第13話 マシュマロ幼馴染への告白を賭けた競走
リレーでは咲人がアンカーで走り、一位に輝いた。
「すごいな咲人!一位になるなんて!」
「まぁな。それより次借り人競走だろ?大丈夫か?」
「あぁ!絶対勝ってやるから見とけよ!」
『最後は全学年共通種目の借り人競走です。出場する生徒は招集場所に集合してください』
優が招集場所に移動すると空がいた。
「やぁ。山城君」
「お久しぶりです。先輩」
「いよいよだね。僕に勝てるかい?」
「勝てる勝てないではありません。勝ちます」
『それでは選手入場です』
(絶対勝ってやる!)
優は前の選手に続き、入場した。
「位置について!よ~いドン!」
選手が一斉に走り始め、お題の紙を引く。
「は⁉腕時計つけてる先生って誰だよ!」
「左利きの人……俺のクラスに居たっけ?」
「高校に入ってテストで100点取った人……いるの?」
聞いた感じ、結構バラエティーなお題が多い。
(これ先輩と勝負なるかな?)
もしかしたら二人共、穂乃花が答えのお題を引けない可能性がある。
(その時はその時だ)
選手たちが次々とお題に該当する人と走り、ゴールする。
「それでは最終走者の人はスタートラインに並んでください!」
優がスタートラインに並ぶ。空も自分の位置に着く。
「位置について!よ~いドン!」
一斉にスタートする。優がお題の紙を引く。
(お題は……)
お題を見ると、優は大きく目を開いた。
(急ごう!)
優はダッシュで観客席に向かう。
階段を上ると空が自分とは反対側の階段から一年生の観客席に向かっているのが見える。
(噓だろ⁉)
空も穂乃花が答えなのだろうか?
(急いで行か……)
焦って走っていると優は階段を踏み外してしまった。
(えっ?)
優は手すりを掴めず、落ちてしまった。
一方、穂乃花は観客席でお菓子を食べていた。
(優のお題何だろうなぁ~)
考えながらお菓子をバクバク食べる。
「穂乃花ちゃん!」
穂乃花が振り返ると空が立っていた。
「あ、秋風先輩!」
「穂乃花ちゃん。お題に当てはまるから来てくれ!」
「えっ?はい!」
穂乃花が席を立ち上がる。
「さぁ!行こう!」
空が手を差し出す。
「はい!」
穂乃花は空と手を繋ぐ。
自分を指名してくれるなんて……一体どんなお題何だろう?
「痛ってぇ~」
「大丈夫?」
階段から落ちた優に先生が声をかける。
「大丈夫です!少しよそ見してただけ……」
立ち上がると、右足がズキッと痛む。
「うっ!」
「怪我してるじゃないか。すぐ保健室に……」
「止めないでください!早く行かないと……!」
「これ以上無理させることはできない。そこの君!保健室の先生に車椅子を持って来るように伝えてくれ」
「わ、わかりました!」
「待っ……!」
優は立ち上がるが、右足が痛む。
「……っ!」
「君がどんな理由で頑張っているかは分からないけど、今は君の体が大事だ。ここで待ってなさい」
「……わかりました」
少し経つと、保健室の先生が車椅子を運んでやって来る。
「怪我したのは?」
「この子です」
「車椅子に座って」
「……はい」
優は先生の腕にしがみつきながら歩き、車椅子に座る。
「では保健室に運びます。先生は実行委員に連絡してください」
「分かりました。お願いします」
保健室に向かう道中で優は涙を流した。
(穂乃花……先輩と幸せになれよ……)