第20話 マシュマロ彼女の誕生日プレゼント
秋季大会決勝。9回裏の2アウト2ストライク3ボールの満塁。
現在、試合は3-2で光星学園がリードしている。
優が試合後半のピッチャーを努めていた。
(まずい……)
優の心臓がドクドクしている。次の投球で全てが決まる。
チームメイトや監督、穂乃花が優を見つめている。
(よし!)
優がボールを投げると、バッターが打つ。
(!!!)
優が打ち上がったボールを見るとゆっくりと選手の方に落ちていき、キャッチされる。
「3アウト!ゲームセット!」
両チームの選手が向かい合う。
「ありがとうございました!」
秋季大会は光星学園の優勝で幕が閉じた。
帰り道、優と穂乃花は夕方の歩道を歩いていた。
「疲れた~」
「お疲れ様」
「今日は結構やばかったな……」
優は後半からの登板だったが、何度もヒットを打たれた。
皆のおかげで何とかなったが、甲子園ではそういうわけにはいかない。
「俺、まだまだだな」
「次に向けて頑張らないとね」
「そうだな」
もっと練習しないとな……
「ねぇ。ちょっと優の家に寄ってもいいかな?」
「いいけど……なんで?」
「えぇと……優と一緒に居たいからじゃダメ……かな?」
全然いいです。
家に上がると遅い時間ということもあって真っ暗だった。
「あれ?おばさんいないの?」
「決勝の応援の後に偶然ママ友と会ったから遅くなるって」
「そ、そうなんだ……」
二人は優の部屋に入る。
「優……」
「ん?」
穂乃花が鞄から何かを包んだプレゼント袋を取り出す。
「お誕生日おめでとう!優!」
「あっ……」
そういえば今日誕生日だったな。決勝に緊張してて忘れていた。
「ありがとう。開けていい?」
「うん」
優が袋を開けるとゲームソフトのパッケージが出てきた。
「これ……」
「優欲しいって言ってたでしょ?」
「ありがとう!すげぇ嬉しい!」
「よかった……買ってたらどうしようかと思った」
穂乃花がホッとする。
「じゃあ……プレゼントも渡したし帰るね」
「来たばっかりなのに帰るのか?」
「……?うん」
「そっか……」
「じゃあまたね」
穂乃花が部屋を出ようとすると優が手を引っ張る。
「優?」
「俺と一緒に居たいって言ったの噓だったのか?」
「う、噓じゃないよ。プレゼントを二人きりの時に渡したかったからそう言っただけで……」
「じゃあ今日誕生日だからさ……穂乃花にわがまま言ってもいい?」
「内容次第だけど……何?」
「俺と居てよ」
「!……うん。優がそう言うなら……」
穂乃花が部屋に戻り、座る。
(珍しいな……優がそんなこと言うなんて……)
そう思っていると優が抱きついてきた。
「優?」
「疲れた……」
「よしよし」
穂乃花が頭を撫でる。やがて抱きつく力がなくなっていき、膝に倒れる。
「穂乃花……膝も柔らかい……」
「あんまりそう言うこと言わないでよ……恥ずかしいから……」
「……」
「優?」
寝息が聞こえる。眠ってしまったようだ。
「優。お疲れ様」
穂乃花はしばらく優の頭を撫でていたが眠ってしまった。
(ん?)
優が目を開ける。
(穂乃花の膝枕で寝ちゃってた……)
起き上がると穂乃花も目を覚ます。
「優……起きた?」
「あぁ……ごめんな。急に寝ちゃって」
「疲れてたんだから仕方ないよ」
話していると急にドアが開き、母親が入ってくる。
「起きた?ご飯できたわよ」
「もう帰ってたのか?」
「とっくに帰ってきてるわよ。穂乃花ちゃんも今日は泊まりなさい。お母さんには連絡しておいたから」
「えぇ⁉」
「母さん!勝手に話を進めるなよ!」
「何言ってるのよ!誕生日だから穂乃花ちゃんと過ごしたいでしょ!」
「そ、それは……」
「おばさんと優がいいなら……」
「じゃあ……食べるか」
急遽、穂乃花が泊まることが決定した。




