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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第一部

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30/94

第30話 マシュマロ彼女の本命チョコ

優が教室に入ると男子たちがそわそわしていた。


「お前……まだ貰ってないよな?」

「そっちこそ貰ってないよな?」

「貰ったら許さないぞ」

「俺だって」


クラスメイトが睨み合っている。


「咲人。皆なんでそわそわしているんだ?」

「今日バレンタインだからだろ?」

「あっ……」


そうか。今日は2月14日……バレンタインか。


「だからか……」

「いいなお前は。雪宮から貰えるんだろ?」

「そ、そうかな?」


去年は皆に渡していたチョコと同じのを貰ったけど……

今年は本命チョコ……だよな?


「咲人は?チョコ欲しいの?」

「別に恋愛に興味ないし。他の男と一緒にするな」

「素っ気ないなぁ……」



昼休み。優は食堂で穂乃花とご飯を食べていた。


「今日はバレンタインだからチョコレートパフェにしたんだ~!」


穂乃花が美味しそうに食べる。


「優のクラスはバレンタインで告白された人とかいた?」

「いや、休み時間の度にロッカーを確認して落ち込むの繰り返しが多いよ」

「そうなんだ。うちのクラスはバレンタインを気にする男子はいなかったなぁ~」

「ふ~ん」

「優のチョコも用意してるから放課後渡すね」

「ありがとう」



放課後。野球部の面々が練習に取り組んでいると美咲が大声で呼びかける。


「皆さん~!今日はバレンタインということでマネージャー陣からチョコを渡しま~す」

「マジで⁉」


部員たちが嬉しそうに美咲の元に走る。


「さぁさぁ皆さんどうぞ!」


美咲と穂乃花が部員たちにチョコが入った包みを渡していく。


「ほら優もどうぞ」

「ありがとう」


穂乃花から受け取った瞬間、あることに気づく。


(これ、去年と同じ流れでは?)


去年のバレンタインで渡されたチョコも皆と同じものだった。

その時は義理チョコだったから当然だが、今は恋人関係だ。

自分だけ特別なチョコを貰えるって期待していたんだけど……


(まぁ……貰えるだけありがたいと思うか)


「さぁさぁ!チョコを貰って元気になったらさっさと練習してくださいね!」

「おう!」

「甲子園優勝するぞ!」


部員たちが練習に戻る。


「無事に渡せてよかったけど疲れたね~」

「そうだね。喜んでもらってよかった」


美咲は家で穂乃花と共にチョコを作っていた。

先生、友達、部員……渡す人が多かったので作るのがかなり大変だった。


「でもやっぱり本命チョコ渡したいなぁ~義理だったらただプレゼントしてるだけの気分」

「美咲は好きな人いないの?」

「いないから言ってるのよ。野球部にもいい男いないし」

「そんなこと言わないでよ!優はいい男だよ!」

「それ、捉え方次第では山城以外はダメ男に聞こえるよ……」



「練習終わり!各自解散!」

「うっす!」


部員たちは荷物を持ち、学校を出る。


「優。帰ろう?」

「おう」


二人は帰り道を歩く。


「穂乃花のチョコ。美味しかったぞ」

「もう食べたの?」

「練習疲れるから甘いものが欲しくなるんだよ」

「そっか。よかった」


歩いていると優の家に着いた。


「じゃあまた明日」

「ま、待って!」

「どうした?」


穂乃花が鞄からプレゼントが入った包みを取り出した。


「これ……」

「何それ?」

「バレンタイン……だから……」

「?放課後貰っただろ?」

「~~~!」


穂乃花が恥ずかしそうに言う。


「気づいてよ……本命チョコって……」

「……え?」


優は思わず固まってしまう。


「じゃあ放課後貰ったのは?」

「あれは……義理チョコっていうか……幼馴染チョコ……かな?」

「そっか……ありがとう!凄く嬉しい!」


優が笑顔になる。


「優のために作ったんだからちゃんと味わってよね」

「もちろんだよ」

「じゃあまた明日」

「お返しちゃんとするから」

「期待してるよ」


穂乃花は嬉しそうに帰った。

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