第27話 マシュマロ彼女を好きになった瞬間
大晦日。優と穂乃花は部屋で電話をしていた。
「へぇ~そんなことがあったんだ」
「あぁ。マジで大変だったわ」
楽しく会話をしていると穂乃花があることを聞いてきた。
「優はさ。いつうちのことが好きになったの?」
「えっ……」
言わないとダメかな……恥ずかしいんだけど……
「教えてよ」
「……しょうがないなぁ」
優はゆっくり語り始めた。
―――優が保育園児の頃、転入生でぽっちゃりした少女がやってきた。
「今日から新しくもも組のメンバーになった穂乃花ちゃんです!穂乃花ちゃん。自己紹介して」
「ゆ、雪宮穂乃花です……よろしくお願いします……」
「皆仲良くしてあげてね」
「は~い!」
優が大声で返事する。
「僕は山城優!よろしくね!」
「よろしく……」
「ねぇねぇ!一緒にお絵かきしよう?」
「え、えっと……」
「こっち来て!」
優がクレパスとスケッチブックを取りに行く。
「穂乃花ちゃん。行っておいで」
「は、はい……」
穂乃花は緊張しながら優のところに行く。
「穂乃花ちゃんは何描く?」
「何書けばいいかわかんない……」
「じゃあお互い好きなものを書こうよ!」
「う、うん……」
お互いに絵を描き始める。
「できた!穂乃花ちゃんもできた?」
「うん……」
「じゃあ僕の絵を見てよ」
優の紙には犬、戦隊ヒーロー、お母さんが描かれていた。
「これが優君の好きなもの?」
「うん!穂乃花ちゃんは何描いたの?」
「えっと……」
穂乃花が絵を見せるとケーキ、プリン、ホットケーキが描かれていた。
「食べ物ばっかりだね。穂乃花ちゃんって食いしん坊なの?」
「く、食いしん坊じゃないもん……」
穂乃花が恥ずかしそうに言う。
(か、可愛い……)
優の頬が赤くなる。
「ほ、穂乃花ちゃんって絵上手だね」
「そうかな?」
「ほかの絵も見たいなぁ~。描いてみてよ」
「うん……」
穂乃花が絵を描く。
「できた……」
見てみると寿司、ハンバーグ、エビフライ……
「……穂乃花ちゃんってやっぱり食いしん坊?」
「食いしん坊じゃないもん!」
穂乃花が大声で否定する。
「穂乃花ちゃんって大きい声出せたんだ」
「うち、初めて行く場所は緊張しちゃうの……だから前の保育園でも友達あんまりできなかったんだ……」
「そっか。じゃあ僕がこの保育園最初の友達だね!」
「えっ?」
「僕が友達になればここで緊張することないでしょ?」
「そ、そうかもしれない……」
「もっと一緒に遊ぼう?穂乃花ちゃん!」
優が微笑むと、穂乃花もこの保育園で初めて笑顔になった。
「うん!」
穂乃花がやってきて一週間が経った。
あれから優と穂乃花は園庭で鬼ごっこする仲になった。
「優待ってよ!」
「僕を捕まえられるかな?」
優が全力で逃げていると、つまづいてこけてしまった。
「痛っ!」
「優大丈夫?」
穂乃花が心配して駆け寄る。
「大丈夫だって……」
「大丈夫じゃないじゃん!膝から血出てるじゃん!」
穂乃花がティッシュを取り出して膝を抑える。
「痛いの痛いのとんでいけ!」
「それ……効かないよ?」
「効くもん!うちが怪我した時にお母さんがやったら効いたもん!」
それ多分気持ちの問題だと思う……
「優立てる?先生のとこ行こ?」
「うん」
無事手当てをしてもらい、優の膝には絆創膏が貼られた。
「これで大丈夫!」
「先生ありがとう!」
「気をつけてね」
優がもも組に戻ると真っ先に穂乃花が近づいてきた。
「優大丈夫?」
「うん。絆創膏貼ってもらったし」
「よかった……」
「それより鬼ごっこの続きしようよ!」
「ダメ!」
「なんでだよ?」
「だって……優が心配だもん……」
穂乃花が泣きかけている。
「な、何泣いてるんだよ……」
「な、泣いてないもん!今はうちとお絵描きするの!」
「また食べ物描くの?食いしん坊だな~」
「食いしん坊じゃないもん!早くお絵描きしよう?」
穂乃花がスケッチブックを取りに行く。
(今の穂乃花……可愛かったな……胸がドキドキする……)
―――「多分、あの時に好きになったんだと思うな」
「そんなことあったっけ?」
「覚えてねぇのかよ」
「あっ。0時過ぎた」
穂乃花に言われて時計を見ると新年を迎えていた。
「あけましておめでとう。優」
「あけましておめでとう。穂乃花」
「今年もよろしくね」
「こちらこそよろしく」
優と穂乃花は新年の挨拶を交わした。




