第53話 マシュマロ彼女と修学旅行(京都観光前編)
修学旅行当日。二年生は東京駅前に集合していた。
旭はワクワクを胸に優と咲人に話しかけた。
「いよいよだな修学旅行!」
「そうだな」
「お前らテンション上げろよ!」
「そう言っても……」
優があくびをする。
「朝早すぎなんだよ……」
「優は本当に朝苦手だよな!」
「二人共よく起きれるよな」
「俺はワクワクしすぎて夜9時に寝たよ!」
「俺は10時」
「早いなぁ……俺は深夜1時」
「だからじゃないか!」
「早寝早起きしろよ」
「そう言われてもなぁ……」
一方、穂乃花は同じ班の千秋と合流した。
「穂乃花ちゃん~!」
千秋が穂乃花に抱きつく。
「おはようちーちゃん」
「今日の穂乃花ちゃんも柔らか~い!」
千秋が穂乃花のお腹に顔を埋める。
「ちーちゃんは甘えん坊だね」
「ねぇねぇ聞いてよ穂乃花ちゃん!美咲ちゃんが全然私と会話してくれないの!」
「そうなんだ……」
「どうして?穂乃花ちゃんと仲良いのに!」
「美咲は千秋みたいな明るい人が苦手なんだって」
「そうなの?じゃあどうすればいいの?」
「そうだね……もうちょっと明るさを抑えて話しかければいいんじゃないかな?」
「抑えるって?」
「だから……」
穂乃花の言葉が詰まる。
「だから……ちょっとテンションを落として、静かに話しかけてみるとか……?」
「静かに……?」
千秋は目をまんまるにして、少し考え込んだ。
「うん。美咲って、急に話しかけられると驚いちゃうみたいだし、自分のペースを大事にするタイプだから。
無理にテンション合わせてもらうより、こっちが少し合わせてみるのがいいかも」
「なるほどねぇ……でも私、静かに話すの、得意じゃないんだよね~」
「でも千秋って優しいし、気づかいもできるからきっと大丈夫。少しずつでいいから」
「うーん……頑張ってみる!美咲ちゃんともっと仲良くなりたいもん!」
「その気持ちがあれば、きっと伝わるよ」
「頑張る!」
千秋は美咲に話しかけようとするが、足を止める。
「よーし今度こそ静かに……ってどうやって話しかけよう……?」
新幹線で移動すること約2時間。京都駅に到着した。
コンコースに集合すると学年主任が指示をする。
「ではこれから自由行動となります。17時までに京都駅に戻ってきてください」
生徒たちがそれぞれの方向に向かっていく。
「優!早く行くぞ!」
「どこに行くんだっけ?」
「もう忘れたのか?清水寺って言っただろ!」
「そうだったな」
優、旭、咲人が改札に向かう。穂乃花も美咲、千秋と改札に向かう。
「楽しみだね!宇治!」
「うん!」
「……」
千秋が美咲の顔をチラッと見る。
「美咲ちゃんは抹茶好き?」
「……」
「私は抹茶ソフトクリーム好きだよ!」
「……」
千秋が穂乃花にどうしよう……と顔で訴える。
「美咲。ちーちゃんとお話してあげて」
「別に私は馴れ合うつもりはないんだから話す必要ないでしょ」
「でもちーちゃんは美咲と仲良くしたいって……」
「私は仲良くしたくないの。関係ないことで話しかけないでちょうだい」
それを聞いた千秋がカチンときた。
「なんで私と仲良くしたくないの?何か嫌なことした?」
「あんたのその馴れ馴れしい態度が嫌なのよ。気安く話しかけないで」
「だから静かに話しかけたじゃん!それなのになんで仲良くしてくれないの?」
「どうせすぐ馴れ馴れしくなるの分かってるのよ」
「友達になったら別にいいじゃない!」
「二人共落ち着いて……」
「「ふん!」」
お互い険悪な空気になる。
(どうしよう……)
穂乃花はおろおろしていた。




