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魔力回復はおにぎりで  作者: 金子ふみよ
第五章

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現状確認

 戦況、というほど派閥抗争が内戦へ突入したわけでも、他国が侵攻して来ているわけでも、ましてや魔獣が群れとなって勢力を拡大しているわけでもない。たった一匹、一頭、一体どう数えるかはおいておいて、個体数一の魔獣が襲撃や暴動を単発的に起こしてはどこかへ消えるといった行動を繰り返していた。問題はそればかりではない。当然、ラワタ国の治安を脅かす以上、軍隊が指をくわえて待っているわけではない。フィフェティ以外にも騎士はいるわけだし、その他の武勇に優れた者もいる。しかし、部隊を編成しその魔獣へ先制攻撃の立案をしたものの、すでに五度失敗に終わっている。渉外の役に就いたあの魔獣がいくら懐柔策を施そうにも聞く耳さえ持たれなかった。つまりはこれまでの魔獣の中でも指折りの強敵になっているのである。しかも、その魔獣についてのっぴきならない情報が上申された。姫崎見が到着したその日である。すなわち、その魔獣はとある派閥が開発中のおにぎりによって狂暴化した確証が見つかった、とのこと。

 その状況下、姫崎見に指令が下った。ラワタ国民ではないのだから、義務を負わせるのは筋が違うし、通すならば協力や依頼のはずだが、いくら表面上取り繕っても行政長官や司法長官や治安維持関係機関長らが雁首揃えてうなだれているうえ、国王自らが目の前で頭まで下げたとなれば、もはや単なる申し出以上に強制力を生じさせる代物以外の何物でもない。しかも、「できれば魔獣をとらえて、生態調査をし、派閥が関与した証拠を見つける」といった無理難題も含まれていた。

 結果導き出された具体案は、フィフェティ始め騎士などの戦力すなわち魔力の増加あるいは減少の抑制および即効性のある回復、魔獣の浄化といった具合である。となれば、姫崎見にできることは、やはり一つしかなかった。

 おにぎりを握る。

 そんなこんなを思い出していたら、ご飯が炊きあがった。


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