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破滅した世界の内側で  作者: めーや
3/35

人殺し

※人によっては不快に思われるであろう[胸糞なシーン]や[グロテスクなシーン]や[暴力的なシーン]があります。

苦手な方はご無理なさらないでください。

「嫌だ!たす、助けて!!誰かぁ!」

「ほらほら直ぐそこまで近付かれてんぞ!!」

「もっと気合い入れて足れや雑魚!」

「後一分持ってくれねぇと俺の夜飯少なくなるんだからな!」

「ギャハハハハハハハハハ!!アイツ泣きながら走ってんぞ!だっせぇ!」

「あーあ、また俺の勝ちだなこれ」

「ねぇねぇ、そんなことよりこれ終わったら新品の女の子探しに行きましょーよ?ぼ、僕この子達飽きてきちゃって」

「ブッ!お前まだヤるつもりなの?どんだけ溜まってたんだよ」

「そう言うお前も今日何回出したんだよ」


混沌とかした世界の片隅に、瓦礫だらけの住宅地でトロールから逃げ回るスーツを着た男を嘲笑う六人組がいた。

一般的な体型の高校生くらいの青年が二人、ブクブクと太った高校生くらいの青年が一人、金髪でアクセサリーをそこらじゅうに付けている男が二人にその二人にさん付けで呼ばれている体格の良いスキンヘッドが一人。

そしてそれら六人の近くには泣き跡のある若い女が数人と、疲れ切った表情をする男が数人。

力を持たない者達が碌でなしに捕まり奴隷以下の扱いを受けているのは火を見るより明らかだった。


「お願いします!!誰か…!だれ_」


助けを乞う声も虚しく、とうとうスーツを着た男はトロールに捕まりそのまま持ち上げられる。

涎を垂らしながら口を大きく開けていることからトロールは男の事を食らうつもりなのだろう。


「何でもします!だから助けてください!!」

「何でもって、お前椅子にもなれなかったじゃん」

「体力無さすぎる自分を恨むんだな」

「ふざけんな!俺の飯返せ!!」

「そんなに夕飯が大事ならトロールと一緒にアイツ食べればいいじゃん」

「しね!お前等二人とも死ね!」


絶望した顔をしながらも大声を上げ助けを乞う男の頭を大きな歯で軽く挟み、

ブチンッッ!!!!

勢いよく噛み砕いたトロールは、そのまま大量に出てくる男の血を美味しそうに飲続け、満足した表情を見せた後に残りを全て口に入れた。


「じゃ、じゃあ。女の子探しに行きませんか?ほら、探してる最中にダメになってないご飯も見つかるかもしれませんし、きっと美味しいお酒もありますよ?」

「酒かぁ。まぁ、確かにクソデブの言う通りだ、そろそろ酒も尽きるし移動すっかぁ」

「こいつ等どうします?十人以上居るし、移動すんには邪魔じゃ無いですか?」

「確かに、んじゃ殺すか」

「あ、この女は俺のお気に入りだから殺さない方針で」

「え、じゃあ俺はこっちのが欲しいっス」

「んじゃあその二人以外殺すって事で、まずひとーり」


スキンヘッドの大男が逃げようとする男を捕まえて頭部に一撃。それだけで捕まえられた男の頭は消滅した。


「俺女殺すの嫌なんで男殺しますね」

「じゃ俺がコイツやるー」

「ぼ、僕はこっちの子で。ふ、ふひひ」


一人、また一人と殺されていく。助けは来ない。逃げれもしない。まるで道端の蟻を踏み潰すかの如く、力を持たない人々は呆気なく殺されていく。


(逃げないと!このままじゃ私も殺されちゃう!)


震える足で踏ん張り地面を蹴り駆け出す短めの茶髪に緩めのパーマをかけた女。

この女だけが弱いながらも力を持っていた。


「[アクセル!]」

「あ?」

「おいアイツ逃げたぞ!」

「んだレベル持ってたのかよ」

「おいガキども捕まえてこいよ!」

「「わ、わかりました!」」

「ぼ、僕は足が遅いから…」

「ちっ、まぁ、デブは化け物操れるからいいか」

「アイツどうします?蓮堂さん」

「ああー。全員でボコボコにしてトロールに食わせるか。最後に犯しときたい奴は犯しても良いぞ」

「俺は見学で、学生陣は元気なんじゃ無いですか?」

「ぼ、僕はもう良いかな。新品のた_」

「聞いてねぇーよデブ。黙っとけ」




(こんな事ならあのゲームやっとくんだった!最悪!もうやだ!)


