第32話 マシュマロ彼女とお花見
春休みに入り、野球部は夏の甲子園出場に向けて練習していた。
「はぁ……はぁ……」
部員たちがランニングするのを美咲と穂乃花が見つめる。
「練習頑張ってるね」
「春のセンバツに出場できなかったからね」
「甲子園……行けるかな」
「行けるよ。絶対」
穂乃花はピッチング練習をする優を見つめる。
(初詣でお願いしたもん。きっと大丈夫)
「もうすぐ二年生か~。進級する実感ないなぁ~」
「後輩ができるし、どれくらいの一年生が野球部が入ってくるかな?」
「これ以上部員が増えたら私たち死んじゃうよ。マネージャー増えないかなぁ~」
「もしかしたら入ってくるかもしれないね」
「終わった~」
優が地面に座り、水筒に入った水を飲む。
「お疲れ様」
「お疲れ。今日は早く帰れて嬉しいよ」
今日は春休み期間で唯一の午前のみの練習。
毎日夜まで学校で練習するので疲労が溜まる。
そのため、午前のみの練習はかなり嬉しい。
「それなんだけど……ちょっとうちに付き合ってくれる?」
「デートか?いいけど……」
「ありがとう!早く行こう!」
一体どこに行くのだろうか?
「着いた!」
「ここって……」
着いた場所には満開の桜が何本も咲いており、多くの家族が木の下でお花見をしていた。
「優とお花見したくてさ」
「いいけど昼食ないだろ?」
「ふふん。待ってて」
穂乃花がリュックから大きな何かが入った風呂敷を取り出した。
「じゃ~ん!お弁当作ってきました!」
穂乃花が風呂敷から弁当箱を出すと蓋を開ける。
「どう?」
「すごいな。これ全部穂乃花が作ったのか?」
「半分ぐらいはお母さんが作ってくれた」
「それでもすごいな……」
優は穂乃花の手料理の上手さに感心する。
「好きなの取っていいよ」
穂乃花が優に取り皿を渡す。
「ありがとう。いただきます」
優は弁当から食べ物を取っていく。
「美味しい」
「よかった。ちなみにその玉子焼きはうちが作ったんだよ?」
「すごいな。さすが穂乃花だな」
「えへへ。褒めても何も出ないよ?」
穂乃花もご飯を食べる。
「桜……綺麗だね」
「あぁ……」
風が吹き、桜の花びらが舞う。その一つが穂乃花の髪に落ちる。
「穂乃花。花びらが……」
「何?」
穂乃花がこっちを向くと、優はドキッとする。
「やっぱり……可愛いな……」
「え?」
優は穂乃花にキスをする。
穂乃花は突然の出来事にドキッとする。
「花びら……髪に付いてた」
「じゃあキスする必要ないじゃん……」
「嫌……だったか?」
「嫌……じゃない」
二人はドキドキしながら昼食を食べた。
あれから数日経ち、入学式の日になった。
「新入生の人は自分のクラスを確認してその教室に移動してくださ~い」
在校生が誘導する。
「なぁ。あの子めちゃくちゃ可愛くないか?」
「あぁ?どの子だよ?」
「ほら、校門の前に立っているあの子だよ」
「どれどれ?……っちゃ可愛い!」
在校生たちが見惚れていた美少女はスマホを見つめていた。
スマホの画面には優が映っている。
「やっと会える……私の王子様♡」
スマホをポケットにしまうと校舎に向かって歩き始めた。
第一部:完




