いざ出陣
決戦当日。
陣形を整える。それは古今東西どころか時代考証不明の異世界であろうと差異があるわけではない。軍がある以上決戦ともなればやみくもに突撃する悪手をする者などいはしまい。
いくら敵が単体とはいえ魔獣である。しかも最強クラス。さらにはこれまでの作戦が失敗している以上、改めて戦略を立てなければならない。
とはいえ、国軍にとって力強い味方が今回はいる。おにぎりである。異世界からの男子高校生は、ラワタにとって魔術以上に魔法をかけられると受け止められてもおかしくはない。仕掛けはないが種はある。梅干しの種も取ってある。食材と具材。それらによって魔力が回復し、魔術の効能が上昇し、魔獣が浄化される。これが作戦上欠くべからざる存在である、というのは言うまでもない。むろん、先陣を切るなんて愚策を提案する軍師がいるわけはない。おにぎりを携帯したフィフェティと元魔獣テバサ・キが先頭である。他もろもろの兵士たちが指令を受けて陣を担った、姫崎見には知らされることはなく。当然である。軍の問題である。彼自身知りたくもなかったが。その姫崎見は後方の陣中に。以上である。後方と言っても直近数メートルではない。魔獣がいると思われる森から数キロはある平原である。