エネミーがうじゃうじゃと蔓延る元住宅地で、心の中で悪態をつきつつもできるだけ速く走ろうと魔力を捻り出す女が一人。しかしろくにプレイしておらず俊敏のステータスもFの女がそう遠くまで逃げれるわけもなく。


「はい捕まえたぁ」

「流石敏捷C。はえぇな!」

「やぁあ!お願い!逃して!あんな死に方したく無いの!」

「って言われても、お前逃すと俺等が殺されちゃうし、ま、運が悪かったね」

「体つきは良かったけどね!」

「全然うまくねぇよ」

「っ!いいの!?あんた達このままだとろくな死に方しないよ!?この三人で逃げれば_」

「うっせぇぞ!今ここで殺してやろうか!?」

「いっ!!」


言う事を聞かない女の髪の毛を引っ張り無理やりに四人の元へ連れて行く青年。このまま連れていかれたら嬲り殺されるのが目に見えている女は必死に逃れようと足掻くが、抵抗も虚しくあの四人の前に引きずり出される。


「うーしよくやった。んじゃ、お前等で殺さない程度に痛めつけろ」

「いやぁ!お願い!何でもするから!お願いだから殺さ_「オラァ!」あ”っ!!」

「うひょー鳩尾決まったー!」

「うへぇ、いたそー」

「お前等もやれやぁ!!何楽しようとしてんだぼけぇ!!」

「「「は、はい!」」」

「いやぁ…もうやめ_でっ」

「おらおらぁ!何言ってんのか聞こえねぇぞ!!」

「お、おりぁ!」「はっ!」

「ナイスキーック。いいねその調子。豚はもう下がってて良いよー」

「ご、ごめんなさい」



殴られ蹴られ指を潰され耳を引きちぎられ、ガラス片で切られ目を直接触られ骨を折られ。

数十分にわたり暴行を受け続け意識も朦朧としてきた女にもはや痛みはなく。ただ自分を痛めつけた男達への憎悪だけを考え、遂にその時を迎える。


「うし、そろそろ食わせるか」

「おいデブ、呆けてないでさっさとトロール呼べよ」

「は、はい」


豚の指示を受けのっそのっそとトロールが女の元へ近づきその体を鷲掴みにした。


(あぁ、ほんとに終わっちゃうんだ…。私の人生。あーあ、ほんっとうに最悪な最期だったな…)


女の視界は朦朧としていて自分の状況を正確には判断できないようだが、トロールの生暖かい息を感じて後数秒の命である事を悟った女は、目をつむり最期の足掻きとばかり口を動かす。


