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マシュマロが好き  作者: 鵲三笠
第一部
15/91

第15話 マシュマロ彼女が不機嫌です。

「優~!起きて~!」

「うん?」


優が目を開けると幼馴染の……いや、彼女の穂乃花がいた。


「朝練遅れちゃうよ?」

「あと5分だけ……」

「起きないと必殺技使っちゃうぞ~」


寝ている優に穂乃花が乗っかる。


「重い……」

「あれ?いつもしんどそうにするのに……」

「さすがに慣れたよ。残念だけど必殺技は通用しないよ」

「どうしようかな……」

「諦めな。じゃあ5分だけ寝るから……」


優は穂乃花が乗ってるにも関わらず寝始める。

穂乃花は少し考えて、何か思いついたのか優に耳打ちする。


「起きないとチューするよ?」

「!!!」


優が慌てて起き上がる。


「よ~し!朝飯食べようっと!」


優が部屋を出ると、穂乃花は頬を膨らませる。


(優のバカ……)



「行ってきま~す!」


優と穂乃花が玄関を出る。


「今日いい天気だな」

「……」

「どうした穂乃花?」

「ふん!」


穂乃花が不機嫌そうに先に歩く。


「おいおい。なんで先に行くんだよ」

「……」

「一緒に行こうよ」

「……」

「食堂の超大盛り特大ビッグビッグラーメン奢るから」

「!……ふん!」

(今、一瞬迷ったな……)


結局、穂乃花が先に学校に行ってしまい、優が着いた頃には穂乃花はマネージャーの仕事をしていた。


「なぁ穂乃花。先に行くなよ」

「うちに話しかけてないで早く練習したら?」


穂乃花がすぐに去ってしまう。


(朝から不機嫌だな……俺何かしたっけ……)



昼休みになるといつも穂乃花が教室に来るが、今日は来ない。


(あれ……もしかしてまだ不機嫌かな?)


優は穂乃花のクラスに向かう。


「穂乃花~食堂行こう~」


穂乃花が優に気づくがすぐに目をそらす。


「超大盛り特大ビッグビッグラーメン奢るよ」

「!」


穂乃花がピクッと反応する。でも目を合わせてくれない。


「唐揚げつける」

「……」

「ホットドッグつける」

「!……」

「わかった……デザートつける」

「……しょうがないなぁ」


穂乃花が優のところに来る。無事、穂乃花と食堂に行くことができた。



「お待たせ穂乃花ちゃん!超大盛り特大ビッグビッグラーメンだよ!」


食堂のおばちゃんが巨大などんぶりを穂乃花に渡す。


「お、美味しそう……!」


穂乃花の目が輝いている一方、優の目は沈んでいた。


(さ、財布があっという間にすっからかんに……高すぎるだろ……)


「いただきま~す!」


穂乃花がどんぶりにある大量のラーメンをバクバク食べる。


「美~味し~い!」

「よかったな……」

「どうしたの優?元気ないよ?」

「大丈夫だよ……」


まぁ機嫌良くなったならいいか……



部活が終わり、優はバッグを持って穂乃花に話しかける。


「穂乃花~。帰るぞ」

「うん!」


帰り道も機嫌悪いかと心配したが、大丈夫そうだ。


「今日、監督に褒められたよね」

「あぁ。秋季大会も大丈夫だろうって太鼓判を押されたよ」

「頑張ってね!」

「おう!」

「あのさ……優……」


穂乃花が恥ずかしそうに話しかける。


「どうした?」

「手……繋ごう?」

「!……おう」


優が穂乃花と手を繋ぐ。


「懐かしいなぁ~優と手繋ぐの」

「そうだな……」


穂乃花の手……あの時より柔らかくなったな……


「そういえば穂乃花。朝、機嫌悪かったけど俺何かした?」

「……優のバカ!」


穂乃花が手を離し、先に帰って行く。


(ヤバ……言わなければよかった……)


これは明日の朝、迎えに来てくれないかもな……



「優~!起きて~!」

「うん?」


優が目を開けると穂乃花がいた。


(来てくれたんだ……)

「朝練遅れちゃうよ?」

「あと5分だけ……」


穂乃花は期待していないが一応言う。


「起きないとチューするよ?」


優がピクッと反応し、起き上がる。


(また起きた……うちとチューしたくないのかな……?)

「穂乃花……ベッドに座って……」

「何?」


穂乃花は言われた通り、ベッドに座る。

すると、優が穂乃花に抱きついた。


「優⁉」

「……この状態であと5分……」

「ダ、ダメに決まってるでしょ!」

「穂乃花ってマシュマロみたいにすごく柔らかい……最高の抱き枕だ……」

「!!!」


起こさないといけないのに、もう少しこの状態でいたいという自分がいる。


「……あと5分だけだからね」

「おやすみ~……」


そう言った瞬間、優から寝息が聞こえる。


(今はこれでいいか……)


穂乃花はおとなしく5分待つことにした。

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