第1話 マシュマロ幼馴染の好きな人
最近、野球部に入部した山城優はグラウンドでピッチング練習をしていた。
「ナイス!いい球だぞ!」
「ありがとうございます!」
優は再び投げる体制に入る。
(レギュラーに選ばれてあいつにカッコイイところを見せるんだ!)
優は幼馴染への想いを胸に球を投げた。
「優~!起きて!」
「うん?」
優が目を開けると幼馴染の雪宮穂乃花がいた。
「朝練遅れちゃうよ?」
「あと5分だけ……」
「起きないと必殺技使っちゃうぞ~」
寝ている優に穂乃花の重い体が乗っかる。
「重い!潰れる!」
「重いって何よ!ちょっと肉づきがいいだけだもん!」
「よすぎるにも程があるだろ!」
「早く起きて!」
「わかった起きるから!」
「おはよう優」
「母さん!穂乃花を部屋に入れるのはやめてくれよ!」
「起こしてくれるんだからいいじゃない」
「母さんが起こしてよ!」
「起こしてもあんた起きないでしょ。早く歯磨きして朝ごはん食べなさい!」
「わかったよ」
優は洗面所に向かい、歯磨きをする。
「穂乃花ちゃんもいつもごめんね」
「いえいえ!優を起こせるのはうちだけなんで!」
「是非とも穂乃花ちゃんが優のお嫁さんになってほしいわ」
「それはちょっと……」
「あらごめんなさい!一人で早起きできないような人と結婚しても嫌よね!」
「あはは……」
「ほら優!さっさと食べなさい!穂乃花ちゃん待たせてるわよ!」
「わかってるって!」
その後、優は何とか朝練に間に合いひたすら練習、練習、練習。
やがて、登校時間になり朝練が終了。
優は更衣室でユニフォームから制服に着替えて、教室に入る。
「おはよう」
「おはよう優。野球部は大変だな」
優の後ろの席に座っているのが親友の前田咲人。優の親友だ。
「ヤバい。眠すぎる……」
「おいおい。まだホームルームすら始まっていないぞ」
「無理矢理起こされて……朝練に参加して……」
「幼馴染のモーニングコールがあったんだろ?よかったじゃないか」
「よくないよ……起こされるのはマジで勘弁してほしい」
ちなみに咲人は優が穂乃花のことが好きなのを知っている。
正確に言えば知られてしまったのだが。
「そういえば聞いたか。サッカー部の六皇子先輩また告白されたみたいだぞ」
「マジか。やっぱりイケメンはすごいよな~。で?付き合ったの?」
「いや、断ったみたいだ。なんでも好きな人がいるらしい」
「そうか~。六皇子先輩にも好きな人いるんだな~」
「お前も頑張れよ」
「何をだよ」
「告白だよ。しないのか?」
「俺が告白するのは甲子園出場してからって決まってるんだよ」
「そんなロマンチックな雰囲気いるかな?」
「いるよ!かっこいいだろ!」
「そうかな?好きだったら今告白しろって俺は思うけどね」
「お前な……」
それが難しいんだよ!という言葉をグッと堪えた。
昼休み。穂乃花が教室にやってきた。
「優~!一緒にご飯食べに行こう~!」
「ほら。大好きな幼馴染がお呼びだぞ」
「うるせぇ!」
優は教室を出る。
「優。ポテト奢って!」
「なんでだよ」
「うちが起こさないと遅刻してたよ?」
「ちゃんと時間通り起きれていたよ」
「本当かな?」
優はきつねうどん、穂乃花はカツ丼定食(ご飯大盛)を頼んだ。
「いただきま~す!」
「よく食べれるな。その量……」
「そうかな?普通だと思うけど……美味しい~!幸せだよ~!」
穂乃花が美味しくご飯を食べているのを見ると元気が出る。
(今日も癒されるな~)
「あのね……相談したいことがあるんだけど……」
「何?」
「その……うちね、好きな人がいるんだ……」
優は思わず、箸で掴んでいた油揚げを落としてしまった。
「へぇ……そうなんだ……ちなみにその好きな人って……?」
「誰にも言わないでよ……」
穂乃花がもじもじしながら名前を言った。
「秋風……先輩……」
(なん、だと⁉)
穂乃花が言った秋風先輩とは本名『秋風空』。
野球部のキャプテンで文武両道のイケメン。俺とはかけ離れている存在だ。
「お願い優!うちと秋風先輩が付き合えるように協力してほしいの!」
(おいおい……噓だと言ってくれ~!)
優は深く絶望することになった。