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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第二部

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第54話 マシュマロ彼女と修学旅行(京都観光中編)

優たちが清水寺に入り、楽しんでいると旭がどこかに向かって歩いて行く。


「どこ行くんだ旭?」


優と咲人が追いかける。


「すげぇ!」


旭は思わず見える景色に身を乗り出す。


「お前たちも見ろよ!」


優と咲人も近づくと目の前には紅葉の海が広がっていた。


「すごいなこれ……」

「秋だから景色が綺麗だな」


優がスマホで写真を撮る。


(後で穂乃花に送ろうっと)



一方、穂乃花たちは宇治に着いても気まずい空気が流れていた。


「とりあえず平等院に行こっか」

「うん!」

「……」


千秋は電車に乗っている間も穂乃花と話していたが美咲は黙ったままだ。


(美咲ずっと黙ったままだけど……どうしよう……)


穂乃花は美咲に話題を振った。


「美咲は京都に来たことあるんだよね?どこに行ったの?」

「えっと……」

「穂乃花ちゃん!あんな子放っておいていいよ!私とお喋りしようよ!」


それを聞いた美咲がイラッとする。


「穂乃花もあんたみたいなしつこい女と話したくないんじゃないの?」


千秋もイラッとする。


「なんでそう思うの?」

「だってそうでしょ?さっきまであんたと話していたのに急に私に話しかけたんだから飽きてたんじゃないの?」

「そんなことない!穂乃花ちゃんはいつも私と楽しそうに喋ってくれるもん!」

「あんたの勘違いじゃないの?」

「そんなこと……!」

「……二人共いい加減にして!」


穂乃花の声に二人はビクッとする。


「うちは三人で仲良く楽しみたかったのに……もう知らない!」


穂乃花は涙を流しながらどこかに走って行った。


「……あんな穂乃花ちゃん初めて見た」

「あんたのせいで穂乃花泣いちゃったじゃない」

「なんで私のせいなのよ!美咲ちゃんが私と仲良くしてくれないからでしょ?」

「誰があんたと仲良くするもんですか!」

「それはこっちのセリフよ!」


二人も別々の方向へと歩いて行った。



(言い過ぎちゃった……)


穂乃花はカフェでポツンと座っていた。

スマホを開くと優から清水の舞台から撮った写真と自撮り写真が送られていた。


(いいなぁ優……楽しそうで……)


写真をじっと見つめていると店員がやって来る。


「お待たせしました!こちら宇治抹茶ケーキと宇治抹茶アイスのセットです」

「ありがとうございます……」


穂乃花がスプーンを手に取り、アイスを口に入れると抹茶の苦味が広がる。


(美味しいけど……皆で食べたかったなぁ……)



美咲はお土産屋で家族へのお土産を選んでいた。


(お父さんとお母さんは何選んだら喜ぶかな……)


悩んでいると抹茶ラングドシャが目に入った。


(これ穂乃花に渡したら喜んでたやつだ……)


家族旅行で京都に行った時のお土産で穂乃花に渡した時、凄く嬉しそうに受け取ってくれた気がする……


(あれからもう一年経つんだ……)



―――去年の春頃、美咲はクラスで孤立していた。

人見知りということもあるが人と関わることに興味がなかった。


(部活……ね……)


美咲は手元にある入部届を見る。

中学生の頃は部活をやっていなかったが、高校生になると大学の面接でも部活の経験が有利になることもあるし入っておいたほうがいいだろう。


(どこにしようかな……大学で経験が認められるような部活……)


しかし配布された部活の一覧表を見てもピンとくるような部活がなかった。


(一人暮らしできるように家庭科部にでも入ろうかな……今日は活動日じゃないみたいだから明日覗いて見るか)


入部届を鞄に直し、美咲は教室を出た。



校舎を出ようとするとグラウンドで野球部が練習している様子が見えた。


(あんなにユニフォーム汚して……よく頑張れるわね)


グラウンドを眺めながら歩いていると誰かとぶつかった。


「わっ!」

「きゃっ!」


女の子が持っていた段ボールを落として大量の球が地面に散らばった。


「ごめんなさい!」

「いえ、私も前を見ていなかったから……」


女の子が球を拾い始めたので美咲もそれを手伝う。


「ありがとう。あれ?もしかして美咲ちゃん?」

「え?なんで私の名前を?」

「クラスメイトだから覚えてるよ。もしかしてうちのこと覚えてない?」

「覚えてるよ。雪宮穂乃花でしょ?」

「なんだ!美咲ちゃんも覚えてるじゃん!なんで聞いたの?」

「私……クラスに馴染んでいないから覚えてるわけがないって思った……」

「もしかして友達いないの?」

「いないっていうか……興味ないのよ。人間に」


皆と遊ぶことに興味がない。会話することにも興味がない。

だって一人でいる方が誰にも縛られなくて好きだから……


「そうなんだ……珍しいね」

「私もそう思う。ところで、あんたもしかして野球部のマネージャーになったの?」

「うん!うちの幼馴染が甲子園出場を目指して野球部に入ったからそれをサポートするために!」


穂乃花の視線の先にはピッチング練習をする優の姿があった。


「好きなの?その幼馴染が」

「ううん!優はうちの弟みたいな感じだから恋愛感情は一切ないよ!」

「うっ!」


優が咄嗟に胸を抑える。


「どうした優?」

「今めっちゃ心にグサッときたような……」

「馬鹿なこと言ってないで早く次投げろよ」


優がピッチング練習を再開する。


「美咲ちゃんは部活決めたの?」

「特に……家庭科部に入った方がいいかな?って思ってるぐらい」

「そうなんだ。もしよかったら野球部のマネージャー一緒にやってくれないかなって思ったんだけど……どうかな?」

「マネージャー……」


確かにこの学校の野球部って強豪校だし、そのマネージャーになれば大学にも認めてもらえるかもしれない……

そう考えていると穂乃花が美咲の両手を握った。


「お願い!今マネージャーがうち一人しかいないから大変なの!」

「……!」


何だろう……この感情……嬉しくなってる気がする。

人に頼られるのが初めてだから……かな……


「ごめんね……無理強いしちゃって……」

「……体験から……でいいなら……」

「本当⁉」


穂乃花が目を輝かせた。


「ありがとう美咲ちゃん!」

「ま、まだ!入るって決めたわけじゃないから!」

「それでも嬉しいよ!」


なんでそんなに嬉しそうにするのよ……

私以外にも頼れる人なんていくらでもいるのに……



―――(あの時に穂乃花が誘ってくれたから今の私がある気がする……)


美咲は抹茶ラングドシャを手に取る。


(私は穂乃花以外に友達がいない。だから穂乃花は他の人とも仲良くしてほしかったんだ……そうとも知らずに私は千秋を一方的に嫌ってしまった……)


謝らないと……そう思った美咲は抹茶ラングドシャをレジに持って行った。




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