「ぜんいん……しん…じゃえ…」


そう、風に呆気なく攫われてしまいそうな掠れた声で呟いた。

誰かに聞いて欲しかったわけでも無い。

けれど確かに、壊れたこの世界と最低最悪の六人組へ憎悪を込めて。そう口にした。


「いいねぇ…!良いセリフ吐くじゃんお姉さん。でも辞世の句を詠むにゃぁちょいと早いってもんよ」

「えっ……」


自身の呟きに反応する者がいたことに驚きを隠せず思わず言葉が漏れる。

その一瞬後、女の体を浮遊感が襲う。


「おっと落とすとこだった。にしてもひっどい顔だな。ここで死ぬのもいいと思うけど、そんな顔にしてくれた奴等に仕返ししたく無い?」


あの六人組のものではないのは確かな聞いたことの無い男の声。

誰かは知らないがきっと自分を助けてくれたのだと思うと、自然と目から熱いものが込み上げてくる。が、安心感に身をやつすのはまだ早い。

誰とも知らぬ声の主を霞む視線で必死に見つめ言葉は出さず一度の瞬きを返し、きっと助かったんだという安心感の下、女は安らかに眠りについた。


「は?おいおい!誰だよお前!」

「何々、お前も殺されたいの?数の差わかってりゅのかにゃあ?ぼくぅー。正義のヒーローごっこはよそでやりましょうねー!」

「あーごめん。明石さん来る前に終わらせたいからさ。とっとと死んでくれな」

「は?」

「おいごらガキ!調子乗ってんじゃねぇぞゴラァ!!」

「てめぇ等も突っ立ってないでアイツ捕まえろや!」

「「は、はい!」」


金髪の男に怒鳴りつけられ咄嗟に仁の方へ駆け出す青年二人。

この二人のレベルはそう高いものではないく、そして魔力の扱いにも長けているわけではない為仁から発せられる魔力の圧を遠くから感じ取ることができなかった。

そる故、いきなり使える様になった力に全能感の様なものを感じていた青年は取るべき選択を間違えた。いや、元より彼等に残された選択などもう無かったのだろう。


「[発芽せよ、彼岸桜]」


仁は自らを捕まえようと駆け出した青年二人を木の幹で絡め取り宙吊りにする。

腕と脚に絡みついた幹を絡ませその四肢をどんどんと圧迫していくと同時に、ついでに女を幹のベッドに横たわらせ治癒効果のある魔法をかける。


「い”い”でぇ!!」

「誰か助けてくれ!!!」

「お、おい豚!何とかしろよ!」

「い、いつの間にか近くに置いておいた魔物が居ないんです!蓮堂さん達も戦ってくださいよ!」

「あ”ぁ?テメェ俺達に指図すんのか?」

「ち、違いますけど、だって!」

「ちっ!!」


舌打ちした金髪の男が一般人には出せない様な速度で仁に接近し拳を振り上げるが、振り下ろすよりも前に四肢を両断される。

足を失って落下していくさなか、男の目には綺麗な桜の花弁とその桜よりも少し淡い色をした焔が映った。


「「「あ”あ”あ”ああぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!!」」」


四肢を両断された男が地面に激突すると同時に高校生二人の四肢も潰れ三人から悲痛の叫びが同時に上がる。


「あんた、自分でブレサリをプレイしたわけじゃ無いでしょ。パソコン盗んだの?それともまきあげたの?ステはそこそこ高いみたいだけど全く力使えてないじゃん」


痛みに悶えている為仁の問いに金髪の男が答えることはない。しかしそのかわりの様に奥にいる小太りの青年が大声で助けを請う。


「ぼ、僕は何もしてません!!コイツ等に脅されてしょうがなくエネミーを操っていたんです!だから僕だけは助けてください!!」

「はっ!?テメェ何言ってやがる!!」

「テメェ等は黙ってろ…!!」


豚を殴ろうとする金髪に低く声をかけたスキンヘッドはズンズンと仁の方へ進んでいく。

その目に恐れはなく、弱者に未来はない。

しかし男には何が狙いがある様だ。


「オメェ馬鹿だろ。何がゲームだ、俺はテメェ等の言う力がなくてもつえぇんだよ!!」


狙いなどなかった様で、アホはそう叫び思いきり拳を振り下ろす。


「馬鹿はお前だろ。お前がいきがれていたのは無意識下で魔力によるバックアップをお前が受けていたからだし、何より格闘技をちょっと齧った程度のお前じゃ動きがお粗末すぎんぞ?」

「う、動か…ねぇ…!」


拳は仁に触れる事叶わず幹によって中に固定される。


「潰せ」

「がぁぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁあ!!!」


鞭の様にしなった幹が股間に直撃し痛みのあまり大声を漏らすアホの胴を空中に固定し、四肢を切り裂き目を抉る。

痛みに耐えかねて漏らされる叫び声が鬱陶しく思え、ついでとばかりに男の喉も裂いた。


「失血死されても癪だし血は止めるか。さて、普通に殺すのも良いがぁ……そうだなぁ、ちょいと実験に使うか」


男を拘束する幹から無数に細い枝を生やし、更にそれを枝分かれさせて細く細く注射針よりも細い枝を作っていき、両断した四肢の断面から侵入したその枝は男の全身の末梢神経を逆撫でしつつ肺へと進み肺胞を潰す。

