世界改変
初めまして!めーやです!
小説を読み慣れた皆様からすれば拙い文章かもしれませんが、最後まで読んでいただけたら幸いです!
誤字脱字とかも教えていただけたら嬉しいです!
※
今回の話は主人公が出てくるのが少々遅めなので、主人公が出てくる間だけ読みたい方は<<<という線が二本出てきた後から読んでも大丈夫です!多分!
「あ〜あ。この地球も滅ぶ事確定しちゃったよ。はぁ〜〜………期待してたんだけどなぁ」
若い男の落胆した声が光すらない虚空を漂う。
この空間に音が響いたのはおよそ80年ぶりであった。
「っははは!あんたこれで何回目?そんなんじゃ次の世代作る前に時間無くなるんじゃない?」
男とは対照的な元気のある若い女の声が男を嘲笑う。
「はぁぁ…。君、まだ居たんだ。とっくに消えたと思ってたのに」
「はぁ?先代からあんたを任されたんだからあんたが死ぬまで私もここにいるに決まってんじゃん。……ねぇねぇ、その世界もうそろ滅ぶんでしょ?ならそれ私にちょうだいよ」
「はぁ……いいよ、好きに弄ぶといいさ」
「え、いいの!?」
「まぁ、正直もう諦めモードだから……はぁぁぁぁぁ………」
「やった!ありがとう!」
重く発せられた男の溜息を気にもとめず、女は以前自身が作り上げた天使システムに命令を下した。
「んーとりあえず。若い人間適当に選んでおいて、私はこの地球のバックアップをいくつか作るから。あぁ後、どうせすぐ終わるから願い叶える準備もしといてね〜」
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晴天の下、とある学校の校舎裏。
三人の体格の良い生徒が少し小柄な眼鏡をかけた生徒を壁に追いやり愉快そうに声を発する。
「おい選ばれた勇者様、願いはもう叶えてもらったのか?」
「ぶっははは!!勇者様とか!竜ちゃんホント面白い呼び方思いつくよねぇ!」
「おいおい、大きい声出すなって。くふふ、コイツ怯えてんぞ」
「いやいや、俺等で囲んだらそりゃ誰でもビビるっしょ」
「確かに〜」
勇者と呼ばれた生徒は今日の午前0時ごろ、神と名乗る存在によって全世界の人間に顔と名前を晒された有名人である。
本人は夢かと思い特に気にも止めず登校したが、0時頃仲間と一緒に夜遊びをしていたいじめっ子達からすればあの経験が夢でない事は理解できていた。
故に呑気に登校してきた彼を一時間目が始まる前にここまで連れてきたのだ。
何とも間抜けな話である。せめて彼の親が彼に神の話をしておけばこうなるのを防ぐことができただろうに。
「い、一時間目始まっちゃうから、また後でじゃだめですか?」
小柄な生徒は震える唇で恐る恐る声を発する。
彼等が了承するわけがないという事など自分でも理解できているが、それでもそう口にせずにはいられなかった。
「いや、いいわけないじゃん。馬鹿なの?」
「お前が俺達のお願い叶えてくれんなら良いけどね〜?」
「どうせその調子なら願いなんて叶えてねぇんだろ?お前みたいなゴミのクソみたいな願いじゃなくてさ、俺達の高貴な願いを叶えようよ。なっ?」
「ね、願いなんて叶えられるわけないよ。みんなが見た夢だよそんなの」
「はぁぁ…。馬鹿なお前に教えてあげるけどさぁ。俺等色んなやつに話聞いたんだわ、もちろん親にも。そしたらソイツ等全員同じ経験してんの、わかる?わかったらさっさと神様呼び出せよゴミが」
「早く呼びださねぇと痛い目に遭うよ?それでも良いの?」
「よ、呼び出し方何てわかんないよ!」
その訴えを信じられないいじめっ子はめんどくさい奴を見る目を間抜けにむけ、「はぁぁ…」と溜息を漏らす。
「しゃーない。俺等優しいからさっさと願いを叶えてくれたらぶん殴んのは勘弁してやろーと思ってたのに」
「んじゃあ俺からいくわ」
「ちょっと待って!!!本当に_」
間抜けの声を聞かずいじめっ子の内1人がボクシングの構えを取り拳を突き出した。
しかしその拳は何に当たることもなく、いじめっ子の拳は、その腕ごと消滅した。
「は……?」「えっ……?」
噴き出る鮮血を目にした不良青年二人が驚きのあまり声を上げる。
一方間抜けは未だに目をつむり殴られるのを今か今かと待っている。
「だ、大丈夫かよおい!」
