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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第二部

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第40話 マシュマロ幼馴染がいない日々(後編)

学校帰り、優は穂乃花の家のインターホンを押した。


『あら優君。もしかしてお見舞いに来てくれたの?』

「はい」

『申し訳ないけど今日は帰ってくれるかな?』

「どうしてですか?」

『穂乃花がもし優君が来たら家に入れないでほしいって言ってて……』

「そう……ですか……」

『ごめんなさいね。私も入れてあげたいんだけど……』

「わかりました。では穂乃花に一つ伝言を頼めますか?」


優はインターホンに向かって穂乃花への伝言を伝えた。


「……ではよろしくお願いします」

『わかった。穂乃花に伝えておくわね』


穂乃花の母親は部屋のドアをノックする。


「穂乃花。大丈夫?」

「うん……」

「さっき優君が来て、伝言を頼まれたんだけど……」

「……」


穂乃花はドア越しに優の伝言を聞いた。



翌日。穂乃花は家にも朝練にも来ておらず、今日も学校を休んでいた。


(どうしよう……このまま穂乃花と別れた状態だったら……)


優が考えていると野球部の後輩の大石和夫おおいしかずおがやって来た。


「失礼します。山城先輩いますか?」

「どうした和夫?」

「……ちょっと話せますか?」


優は自販機でコーラを買い、和夫に渡した。


「ほらよ」

「ありがとうございます」

「それで話ってなんだ?」


優はコーラを飲みながら和夫の言葉を待つ。


「山城先輩が雪宮先輩と別れて、紗也華さんと付き合ったのに捨てたって聞いたんですけど……本当ですか?」

「……その話誰から聞いたんだ?」

「噂で聞いたので……」

「そうか……和夫は信じてるのか?」

「友達や先輩は信じてますけど……僕は山城先輩がそんなことする人じゃないと思ってて……」

「……そっか」

「もしかして本当なんですか?」

「噓だよ。付き合っていない」

「よかった……」


和夫がホッとする。


「山城先輩はそんなことしないって言ったんですけど……皆噂を信じているから聞いてもらえなくて……」

「ありがとな。俺の為に言ってくれて」

「それに濱野先輩も山城先輩が雪宮先輩と別れるのに親友の立場を利用して協力した言われているんですよ」

「なんだよそれ……」

「それが監督にも耳に入ってしまって……このままじゃ山城先輩と濱野先輩は退部になってしまいます!」

「……」


どうする……俺だけならともかく、濱野も巻き込まれることになるとは……


ピンポンパンポン!


『野球部2年山城、濱野。野球部2年山城、濱野。至急、生徒指導室に来なさい』

「先輩……」

「俺のことは心配するな。教えてくれてありがとな」


優は和夫の肩をポンポンと叩き、教官室に向かった。



「失礼します」


優が教官室に入ると美咲、紗也華、監督がいた。


「来たか……では事実確認を始める」


生活指導部の教師、阿久津隆盛あくつりゅうせいがノートを開いて鉛筆を用意する。


「まずは山城君。君は秋風さんと付き合っていたのは事実かい?」

「いいえ。付き合っていません。俺が付き合っているのは穂乃花だけ。紗也華ちゃんと付き合った事実はありません」

「秋風さん。山城君と付き合っていると言っていたが、どういうきっかけで付き合ったんだい?」

「……私は山城先輩が雪宮先輩とお付き合いしていたのを告白してから知りました。だから諦めていましたが山城先輩から雪宮先輩とは別れるから付き合ってほしいと言われました」

「はぁ⁉あんたいい加減に……」

「濱野さん。今は秋風さんに質問しています。静かに」

「……っ!」


美咲は紗也華を睨みながら歯を食いしばる。


「では濱野さん。山城先輩から秋風さんと付き合いたいから雪宮さんと別れるのを手伝ってほしいと頼まれ、承諾したようですが事実ですか?」

「事実じゃありません!私はそんなこと頼まれていません!」

「なるほど……」


阿久津はノートに書いたメモを見つめる。


「先生!その女は諦めたって言っていましたけど全然山城のことを諦めていませんでした!」

「ひどいです濱野先輩……そうやって噓をつくなんて……」


紗也華は両手で顔を抑える。


「山城!あんたも何か言いなさいよ」

「……紗也華ちゃん。一つ聞いていいかな?」

「何ですか?」

「俺がいつ紗也華ちゃんに告白した?」

「何言ってるんですか?ゴールデンウィークに私をデートに誘って先輩が告白したんじゃないですか!」


紗也華は涙を流し始める。


「それなのに私を可愛くないって言って振るなんて……ひどいです……」

「おかしいな……俺、ゴールデンウィークはずっと秋田にいたんだけど」

「え?」


周囲の空気が一変する。


「ばあちゃんが入院して心配だから家族全員で秋田に行ってました。疑うなら家族に聞いてみてくださいよ」

「どういうことだ?秋風さん」

「あ、あぁ~!勘違いしてました!その次の休日に誘われて……」

「その日は練習試合だよ?俺、投げてるし。ですよね監督?」

「あ、あぁ……」

「……っ」

「秋風さん。本当のことを言ってくれ」


全員が紗也華に注目すると、紗也華は舌打ちした。


「……私の方が可愛くて美人なのになんでアプローチが効かないのよ……今までの彼女持ちは簡単に攻略できたのに……そんなにあの女がいいの?私より」


紗也華が優を睨みつける。


「太っているし、ブスだし、魅力を感じるところがないじゃない!どこがいいのよ!」

「……言いたいことはそれだけか?」

「はぁ?」

「まず穂乃花はブスじゃない。世界一可愛くて魅力的だ。そして穂乃花のどこがいいかを教えてやる。穂乃花はすごく優しいんだよ。

朝が苦手な俺を毎日起こしてくれるし、成績が悪い俺に勉強も教えてくれる。

こんなめんどくさい俺にも優しくしてくれるんだよ」


優は穂乃花と過ごす日々を思い出す。

毎朝上に乗られて起こされて、分からないところを分かるまで教えてくれた時を。


「俺は穂乃花のいつも優しく接してくれるところが好きだ」

「何よ……それ……外見がよくないと……意味ないじゃない……」


紗也華は膝をつき、泣き始めた。

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