喉を裂かれ声こそは出ないが、裂けた喉から『ヒューー…!!ヒュー…!!』と風の吹く音と共に噴き出る生々しい血の音が男の苦しみを物語っていた。


「あちゃぁ…。死ぬ前に気絶しちゃったか………っておい、逃げんなよ」


仁から逃げようとする最後に残った二人を幹で捕まえる。

二人の顔には絶望感が浮かんでおり今更助かるとは考えていない様だ。


「ぼ、僕は……」

「僕は?」

「で………できるだけ楽に殺してください」

「無理」

「えっ…あ”あ”あ”あぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁあぁああ!!!!」

「体内を何の配慮もなく枝が這い回っているんだ、すげぇ痛いだろう?」

「頼む!何でもするから俺だけは_」


この期に及んでまだ命乞いをしてくる鬱陶しい金髪の喉を雑に切り裂き、四肢と生殖器を切り取られた豚の体内に潜らせている枝に意識を集中させる。

しかし豚の叫び声も長くは続かず、明石が助けに入るよりも早くこときれた。


「遅かったじゃん、明石さん」


後ろを振り返りつつ、何の悪びれも無く声をかける。


「……生存者は?」

「そっちで横たわってる女の人とソコとソコに隠れてる女の人二人で合計三人だけだよ」

「何人殺した?」

「明石さんの標的の六人組しか殺してないから六人だよ」

「何故殺した?俺は_」

「特に意味はねぇよ。強いて言うならテストかな?人格改変の影響か生物を殺す事に何かを思う事は無くなったと直感で分かるんだが、実際の所はどうなのかを知るためのな。けどまぁ流石に善良な市民を殺したら面倒なのに目をつけられそうだったから、殺した言い訳が出来そうなコイツ等を殺したんだよ」

「最低最悪なクズなら殺しても許されると思っているのか?」

「許しを乞うつもりは無いからなぁ…どっちでも良いんじゃ無いか?」

「っ!!お前は!…君は間違えている…!もう、人殺しなんてやめるんだ。君なら衝動にも打ち勝てるだろう?君なら、殺さずとも悪人を捕まえられるだろう?」


悲しそうな顔を向けてくる明石に、仁は理解できないと言いたげに困り顔を向ける。


「どうして俺に人殺しをしてほしく無いんだ?今さっき約束を破られたんだから諦めたら?またここで口約束したって俺は人を殺すよ?」


その問いに、俯いた明石は少しの間をおいて口を開く。

自らが犯した罪の記憶を。


「俺は、こんな世界になる前に人を殺した事がある。…自分の親を、16の頃に殺したんだ」

「…へぇ?何で?」

「母が突然居なくなってから、俺の親父は暴力を振るう様になった。…俺は男だったし耐えられなくもなかったが妹は(ただ)の暴力だけじゃ無く性的な虐待もされていた。それでも妹は弱音を吐かず毎日耐えてたんだ。けど、だけど何年経っても親父は元に戻ることはなくて、ある日、いつもより酔った親父が妹のことを殺そうとして、それで……俺は灰皿で親父の頭を何回も何回も殴って親父を殺した。それ以来悪夢を毎日見るようになった。そればかりか幻聴も聞こえてくるんだ!俺を殺したな!お前の親である俺をって!…それもとある女性に出会って少なくなったんだけどな……半年前、妻が死んでからは悪夢も幻聴もまた………」


(へぇ、俺とは違って壮絶な体験をしてきたんだな。でもだからと言って人殺しが全員悪夢やら幻聴に苛まれるわけじゃ無いだろ。俺はアンタじゃないんだ、正直言って余計なお世話って奴だな)


「俺は見ないぞ、悪夢も幻聴も。だって罪の意識なんてこれっぽっちも無いからな」

「……そうかもな」

「はぁ…。なぁおっさん」


弱々しく呟いた明石が酷く哀れに思えて、黙っておこうと思っていた核心に触れることにした仁は溜息混じりに声を上げる。

もとより、仁の家の玄関であった時から明石の言動は意味不明な点が多かった。

勝てる筈もない無謀な戦いを挑み、仁に力を使うなと言い、数分で意見をひっくり返し、自分だけで死地へ赴こうとする。

大勢の人を助けたい、しかし仁に人殺しをさせたくないのであれば、自分がされた様に標的の拘束を頼めばよかったのだ。

人格改変のせいだと言って仕舞えばそれまでだろうが、明石の言動はチグハグな点が目立った。


(結局、この人は何がしたいんだろうなぁ………心の拠り所であった最愛の妻を亡くしたこの男が考えている事…)


