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破滅した世界の内側で  作者: めーや
14/35

旅立ち


日が顔をだし始めた薄明時。

山奥のロッジの一部屋で、一人の少女が目を覚ます。


「ん…んぅ……苦しく無い。あれ?これなんだろう?」


少女の視界には目が覚める前には有る筈も無かった文字や数字が浮遊している。

何度も目を擦るがそれ等が消えることはない。


(漢字…?私の名前だ。数字も書いてある…これ、英語だよね?)


自分では理解できないと悟り、比代理の手を握り寝ている真衣を起こそうと体をゆする。


「お姉ちゃん。真衣お姉ちゃん。起きて…!」

「んんぅ……比代理…ちゃん?」

「おはよう。真衣お姉ちゃん」

「比代理ちゃん!!!」

「わっ!どうしたの!?」


いきなり抱きついてきた真衣に驚く比代理にお構いなしで涙を流しながら「比代理ぢゃぁ〜ん」と声を上げて泣く真衣に更に困惑する比代理。


「お、何の騒ぎだと思ったらようやく起きたか。いやぁ良かった。…って何固まってんのアンタ。おーい、啓文さーん?おいおーい。貴方の大事な娘さんが漸く起きましたよー?こりゃダメだな」


驚きやら安堵やら歓喜やらで脳の働かない啓文。


「比代理、なのかい?」

「え?うん。おはよう?」

「体はどうだい?ちゃんと動くかい?」

「うん。動くよ」

「痛いところは?」

「ないよ?」

「何か変なところはあるかい?」

「えっとね、私の名前とか、レベル?とか英語とか書いてあるのが見えるの。私どうしちゃったんだろう?」

「!!紙とペン!あった!…比代理、この状態って文字の横にこれは書いてある?」


そう言って【状態:後天性免疫不全症候群】と書かれた紙を渡す。


「うんとね。うぅうん、二文字だよ」

「!そうか、じゃあこう書いてあるかな?」


次は紙に【正常】と書く。

希望を乗せて震える手で書かれたその文字と自分のステータスを見比べる比代理。


「うん。これとおんなじの書いてある」

「はっ!!そうか!そうか!!それは良かった!!!」

「よがっだよぉ〜比代理ぢゃ〜ん!」

「ど、どうしたの?みんな?」

「あぁ今は気にせず頭でも撫でてやんな。落ち着いたら全部話してやる」

「うん、わかった」

「あぁでも最後に……ほれ、これと同じ文字の横は何で書いてある?」


仁が紙に書いて見せた文字は【種族】。元が人間だとはいえ人から作り出されたと言っても過言ではないその体だ。クローンやホムンクルスと書いてあっても不思議ではない。


「ヒューマノイド?って書いてあるよ?どう言う意味?」

「そりゃ良かった。俺や真衣やお前の親父と同じ人間だって意味だよ。まぁ、あんま深く考えんな」

「?わかった」




それから暫く泣き続けた真衣や、心配が冷めやまず質問攻めをする啓文をどうにか落ち着かせて久し振りに四人でダイニングテーブルに座る。

そこから色々な説明をしたり、質問をしたり。

とりあえず確かな事は、比代理が健康で正常な状態である事とプレイヤーと同様ステータスが出現するようになった事だろう。


その後は比代理の回復祝いとしてよるまで騒ぎ、比代理が疲れて寝たところで活気に満ちた久しぶりの一日は幕を閉じた。






「なぁ、アンタはどうすんだ?その体の上薬も無い今じゃもう長くは無いんだろ?」


祝いの後、仁と啓文は二人で屋根に上がって酒を酌み交わしていた。


「ああ。その件だけど、僕はもう人でいる必要はないからね。体の大部分を機械に置換しようと思うよ」

「ふぅ〜ん」

「まぁ、そうは言っても出来るだけ人間に近づけた体を作るつもりだから、ヴァルキリー達みたいに強靭な体を生かして戦うのはやるつもりが無いよ」

「は?何で」

「いきなり膂力が強くなったりしたら生活に支障をきたしそうだろう?それに、戦闘は今まで通り機械人形がやってくれるから、出来るだけ比代理に変わらない温もりをあげたいし貰いたいんだ」

「あっそう。ま何でもいいけど」


しばしらくの間、虫の音だけがその場に響いた。

ずっと悩んでいた事。比代理が以前口に出して、エイズのため諦めさせるしか無かった事を今ならばと思い口に出す。


「仁君。一つお願いがあるんだ」

「んん?」

「もしこの先比代理が君達と一緒に旅に出たいと言ったら、どうか了承してくれないだろうか?勿論比代理は僕が守るし足手まといにはならない。できる限り役に立とう。だからどうか、僕等もついて行かせてほしい」

「俺は構わんから頭を下げるな。嫌いなんだよ下げられんのも下げんのも」

「本当かい!?」

「ああ。まぁ真衣は絶対に嫌がらんだろうしな」

「いやいや、というわけでは_」

「なわけ。アンタがいると心強いから何ならこっちからお願いしたいまであるわ」

「それは良かった。断られたらどう比代理を説得しようかと思っていたよ」


本人は弱々しくとも仁を一度殺したあの神々を作り出せる者だ、戦力の観点では何の心配もない仁だが、それでもいくつか聞いておきたいことはある。


「ついて来んのは構わんが、おらぁ躊躇わずに人殺すぞ?教育的に大丈夫か?」

「それは……当面は僕が比代理の目を塞ぐ事にするよ。でもこんな世界だし、ゆくゆくはそういった厳しい面も理解してもらえるように頑張るよ」

「後、この旅にゃあ目的が無いんだ。この先どうなるか分からない。それこそ東京に永住する可能性だってある。それでもいいのか?」

「ああ勿論。僕等は君達と一緒にいたい。ただそれだけなんだ」

「そうかい。なら何も言わんよ。そら酒の肴に愛娘との思い出でも話してみろ」

「ははは、わかったよ。じゃあ何から話そうか」











それより数日、彼等は東京へ向けて歩みを進めた。


======================================

名前:江崎比代理 レベル:1 偉人:0

種族:ヒューマノイド 性別:女 状態:正常

属性:中立


生命力:10

保有魔力量:477

筋力:F -

魔力: F -

耐久: F -

対魔力: F -

俊敏: F -

運命力:S


【固有技能】なし


【称号】

[再誕せし者][賢者の娘]


【装備】なし



カルマ値:0

======================================



今回の話は少々短めでしたが最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!!!!!

もし宜しければ良いねやご感想の方宜しくお願いします!!!

次の話も読んで頂ければ幸いです!!!!!!!!!


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