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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第二部

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第50話 マシュマロ彼女の言葉

夕食の時間になり、レストランに部員たちが集まる。


「ここのビュッフェも今日で終わりか……」

「最後だからたくさん食べようぜ!」

「俺たち頑張ったしな!」


部員たちが料理を取りに行く中、穂乃花は優を待つ。


「……!」


ルームメイトの茂雄と和夫がやって来る。


「ねぇ!優は?」

「……食欲がないから部屋で寝るってさ」

「そっか……」


試合が終わってから優と会話できていない。話しかけても無視されていた。


「今日の試合で結構落ち込んでいるな。優のせいじゃないのに……」

「そうですよ!点差をつけられなかった僕たちバッターの責任です!」

「……」


穂乃花はずっと心配そうな顔をしている。

それを見た茂雄がポケットからカードキーを取り出す。


「とりあえず食ってもらわないとあいつも元気になれねぇだろ。無理やり連れて来てくれよマネージャーさん」


穂乃花にカードキーを渡すと和夫と共にテーブル席に向かった。



一方、優は部屋でずっとベッドに籠っていた。


(俺のせいで……負けた……)


あの時に焦ってなければ……

そう思うとずっとあの時の出来事がフラッシュバックする。


(やめろ!思い出すな!)


優は顔を布団で覆い隠す。するとガチャッとドアが開く音がする。


「……茂雄?忘れ物か?」


優が布団から顔を出すとそこに穂乃花がいた。


「優。一緒にご飯食べよ?」

「……悪い。今は食欲がないんだ。帰ってくれ」

「食べないと元気出ないよ?」

「食欲ないんだから仕方ないだろ……」

「じゃあ食べなくてもいいから一緒に……」

「帰ってくれって言ってるだろ!」


優の声に穂乃花がビクッとする。


「……頼むから一人にしてくれよ」


優は再び布団に籠る。


「……優のせいで負けたって思ってるの?」


穂乃花が優に語りかける。


「だとしたらそれは大きな間違いだよ。他のスポーツでもそう。サッカーで負けたらキーパーの責任なの?バレーボールで負けたらバックの責任なの?違うでしょ?

サッカーだとブロックに失敗したり、バレーボールだとレシーブに失敗したり……負ける原因があるでしょ?野球だってそう。

守備がキャッチできなかったら点を取られるでしょ?」


穂乃花がベッドの上に乗り、布団を剝がす。


「それに優はずっと頑張ってたじゃん。小さい頃から野球が好きで甲子園に出たい出たいって言ってずっと野球してて……

うちは優の力になりたいって思ったからマネージャーになったんだよ?優……ここまで頑張った自分を褒めてあげてよ」

「でも……」

「それでも悔しいならずっと隣に居てあげるから気持ちを吐き出して」

「穂乃花……」


優が起き上がり、穂乃花に抱きつく。穂乃花は優を優しく抱きしめる。


「俺……悔しい……」

「そうだね……」


優は穂乃花の腕の中でずっと悔しさを打ち明けた。



数十分経ち、レストランに優と穂乃花がやって来た。


「優。まだ食欲ない?」

「お腹空いた……」

「じゃあ一緒に選ぼう?」


料理を選ぶ二人を茂雄と和夫が見つめる。


「上手くいったみたいだな」

「元気になったみたいでよかったです」


大量の料理を取った優と穂乃花が席に座る。


「早く食べよう?」

「うん……」


穂乃花が美味しそうにシチューを食べる。


「美味しい~!」

「……」


優がずっと穂乃花を見つめる。


「優?食べないの?」

「……今は穂乃花が食べるところ見たいなぁと思って」

「は、恥ずかしいから食べて!」



翌日。光星学園野球部は荷物をバスのトランクに入れる。


「終わったなぁ~」

「来年も出場できるかなぁ~」

「来年出たら絶対優勝しようぜ」


優もトランクに荷物を入れると後ろから誰かに話しかけられた。


「山城君」


振り返ると大和が立っていた。


「準決勝……いい試合だった。ありがとう」

「こちらこそ。あの試合は俺の完敗です。柏原さんのヒットで流れが変わった。凄いですね」

「……決勝は必ず勝つから。山城君たちの分も」

「応援してます」


優がバスに乗り込むと隣のバスに乗ろうとした美咲が大和に気づく。


「あ、あの!」


大和に話しかけようとすると先頭のバスが発車する。

このバスももうじき発車するだろう。


「……」


美咲はグッと堪えてバスに乗車する。


「何か聞こえた気がしたけど……気のせいか」


大和はホテルに戻った。



バスが新大阪駅に向かって走って行く。皆疲れたのか眠っている。

穂乃花もよだれを垂らして眠っている。


(可愛いな……)


優がハンカチで穂乃花の口を拭いていると窓から甲子園球場が見える。


(ありがとう甲子園……来年絶対戻る!)


優の決意を後押しするようにバスは真っ直ぐ走った。

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