「あんた、生きる意味なんてとっくにどうでも良くなってたんじゃねぇの?もう疲れたから、あんたは満足のいく死ぬ意味を求めてんだろ。でもあんたの無謀な突撃に意味なんて誰も見出さねぇぞ?」

「……そう、かもな」

「そんなに死にたいなら、素直に殺してくれって言ったらどうだ?」

「………。」


(ダンマリか、ただ死にたい訳でも無いのかね?……あぁそうか)


「あんた、俺に言った生きる意味ってやつ嘘だったのか。あんたの生きる意味は奥さんが死んだ時点で無くなってたんだな。生きる意味を無くしたけど自殺する度胸もない、だから何をすれば良いかわからず、今を死んだ様に何となく生きてんだろ?」

「………。」

「死ぬ意味なんて何でも良いじゃん。奥さんを無くして絶望したから死ぬ。これも立派な死ぬ意味で、そこに恥やら何やらは無いと思うけどね」

「俺は、床に伏す妻から、『生きて』って言われちまったんだ…だから、だから……」

「どんなに苦しくても死ねないって?」


言葉は返さず頷く明石。

病気に侵され長く無い明石の嫁が、心の脆い明石が自分の死後何をする気なのかを見抜き発した最期の言葉。

その言葉が、半年間明石を縛り付けていた。


(元から明石の助けになろう何て考えてなかったけど、俺じゃあどうにもできんな。底も見えたしこれ以上は時間の無駄だろう)


「はぁぁ……。とにかく、もう俺には構わず生き残り達を避難所に連れて行け、その後は警察なんてやめて魔法のお勉強でもするんだな。あんたも知ってるだろうが何処ぞの[聖女]なんて呼ばれてる奴は蘇生魔法が使えるらしい、あんたが死ぬ気で魔法の勉強をすれば骨から人間を複製する魔法くらい作り上げられるんじゃないか?」

「……それも考えた。でも、それで蘇ったあいつは、本当に俺の妻なのか?」

「そりゃあんた次第だろ。変わらぬ愛情を奥さんに向けられるんなら本物って言って良いんじゃねぇの?」

「俺に蘇生魔法を作れると思うか?」

「知らんわ!メソメソすんな!無理なら聖女の靴でもなめりゃぁ良いだろうが!」


(ったく、こーゆー死んだ様に生きてるやつが人間の中で一番めんどくせぇ)


もう何度目かも分からない仁の溜息に答えるように、明石が漸く前を向く。

自身の感情を丸裸にされて吹っ切れた明石の目には、最早迷いがない様に見えた。


「そうだな。どうせ死ぬ意味も見つかんないんだ。頑張ってみるよ、俺。ありがとうジンくん」

「あぁはいはい感謝は良いからそっちの女の人連れてどっか行ってくれ。人を殺した以上避難所に行くのは気がひけるから俺とはここでバイバイだ」

「そうか…最後に一つだけ頼みがあるんだが、聞いてくれるかな?」

「はぁ?まぁ、聞くだけなら」

「もし俺が罪人になったら、その時は俺を殺してほしい」


散々人を殺すなと言ってきたくせに今度は殺してほしいという明石へ、これ以上ない程呆れた顔で「分かった分かった」と適当な返事をしつつ、シッシッと手を振り明石を見送る。


人を殺したという理由で色々な者達から危険視され、そればかりか命を奪われずとも自分を拘束しようと覚醒者が派遣されたらたまったものでは無いと考え両親探しは諦めた仁。

まぁ元々目的が無いから(とりあえずやろう)としか考えていなかった為その事に特に思う事は無い様だが、それでも適当に決めた目標も無くなった仁はこれから何をしようかと途方に暮れる。


「さて、俺はどうしよ_」


その言葉を言い終わることはなく、仁は喉を切り裂かれた。


最後まで読んでいただきありがとうございます!!!!!!!

よし宜しければ良いねやご感想等よろしくお願いします!!!

何より次の話も読んで頂ければ幸いです!!!!!!!!!!

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