
「そう?」
母親は不思議そうにしていた。
数日後、東吾は教室でずっとイライラしていた。
「どうしたの東吾?そんなに怒って」
「あ~……」
聞こえていないのか全く反応しない。
東吾は家での穂乃花の言葉を思い浮かべる。
「このアニメ優君好きって言ってた!」
「優君カレー好きなんだって!」
「お兄ちゃんが食べてるおやつ優君も好きだよ!」
東吾のイライラが爆発する。
「優君優君うるせぇ!」
「うわ!どうしたんだよ?」
クラスメイトがびっくりする。
「妹が男友達の話ばっかりするんだよ」
「それで?」
「それがムカつく」
それを聞いてクラスメイトは呆れる。
「いや……仲良いのは良いことだろ」
「だって仲良いってことは穂乃花が結婚する可能性があるってことだぞ⁉」
「別にいいじゃん」
「よくない!」
クラスメイトはため息をつく。
「東吾ってもしかしてシスコン?」
「何それ?」
「なんか妹やお姉ちゃんが好きすぎる人のことらしいよ」
「そんなの当たり前だろ!穂乃花は俺の可愛い妹なんだから!」
「……そう」
クラスメイトは会話が面倒くさくなったのかその場から離れた。
土曜日になり、朝から東吾は穂乃花に抱きつく。
「穂乃花~!今日はお兄ちゃんとたくさん遊ぼうか!」
「ごめんねお兄ちゃん。今日は優君と公園で遊ぶ約束してるんだ」
「……え?」
東吾が固まっているところを母親が声をかける。
「遊びたいなら東吾も来る?」
「……行く」
お昼に公園にやってくると優と優の両親が待っていた。
「穂乃花ちゃん!」
「優君!」
「早く一緒に遊ぼう?」
「ねぇ優君。お兄ちゃんが優君と遊びたいんだって」
(そんなこと一言も言ってない!)
優がチラッと東吾の顔を見る。
「本当ですか⁉」
「そんなわけ……」
優が目を輝かせて東吾を見つめる。
(やめろ!そんな目で俺を見るな!)
「お兄ちゃん?」
「……何して遊びたいんだ」
「砂場ででっかいお城作りたい!」
「よし!誰が一番城を作れるか勝負だ!」
三人が砂場で遊ぶ姿を両親が微笑ましそうに見つめる。
「すみませんね。うちの息子の我儘を聞いてもらって」
「いえいえ。うちの娘、優君と遊んだ話ばっかりするんですよ」
「あら。私のところもですよ」
「娘と仲良くしてくれてありがとうございます」
「いえいえ。これからもよろしくお願いします。
東吾は無事、城を完成させる。
(よし!これだけでかければ勝てるだろ。小学生舐めるな!)
優が作った城を見るとかなり大きい城ができあがっていた。
(な、なんだと⁉)
「優君すごい!」
「ずっと公園で遊んでいたら作れるようになったんだ!」
「お兄ちゃんの負けだね」
「くそ~!」
それから夕方まで公園で遊び続けた。
「優。そろそろ帰るわよ」
「は~い」
優が穂乃花と東吾の方に振り返る。
「穂乃花ちゃんまた月曜日遊ぼうね!」
「うん!」
「穂乃花ちゃんのお兄ちゃんもまた遊ぼうね!」
「……気が向いたらな」
優を見送ると穂乃花が東吾に話しかける。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「優君とお兄ちゃんと遊べて楽しかった!」
穂乃花が嬉しそうに微笑む。
「……よかったな」
まぁ……妹がこんなに嬉しそうな顔をするならいいか……
付き合うとか結婚は断固拒否だけどな!




