第24話 マシュマロ彼女とおままごと
部活が終わり、優は帰宅の準備をする。
(明日は久々の休みだ!)
最近は秋季大会の練習があって休めなかったが、大会も終わったことで土日は自主練になった。
(それに明日は……小春ちゃんが来る日だ!)
優がワクワクしているのを穂乃花が不思議そうに見つめていた。
翌日。ピンポンとインターホンが鳴る。
「お邪魔します」
「優君久しぶり」
「お久しぶりです。おじさん。おばさん」
おじさんとおばさんの後ろから少女が走って優に抱きついた。
「優にい!」
「小春ちゃん!久しぶりだね!」
優は小春をギュッと抱きしめる。
「小春が優君に会いたい会いたいってずっと言っていたからな」
「優にい!一緒に遊ぼ!」
小春は優の従妹だ。
一人っ子で妹が欲しかった優と優を兄のように慕っていた小春は本当の兄妹のように仲が良い。
(前会った時は小さかったのに今はこんなに大きくなって……成長が早いなぁ……)
「よし!今日はたくさん遊ぼうか!」
「うん!」
早速、優と小春は積み木で遊んでいた。
「できた!」
「これは何を作ったの?」
「お家!」
「すごいね」
「次は何作ろうかな?」
小春は積み木を崩して、何作るかを考える。
「優。せっかくだから公園に連れて行ってあげたら?」
「公園?行きたい!」
「じゃあ行くか」
優は小春を連れて公園に来た。
「優にいかくれんぼしよう?優にいが隠れて!」
「分かった」
「じゅう~……きゅ~……は~ち……」
小春が数えている間に優はジャングルジムの陰に隠れる。
「い~ち……ぜーろ!も~うい~かい?」
「も~うい~いよ」
「どこだろう?」
小春がきょろきょろ周りを見て優を探す。
(見つけられるかな?)
優が探している小春を見つめていると後ろから誰かが話しかけて来た。
「優そこで何してるの?」
「穂乃花⁉」
優の声に気づき、小春が近づく。
「優にい!見つけた!」
「あちゃ~見つかったか」
「かくれんぼしてたの?ごめんね」
「いいよ別に」
「おねえちゃんは優にいの友達?」
「友達っていうか……その……」
恥ずかしがるなよ……こっちも恥ずかしくなるだろ……
「このおねえちゃんは俺が大好きな人だよ」
「!」
「ふ~ん。なら小春もおねえちゃん大好き!」
「ありがとう」
穂乃花が小春の頭を撫でる。
「この子ってこないだ優が自慢してた従妹?」
「そう。小春ちゃん」
「うちは穂乃花。よろしくね」
「穂乃花おねえちゃんも一緒に遊ぼう?」
「うん!」
砂場に移動し、小春はスコップで砂をすくう。
「懐かしいね。うちらも砂場でよく遊んだよね」
「無理やり穂乃花に付き合わされてな」
「そう言ってうちのこと好きだから付き合ってくれたんじゃないの?」
「べ、別にそんなんじゃねぇよ!」
「ふふ。今の優ツンデレみたい」
二人で喋っていると、小春が砂場遊びのセットを穂乃花に渡す。
「おままごとしよう?優にいが小春のパパ、穂乃花おねえちゃんが小春のママね?」
「分かった」
「ママ~。お腹空いた~」
「今作るからね~」
穂乃花がスコップで砂をすくう。
「これをこうして……」
「……」
穂乃花が砂で料理を作っているところを優がじっと見つめる。
(穂乃花と結婚したら今みたいに作ってくれるのかな?)
―――優は穂乃花のエプロン姿を想像する。
「おかえり。ご飯できてるよ」
机には手料理がズラッと並んでいる。
「こんなに食べきれないって……」
「大丈夫!残ったらうちが食べるから!」
「相変わらず食いしん坊だな」
「食いしん坊じゃないもん!」
穂乃花が頬を膨らませる。
「ほら!早く食べよう?うちもお腹空いた!」
―――「優?」
優がハッと我に返ると穂乃花が砂で作ったドーナツが置いてある。
「ご飯できたよ?」
「あ、あぁ……ありがとう」
「いただきます!」
小春が食べるふりをする。優も食べるふりをする。
「美味しい!」
「よかった。優は?」
「……」
―――「今日の料理美味しい?」
「美味しいよ。穂乃花は料理上手だな」
「当然よ。うちは食べるのが好きだから作るのも上手にならないとね」
穂乃花は自分の手料理を美味しそうに食べる。
「穂乃花」
「何?」
「俺、穂乃花と一緒に居れてすごく……」
―――「優?」
「な、何?」
「大丈夫?さっきから上の空だけど……」
「大丈夫だよ」
「ならいいけど……」
「穂乃花おねえちゃん!次は団子作ろう?」
「いいよ」
優は穂乃花と小春が遊ぶ姿を微笑ましそうに見つめていた。
「ただいま~」
「おかえりなさい。あら寝ちゃったのね」
優は眠っている小春をおんぶしていた。
「夕方まで遊んでいたから」
「きっと楽しかったのね。ありがとね優君」
「いえ、俺は大したことしてませんから」
優は小春をおじさんに渡す。
「優これ」
穂乃花が小春の砂遊びセットを渡す。
「あら、あなたが優君の彼女?」
「は、はい……」
「可愛い人選んだね」
「そうでしょ?」
「ちょっと優……」
「間違ったこと言ってないもん」
「もう……」
「ちょっと穂乃花を家に送ってくるって母さんに伝えておいてください」
「分かったわ。穂乃花ちゃん。この子と遊んでくれてありがとう。また遊んであげてね」
「はい!」
「小春ちゃんと遊んで楽しかったな~。久々に子供に戻った気分」
「穂乃花は元々子供っぽいけどな」
「どこが?」
「食いしん坊なところとか」
「食いしん坊じゃないもん!」
「はいはい」
いつも通りの会話をしていると穂乃花が口を開いた。
「あのさ……優はうちと結婚したら子供欲しい?」
「!」
優は思わず立ち止まる。
「急にどうしたんだよ?」
「小春ちゃんと楽しそうに遊んでいたから……子供好きなのかなって……」
そっか……そんなこと全然考えたことなかった。
穂乃花と幸せな家庭を築くことを考えていたけどその中には俺たちの子供がいる可能性があるのか……
「それで……どうなの?」
「俺は……欲しいと思ってる」
「そっか……」
「穂乃花は?」
「うちも……優の子供欲しい……かな」
「そっか……」
お互い顔が赤くなる。
「い、家着いたな!」
「う、うん!送ってくれてありがとう」
「じ、じゃあな!」
優が足早に帰ると、穂乃花は家に入った。
「ただいま」
「おかえり。遅かったわね」
「ちょっと優と会って」
「そっか。もうすぐご飯できるからね」
穂乃花は手を洗い、部屋に籠る。
『俺は……欲しいと思ってる』
優の言葉がしばらく穂乃花の心から離れなかった。