「痛くねぇ!どうなってんだこれ!」
「おい眼鏡!てめぇ何しやがった!!!」
そう言って、先程殴りかかった者とは別のものが間抜けに掴みかかろうとする。が…。
「!!!」
突然口を含めた全ての体の自由が効かなくなり掴みかかれずに終わる。
『申し訳ございませんが、斎藤一様に危害を加えることはご遠慮ください。では一様、ご友人方も一様が願いを叶えるのを待ち望んでいる様ですし、そろそろ願いを決めてくださらないでしょうか?私の主人も待ちくたびれております』
若い女の声がこの場にいる4人、いや、盗み聞きしている者も合わせて5人の頭に響く。
「へ?え、な…。本当なの?」
信じられないと言った様子で、しかし期待を込めた声で虚空に語りかける。
『御託は良いので、どうかさっさと願いを決めてください』
「えっ……。き、急に態度変わった……。でも、急に願いを叶えてくれるって言われても…どうしよう」
巨万の富、もしくは気になっているクラスの女の子。
その二つが最初に脳裏に浮かんだが、眼前に突っ立っているいじめっ子を見て一つ、日常的に考えていた事を思い浮かべる。
「な、なら。本当に願いを叶えてくれるのなら。僕のやっているブレイド&ソーサリーってゲームの力を使えるようにしてよ!」
散々催促された願いを漸く声に出した間抜けだが、女は何の返事もしない。
「え、だ、だめかな?ダメなら_」
『いえ、主人がお認めになられたので先程の願いを叶えさせていただきます。ですが、この世界は削除され0時時点でとられたバックアップの世界で先程の願いを叶えられるそうなので、皆様はこれで終わりです。お疲れ様でした』
「えっ……」
間抜けのその声を最後に。全てが消え去った。
<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<(主人公視点)
喧騒に包まれた民家の中で一人の男が目を覚ます。
(うるせぇ…。今日祭りかなんかこの辺であんのか?あぁいや、なんか破壊音すごいし…工事に反対してジジババが騒いでんのかな?……まいっか、ログインしよ)
のそのそとベットから起き上がった男はパソコンの前に座り、慣れた動作で毎日遊んでいるゲーム[ブレード&ソーサリー]を起動しようとする…が。
「はぁ?パソコンつかないんだけど。はぁぁ…」
仕方がないのでゴーゴルでブレイド&ソーサリーの掲示板を開こうとする。が、そこで気になる記事を見つけた。
「ブレサリの世界が現実に、知っておいて損しない情報まとめ…?もしかしてARでブレサリ出んの?ゴミになる予感しかねぇー」
と言いつつそのサイトを開き、一人の高校生の願いで神がこの世界にブレイド&ソーサリーというゲームの要素を投影したと言う事を知った。
が、男は「んだこれ、いつからなろうがブレサリに侵食してきたんだよ」などと言いつつ他のサイトを漁り始める。
しかしいくら漁っても、ゴーゴルのみならずトイッターを見ても信じられない写真や動画、情報が載っているだけで現実味のある情報は一向に手に入らない。
「……夢か?いや、流石に感覚がリアルすぎる。じゃあ俺が何等かの原因で植物状態になってフルダイブVRの被験体にされたのか…?いや、流石に説明くらいあるだろ…。そういや昨日ゲームしてる時に何か……」
首を捻って必死に深夜0時頃の事を思い出そうとするが、寝ている内に記憶が薄れた様で中々思い出せない。
少しの間考えた後、意を決し言葉を発する。
「[舞え、刃桜]」
そう発し、一片の桜の花弁が机の上に置いてあるペットボトルのキャップを切り裂く映像をイメージする。
半信半疑ですらない。しかしもしかしたら本当にブレサリの力を使える様になっているのでは無いのかと、冗談半分で行った行動、どうせ何も起こらずに一人で顔を赤くするだけだろうと考えながら何となくやった行動。
しかしそんな予感を切り裂く様に、
スパッ_
と、何もない空間から出現した桃色の花弁はイメージ通りに一瞬でキャップを両断し消滅した。
そしてその直後、体に溢れんばかりの力が湧き、自身が研究した魔法の使い方からスロット一つ目に設定していた装備の出現のさせ方など、様々な事を思い出すかのように理解した。
「ホーリーシット……よし、二度寝す_」
ズドガァァァァァァン!!!
