春に花咲く
二十一、春に花咲く
「自己紹介まだしていなかったですよね。僕は本田春太と言います。読む本の本に田んぼの田で本田、季節の春に太いで春太です」
「やっぱりハルタさんのハルは季節の春なんですね。なんか春が似合うなと思っていて」
「ホントですか?ありがとうございます。春一番が吹いた日に生まれたらしいです」
「春一番かぁ、素敵ですね」
「ありがとうございます」
「私は中山花実と申します。真ん中の中に富士山の山で中山、草花の花に果実の実で花実です」
「ハナミさんのミは果実の実なんですね。僕はてっきり春生まれなのかなと思っていましたが、秋生まれですか?」
「えっ、なんでわかるんですか?みんなに春生まれだと思われるんですけど・・・九月生まれなんです」
「だって花が実るのって秋でしょ。だから・・・」
「なんだか嬉しい。ありがとうございます。すぐお花見の花見だと思われるんですよね」
「確かに、僕も一瞬春生まれの方かなと思いました。素敵なお名前ですね」
「ありがとうございます」
「・・・」
「・・・」
「なんだか緊張しますね」
「はい、そうですね」
「さっきのお友達いい方ですね」
「そうなんです。いつも私を助けてくれます。感謝しかないですね」
「いいな~羨ましい。僕は心を許せる友達いないんですよね。兄貴的存在の尊敬できる人はいるのですが・・・。あのまだお互い何も知らないのに図々しいかもしれませんが、お友達になってくれませんか?」
「えっ、私でいいんですか?」
「はい、もちろんです」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「こちらこそ。僕も嬉しいです。僕はいま二十五なんですけど花実さんは?」
「私は二十四です」
「あの、もしよかったら敬語やめませんか?ほぼ同い年だし」
「はい」
「よかった。花実さんは海が好きなの?」
「好きです。落ち込んだ時とか海を見ると心が落ち着くんです」
「へ~そっか。僕は泳げないから海あんまり好きじゃなかったけど、眺めるだけなら落ち着きそう。いいね」
「うん」
「電車大丈夫?」
「いまのところ大丈夫」
「この電車各停だから苦しくなったらいつでも言って。すぐ降りよう」
「ありがとう。春太さん優しいんですね」
「いやいや」
「春太さんは体調大丈夫?」
「いまは落ち着いてる。僕の場合波があるんだよね。上手く工夫していくしかないよね。こんな時でも人の心配ができる花実さんも優しいですね」
「いえいえ」
「あっ、見て!もう海が見える」
「ホントだ。すごっ」
「綺麗]
「うん」
「次の駅ですよ。海岸が一番近い駅」
「よっし、降りるか」
「うんっ」
二人が駅を降りるともうホームから海が見えていた。二人は木々の間から海が広がった光景を見た瞬間ほぼ同時に「わー」と声を上げて感動していた。
「海ってこんなに綺麗なの?」
春太が言った。
「私もいままで見た海で一番綺麗だと思った」
花実も言った。
そして浜辺に二人で並んで腰を下ろした瞬間優しい春風が二人の髪をそっと揺らした。二人は微笑み合いながらどちらからともなくそっと手を繋いだ。桜の花びらが何処からともなく舞ってきた。二人は一緒に桜の花びらのシャワーを浴びながら想いが通じ合ったことを感じていた。
優しい風が吹いた時、心が「あなたを」「君を」呼んでいた。
桜が咲くこの季節に・・・。
完
最後までお読みいただきありがとうございました。
私は精神障害を抱えています。そして私は独りです。でも独りぼっちでも周りに支えられていることをいまとても温かな気持ちで実感しています。
こんな物語のようなことは多分そんなに起こらないと思います。
この小説に私は自分の憧れ、夢、希望を詰め込みました。
ただこの小説の中に出てくる台詞は一部本当に私が言われたことだったりします。
人って本当は優しくて温かいんだなと私は独りになって初めて気づきました。
花実も春太も、薫も里奈もあなたの周りにいると思います。その関係性は彼氏彼女でも、友達でもないかもしれません。でも優しい手を差し伸べてくれている人は必ずいます。
なんだか上から目線になってしまっていたら申し訳ないです。
この場を借りてこの小説を書くきっかけを与えてくれた、就労移行支援B型事業所サブカルビジネスセンター千葉に感謝申し上げます。
サブカルビジネスセンター千葉のスタッフの皆さんにも優しい手を差し伸べていただいています。
心から感謝しています。
どうかこの小説を読んでいただいた皆様に幸せが降り注ぎますように・・・。
最後までお付き合いいただき心からありがとうございました。




