Interlude マシュマロ彼女の兄
今回は第29話『マシュマロ彼女とシスコン兄貴』の前日譚です。
「ただいま~」
東吾は帰宅すると部屋の電気をつける。
(明日は大学休みだし、風呂入ってゲームするか~)
そう思っているとスマホから着信音が鳴る。
『もしもしお兄ちゃん?』
「おぉ~!穂乃花~!」
東吾のテンションが上がる。
「久しぶりだな~!どうした?」
『実はお兄ちゃんに伝えたいことがあって……』
「なんだ?」
東吾は期待を膨らませる。
『実はうち……彼氏ができたんだ』
「か……れ……し?」
彼氏……かれし……karesi……何それ?
『お父さんとお母さんに言ったら喜んでくれてさ』
「そうか……」
穂乃花もそんな年か……あんなに小さかった穂乃花に彼氏が……
思わず東吾が涙ぐむ。
「う……うぅ……」
『ちょっとお兄ちゃん泣いてるの?』
寂しいけど、穂乃花が幸せなら……いいか。
「おめでとう。ちなみに相手はどんな人なんだ?」
『それがね……優なの!』
「そうかそうか。優……待って。優って山城優じゃないよな?」
『それ以外に優はいないでしょ?』
東吾は怒りのあまり、燃え上がった。
(ふざけるな~!なんでお前みたいなクソガキが穂乃花と付き合うんだ~!)
東吾が優を敵視するのは理由があった。
―――「穂乃花!お兄ちゃんと砂場で遊ぼうか?」
「やった!」
東吾と穂乃花が砂場で遊んでいると優がやってきた。
「穂乃花!」
「優!優も遊びに来たの?」
「うん!一緒に遊ぼう?」
「いいよ!お兄ちゃん。優と遊んでもいい?」
「え……あ……うん」
穂乃花は嬉しそうに優の方に走っていく。
(あ、あのガキ……俺の穂乃花を奪いやがって……)
それからも優と会う機会が何度もあり、その度に穂乃花は優と遊んでいた。
―――(よりにもよってあのクソガキが穂乃花と付き合うなんて……)
『それでお兄ちゃんも喜んでくれる?』
「ダメだ。優とは今すぐ別れろ」
『なんで?』
「あいつは俺と穂乃花の仲を邪魔しようとする不届き者だからだ」
『優はそんな人じゃないよ?』
「だって!俺が穂乃花と遊ぼうとすると絶対あいつがいたじゃないか!」
東吾が泣きながら訴える。
『小さい頃の話じゃん。それにお兄ちゃんも優と遊んでたくせに』
「あれは優がしつこかったから仕方なく遊んだんだよ!」
『お兄ちゃん……私の幸せを願ってくれないの?』
「う……」
そうだ。反対する理由が俺の我儘じゃないか。それ以外に反対する理由は……
「……優といて楽しいか?」
『うん。すごく』
「そっか。まぁ……穂乃花が幸せなら俺はそれを尊重する」
「やった!ありがとうお兄ちゃん!じゃあね!』
電話が終わると東吾は布団に籠った。
(でも穂乃花の彼氏が優なのが腹立つ~!帰省した時にボコボコにしてやる~!)
東吾は今度の休みに帰省することを決めた。




