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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第二部

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第56話 マシュマロ彼女と修学旅行(奈良観光前編)

朝。レストランで優は寝ぼけながらビュッフェの料理を取っていく。


(眠いなぁ……)


優が食パンのジャムを取ろうとすると誰かの手が当たる。


「ごめんね……って優じゃん」

「穂乃花……」

「眠たそうだね」

「うん……」

「そんな状態で奈良楽しめるの?」

「バスで移動するからその時に寝れるだろ」

「ならいいけど……」


お互いジャムを取ると席に戻ろうとする。


「じゃあまたね。優」

「……」


穂乃花の後ろ姿をじっと見つめる。


(俺……マジで穂乃花のこと好きだ……)


寂しく感じているということはそういうことだ。

もうちょっと話したかった……と思ってしまう自分がいる。


(クラスが一緒だったらなぁ……)


不満を抱えながら席に戻った。



生徒たちはバスに乗車し、奈良にやって来た。

昼まで奈良公園周辺を観光する行程になっている。


「早く!鹿せんべい買いに行こうよ!」

「うん!」

「……」

「美咲どうしたの?体調でも悪いの?」

「だ、大丈夫……」

「そう?」


鹿せんべいを買った千秋が鹿に食べさせていく。


「そんなに慌てないで!一人……じゃなくて一匹一個だよ!」


たくさんの鹿が千秋の元に集まる。


「はい、どうぞ」


穂乃花も一匹の鹿に鹿せんべいを渡すとパクッと食べてくれた。


「可愛い……」


そう思い鹿の頭を撫でた。


「美咲はあげなくていいの?」

「私はいいよ」

「もしかして鹿苦手?」

「鹿だけじゃなくて……動物全般苦手」

「そうなんだ。向こうでゆっくりする?」

「うん」


そんな話をしていると鹿が美咲の元にやってきた。


「……あなたの餌は何も持ってないわよ」


美咲は両手を挙げるが鹿が美咲の鞄を咥える。


「ち、ちょっと!何も入ってないわよ!」


鞄を引っ張るが鹿も引き下がらない。


「穂乃花!鹿せんべいは?」

「ごめん……全部食べさせちゃった……」

「えぇ⁉」


困っていると美咲の後ろから男の人がやって来た。


「ほら。これを食べな」


鹿せんべいを差し出すと鞄を離し、鹿せんべいをパクッと咥える。


「ありがとうございます……」

「いえいえ。お腹が空いた鹿は何でも食べようとしますからね」

「……!あなたは……」


美咲は男の顔に見覚えがあった。


「もしかして……柏原さんですか?」


穂乃花が男に話しかけた。


「そうですけど……」

「あの!うちらのこと覚えていますか?」

「確かホテルで……あの時は後輩がすみませんでした」


大和が頭を下げた。


「か、顔を上げてください!」

「そうですよ!気にしていませんから!」

「しかし……あの時は怖い思いをされたと思うので……お詫びに何か奢りますよ」

「でも……」

「穂乃花ちゃん~!助けて~!」


千秋は大勢の鹿に囲まれて逃げられずにいた。


「うちはちーちゃんのところ行ってくるから美咲行ってきたら?」

「え⁉」

「じゃあまた連絡して!」


穂乃花が千秋の方へ向かう。


「え、え~と……いいんですか?」

「はい。欲しいもの何でも言ってください」

「じゃあ……甘いものが食べたいんですけど……」

「いいですよ。近くにいいところがあるのでそこでいいですか?」

「はい……」


美咲の胸がドキドキしていた。



二人はカフェに入店すると席に座った。


「おしゃれなカフェですね」

「たまに学校帰りに来るんですよ。受験勉強にも集中できますし」

「柏原さんって三年生何ですか?」

「そうです。だから甲子園で野球部は引退して今はひたすら勉強の日々です」

「大変ですね……」

「そういえばあなたの名前を聞いていませんでしたね。伺ってもいいですか?」

「濱野美咲です」

「じゃあ美咲さんって呼んでもいいですか?」

「はい」

「改めて美咲さん。あの時はすみませんでした」


大和が頭を下げる。


「大丈夫ですから!もう気にしていないので顔を上げてください!」

「あいつらは停学と退部処分が下ったので安心してください」

「そう……ですか……」

「一緒にいたあの子にも申し訳ないとお伝えください」

「わかりました」


話を切り替えるように大和がメニューを開く。


「さて、何頼みますか?値段は気にしなくていいですからね」

「本当にいいんですか?」

「はい」

「じゃあ……プリンで……」

「……それでいいんですか?」

「ダメでしたか?」

「いえ……」


大和は美咲の注文にキョトンとしていた。


「柏原さんは何頼むんですか?」

「僕は……パフェにしようかなと」

「いいですね!じゃあ店員さん呼んでいいですか?」

「はい」

「すみません!」


美咲は店員を呼んだ。



「このプリン美味しいです!」

「それはよかったです」

「そのパフェも美味しそうですね」

「このお店の看板メニューですから。よかったら一口食べますか?」

「いいんですか?」

「もちろん!」


美咲はスプーンでアイスをよそって口に入れる。


「美味しいです。さすが看板メニューですね」

「僕も美味しくていつも食べてますから」

「今度奈良に来たらまた来ようっと」

「あの……一つ聞きたいことがあるんですけど?」

「何ですか?」

「どうしてプリンを頼んだんですか?」

「……やっぱりいけませんでしたか?」

「そういうわけでは……普通こういう時って高い物頼みません?」

「そうですか?私は食べたい物を頼んだだけですけど」

「なら……いいんですけど……」

「それに高ければ美味しいとは限らないので」

「そうですね……あなたの言う通りです」



お互い食べ終わり、カフェを出ると美咲が頭を下げた。


「ごちそうさまでした!」

「喜んでもらえてよかったです。では」


大和が美咲に背中を向けて歩き始める。

これを逃せば今度こそ会えなくなるかもしれない……

そう思った美咲は大和の背中に向かって言葉を発する。


「あの!」

「美咲さん」


言葉を発すると同時に大和が振り返る。


「今日楽しかったのでよかったら連絡先交換してくれませんか?」

「……えっ?」

「嫌……ですか?」

「嫌じゃないです!」


二人が連絡先を交換する。


「実は僕……東京の大学に進学する予定なんです。その時にまた会ってくれますか?」

「……!もちろんです!」

「じゃあ……また東京で」


大和が再び背中を向ける。


「頑張ってください!待ってますから!」

「……ありがとう」


美咲は大和の背中をずっと見つめていた。

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