第18話 マシュマロ彼女がメイドになっていた
「ありがとうございました!」
優が客を見送ると旭が話しかけて来た。
「優。もう行っていいぞ」
「え?俺まだ時間経ってないのに?」
「人少なくなったしな。それに穂乃花ちゃんと早く回りたいだろ?」
「それはそうだけど……」
「ちなみに優。穂乃花ちゃんに聞けなかったんだけど……」
「?」
「穂乃花ちゃんとキスした?」
「じゃあ行ってくるわ」
優は穂乃花に電話するが繋がらない。
(電池切れか?とりあえず穂乃花のクラスに行ってみるか)
優が穂乃花のクラスに行くとすごい行列ができていた。
(うわ~すご……)
一応メールを送ったが未読のようだ。
(繋がるまでメイド喫茶で時間潰すか……)
行列に並ぶこと10分。ようやく教室に入ることができた。
「いらっしゃいませご主人様!……って山城じゃない!」
「よぉ濱野」
「穂乃花と付き合ってるのに浮気?」
「違ぇよ。穂乃花と連絡繋がらないから時間潰しに来ただけだよ」
「そういうことね。だったら……」
美咲が急に離れる。
(何しに行ったんだ?)
すぐに美咲が誰かをつれて戻ってきた。
「お待たせしてすみません!こちらのメイドに対応させますので!」
「ちょっと美咲!急に呼び出して何……あっ」
優と穂乃花の目が合う。
「穂乃花……?」
「ち、違うの!これは美咲が人手足りないからって……」
優は穂乃花のメイド姿に見惚れていた。
メイド服で穂乃花のぽっちゃり特有のムチムチが強調されている。
「じゃあ穂乃花!このご主人様の対応お願いね!」
「あっちょっと!」
美咲がいなくなり、静かになった二人が取り残される。
「えっと……こちらの席どうぞ……」
「あっ……はい」
穂乃花に案内され、優が席に座る。
「こちらメニューになります……」
「ありがとうございます……」
気まずい空気が流れる。
「ご注文お決まりになりましたらお呼びください……」
「はい……」
優はメニューを開くが、文字が入ってこない。
(穂乃花のメイド姿……破壊力ヤバいな)
「す、すみません……」
「はい……」
穂乃花が伝票を持ってやって来る。
「この……愛情たっぷりケチャップオムライスで……」
「かしこまりました……」
穂乃花が恥ずかしそうに去っていく。
「穂乃花!ちゃんと接客しないとダメでしょ!」
美咲が注意する。
「だって……優が来るなんて聞いてないもん……」
「私だって聞いてないわよ」
「元々美咲が優を対応させたのが悪いんでしょ!」
「メイド姿になった彼女に対応してもらうほうが喜ぶでしょ」
「それは……そうかもしれないけど……」
「オムライスできたよ」
「ほら!行ってきなさい!」
「うぅ……」
穂乃花が恥ずかしそうにオムライスを持ってくる。
「お待たせしました……愛情たっぷりケチャップオムライスです……」
「あれ?ケチャップかかってないけど?」
「こ、これから……ご、ご主人様への愛情を込めて……ケ、ケチャップをかけます……」
穂乃花がケチャップをかけ始める。
「あ、あの……恥ずかしいので目を瞑っていただけますか?」
「はい……」
優が目を瞑る。するとケチャップを出す音が聞こえる。
(長いな……そんなに時間かかるか?)
少し経ち、ケチャップを出す音が聞こえなくなった。
「お、お待たせしました……目を開けて、お召し上がりください……」
優が目を開けるとそこに穂乃花の姿はなかった。
「!」
オムライスの卵にケチャップで『ゆう大好き』と書かれている。
「ちょっと穂乃花……ハート書くだけで何恥ずかしがってるのよ」
「~~~!」
穂乃花は真っ赤になった顔を誰にも見られないように両手で隠す。
(嬉しいけど穂乃花。一つ言いたいことがある……)
スプーンがありません……
「ごちそうさまでした!」
優が立ち上がる。
「あ、ありがとうございました……」
穂乃花が頭を下げる。
「その……穂乃花のメイド姿見たかったから見れて嬉しいよ」
「でも……変じゃないかな?」
「そんなことないよ。すごく可愛い」
「ありがとう……」
さっきのオムライスのこともあってお互い照れくさくなる。
「お客様!追加料金を払えばチェキ撮影ができますがどうしますか?」
美咲がカメラを持っている。
「撮ってもいい?穂乃花」
「……優が撮りたいなら」
「じゃあそこに並んでください!」
美咲がカメラを構える。
「はい!チ~ズ!」
パシャ!
「OKです!こちらの写真どうぞ!」
「ありがとう」
「穂乃花ももう行っていいよ!」
「でもまだ人が……」
「彼氏と一緒に居たいでしょ?」
「うん……」
「行っておいで!」
「ありがとう!」
「じゃあ行こうか」
「うん!」
優は会計を終わらせて、穂乃花と共に教室を出た。