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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第二部

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第33話 マシュマロ彼女の恋敵(前編)

「はぁ……はぁ……」


穂乃花は涙を流しながら走る。


「穂乃花!待って!」


優が追いかけて呼び止めるが穂乃花は止まらず、走り続ける。


「待てって!」


優が穂乃花の手を掴むが、すぐに振りほどかれる。


「離して!」

「違うんだ!これには訳が……」

「嫌だ!優の口から何も聞きたくない!」


穂乃花の涙が止まらない。


「優……うちら……別れよっか」

「え?」


穂乃花は再び泣きながら走っていく。


「おい!待てって!」



二ヶ月前。体育館で入学式が行われていた。


「続いて新入生代表挨拶。新入生代表『秋風紗也華あきかぜさやか』」

「はい」


紗也華が壇上に向かって歩き始める。


(すげぇ美人……)

(可愛い……)

(秋風って……去年の甲子園地方予選で話題になっていた秋風空の妹か?)


新入生たちが見惚れるなか、紗也華は挨拶を始める。


「春風が心地よく吹き、桜が美しく咲き誇るこの素晴らしい季節に、新たにこの学校の一員となることができたことを大変嬉しく思います。

温かく迎えてくださった先生方、先輩方、そしてご家族の皆様に心から感謝申し上げます。

私たち新入生は、期待と少しの不安を胸に、この新しい一歩を踏み出しました。

新しい環境での学びに胸を膨らませていますが、同時に皆さんと共に過ごすことで得られる経験を大切にし、成長していきたいと考えています。

これからの学生生活において、学問はもちろん、部活動や友情など多くのことを学び、挑戦し、成長していきたいと思います。

春の陽気のように、私たち新入生もここでの毎日を一歩一歩、明るく前向きに歩んでいきます。

最後になりますが、これからの学び舎で、先生方や先輩方と共に充実した時間を過ごし、素晴らしい仲間と支え合いながら成長していけることを楽しみにしています。

これから三年間よろしくお願いします」


挨拶が終わるとたくさんの拍手が聞こえた。



翌日。教室で喋っていた優と咲人に旭が話しかけてきた。


「なぁなぁ。昨日の入学式に超絶美少女が新入生代表だった話知ってるか?」

「知らない」

「噂によると秋風先輩の妹らしいぞ」

「そうなんだ」

「もしかしたら野球部のマネージャーになるんじゃないか?」

「もしそうなら穂乃花と濱野喜ぶだろうな~」

「一目見てみたいよな?」

「一年のクラスいけば会えるんじゃないか?」

「無理だよ。何クラスあると思ってるんだ」


話しているとチャイムが鳴り、担任がやってくる。


「お前ら席につけ」

「ちぇ。もうそんな時間か」

「何か言ったか?追分」

「な、何でもないです!」



始業式が終わり、グラウンドで野球部の練習が始まった。


「お前野球部入るの?」

「だって去年の秋風先輩かっこよかったからな~」


新入生たちが練習光景を見ていると校舎から出てきた紗也華が足を止め、グラウンドを見つめる。


(あれがお兄ちゃんが入ってた野球部……)


紗也華が見つめていると球をグローブでキャッチする音が聞こえる。


「ナイス!」


茂雄が優にボールを投げ返す。


(見つけた……私の王子様……)


優を見て紗也華の頬が赤くなる。


「ねぇ~そこの君!野球好き?」


紗也華が振り向くと美咲と穂乃花が立っていた。


「好きです。お兄ちゃんが野球やってるので」

「そうなんだ!よかったらマネージャーしない?今年もたくさん新入生入ると思うしそうなると人手が足りないんだよね」

「マネージャーやりたいです!」


紗也華の目が輝く。


「よかった!じゃあ担任の先生から入部届を貰ったら提出してね」

「はい!」

「私は濱野美咲。こっちは雪宮穂乃花」

「よろしくね」

「私は秋風紗也華です!よろしくお願いします!」

「秋風?秋風ってもしかして……」

「はい!秋風空の妹です!」

「そうなんだ!可愛いね!」

「えへへ……そうですかね?」

「何の話してるんだ?」


優がやって来る。


「ありがたいことに早速新人マネージャーが入りました!」

「しかも秋風先輩の妹だって」

「秋風先輩の……」


優が紗也華を見つめる。


「よろしくね」

「は、はい!」


紗也華が頭を下げる。


「じゃあちょっと監督に会ってくるわ」


優が去ろうとすると紗也華が話しかける。


「山城先輩!」


優が振り向くと紗也華は恥ずかしがりながら言った。


「好きです。私と付き合ってください!」

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