現実逃避の為男が二度寝しようとベットの方を向いた瞬間、轟音と共に後ろの壁が破壊されたのを感知する。振り向かずとも理解できてしまう。壁を壊した犯人はゲームの序盤から登場するトロールというエネミーだ。
「嘘だろトロール!?」
(序盤から出てくる自然属性の雑魚で主にデケェ棍棒で攻撃してくる無駄に魔法耐性のある全長四、五メートルの怪物。よく知ってるけど…ははは、当たり前だけどリアルで見るのは初めてだわ)
諦めたような笑みを浮かべ、ゲーム内で愛用していた刀を出現させる。
刀からは桜色の焔が発せられているが、その焔に熱はなく、床に触れている剣先が床を燃やすことも無い。
「じゃあな」
その一言と共にトロールに向けて刀を振り下ろす。
トロールと男までは二メートルほどの距離があったはずだが、目に見えない斬撃が一瞬にしてトロールを真っ二つに両断し、その断面からは植物の幹のようなものが生えてきた。
人型の生物を殺した。その実感が、男の脳をさらに侵食する。
「……寝てる間に世界ぶっ壊れるとかやっぱこの世はシュミレーションゲームかなんかなのか?……なぁ神様、答えてくれよ。俺は何でこんなにも…人を殺したい衝動に襲われるんだ?」
その言葉を吐き終わるより前に、先程流し見していたサイトの一文が脳裏に浮かぶ。
【なお、ブレサリでのアバターの経験によって人格が書き変わる様である。(例。普通にプレイしていた人は魔物の様な化け物と戦う勇気が湧き起こり、人助けに尽力したいといった感情がでる。一方、PKをしているプレイヤーは人を殺したい、力を見せつけたいと言う衝動に襲われるらしい)しかしこれ等には個人差があり、プレイ時間やレベルとは関係ないと思われる。】
「……あぁそう、ゲーム内で散々PKしてきたからこうなったのね………。って、ばっかじゃねぇの!?変な自我植えつけんなよクソ神!!そんなに人殺しさせてぇんならテメェもぶっ殺してやろうか!?…って、何一人で騒いでんだ俺……」
頭が冷えるにつれ殺人衝動も段々と薄れ、それと同時に壁が壊れている状態で叫んだのだからきっと誰かに聞かれただろうなと恥ずかしさが込み上げてくる。
しかし悶絶している暇はないだろうと、近くに親がいない事、また親の死体がない事を魔力を使った感知で確認した後に適当な服に着替えて玄関に向かう。
「何か必要なもんあるかな?火事場泥棒で飯は手に入るだろうし、一日しか持たんだろうがスマホも持った……ま、大丈夫だろ。よし、行こうか」
そう呟き玄関を開けた瞬間。
「六角陣!!」
と言う男の大声と共に男、いや、[仁]は魔力で作られた結界の中に閉じ込められた。
最後にゲームをログアウトした時点での主人公のステータス。
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名前:ジン レベル:150(MAX) 偉人レベル:6
余分経験値:617,813,410,812
種族:ヒューマノイド 性別:男 状態:正常
属性:悪
生命力:2,235,626
保有魔力量:9,821,624
筋力:A
魔力:S+
耐久:S
対魔力:S+
俊敏:B+
運命力:E
【固有技能】
[殺戮技巧:剣式・魔技][存在解放: 春眠の誘い][偉業:星より出づるは命の輝き]
【称号】
[ファーストキル][レッドネーム][植物魔法を極めた者][死を望まれた者][神域の到達者][天命]
【装備】
武器スロット1>
[妖刀:桜丸]
武器スロット2>
[妖刀:回生桜華紅光露]
防具スロット1>
[全身装備:紅比べ]
アクセサリースロット>使用不可
カルマ値:-1000
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最後までお読みいただきありがとうございます!!!!!
よろしければ星、レビュー等よろしくお願いします!!
また次の話も読んでいただければ幸いです!!!!!!!!!!