ストレンジ・スクール・ヒーローズ
【この物語はフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです】
これは、とある能力を持つ高校生・四堂透を中心に展開される物語。
愉快な仲間たちによるコメディあり、メタネタあり、何でもあり、やりたい放題の学園ファンタジーだ。
『何であらすじの冒頭にあんなテロップを入れたのか』だって?
そりゃあ、おかしな勘違いをする人や常識の通じない人への対策のためだ。
このテロップを冒頭にでも入れておけば、少しは変なクレームも減るだろう?
『あらすじの部分でそんなやりとりはいらない』?
『こんな作品読む位なら次の作品でも読むわ』だって?
それは残念、具体的には五話目から始まる俺の活躍までは見て欲しかったんだけどな…。
とりあえず、一話目だけでも見ていってくれないか?
というわけで、俺の記念すべき登場シーンから始まる抱腹絶倒間違いなしの第一話を見てくれよな!
神の声から壮大な無茶ぶりをされたような気がするのだが…。
まあ、きっと気のせいだろう。
それはともかくとして。
俺、四堂透の人生は波乱万丈の連続だ。
望んでもいないの面倒事に巻き込まれたり、良いことがあった次の瞬間にはトラブルに巻き込まれる。
ラブコメに出てくるようなトラブル体質の主人公位、面倒ごとに巻き込まれる。
前世はデビ〇ー〇星人と何かしら縁でもあったのだろうか?
銀行に行けば銀行強盗の襲撃に巻き込まれるし、たまたま描いた落書きが何故か疫病退散のマスコットキャラクターに使われたこともあった。
だが、そんなことが些細に感じる位に俺を悩ませていることがある。
事の始まりは、二十年前まで遡る。
とある国で空を自由自在に飛ぶ人間が現れたというニュースが流れたことだった。
テレビの前で建物を消したり、瞬間移動をするような手品ではなく、正真正銘の超能力。
科学の力で解明できない荒唐無稽な現象に当時の世界は沸いた。
その日を境に世界は大きく動き出した。
まるでその超能力者に触発されたかのように、各国にも超能力者が現れ始めたのだ。
生まれたばかりの赤子が火を吹いたという国もあれば、世界一の長寿を誇る女性が突然少女の姿に若返ったという国もあった。
時間も、場所も、人種も、年齢も全く関係ない。
一般人が次の日には突然超能力に目覚めたというケースもあった。
そしていつしか"異常"は"日常"へと変わっていった。
超能力者たちは、その能力を社会に受け入れられ。
今では超能力者のことを"発現者"と呼ぶようになった。
かく言う俺も"発現者"の一人だ。
大した超能力ではないのだが、その能力が俺にとっての最大の悩みの種になっている。
俺が持つ超能力は"第四の壁の認識"。
"空想の世界と現実の世界の境界線を認識出来る"能力だ。
ギャグマンガの登場人物たちが読者を意識した発言をしたり、時事ネタを取り入れたギャグをする場面を想像すると分かりやすいだろうか。
つまり、俺は何となくではあるが、俺の人生を物語の一コマとして見ている誰かがいると認識している。最近では、俺の波乱万丈な人生もその誰かによって望まれて生み出された結果かとさえ疑っている。
ただし、その誰かが男なのか女なのか、子供なのか老人なのか、声も姿も全く分からない。
だけど、俺の考えていることや俺の日常が架空の物語として語られていることは知っているのだ。
まあ、他の奴らから見たら確実に俺は痛い奴か中二病患者に見られるだろうな。
だからこそ、俺はこの能力を死ぬまで隠し通さなきゃならないのだ!
「トオルも色々大変なんだね~」
「姉さん、またトオル先輩の心を勝手に読んだの!?」
俺の幼馴染達以外にはな!!!
俺の回想シーンに無遠慮に割り込んできたコイツの名前は、心透メイ。
そして俺のことを先輩呼びするのは、コイツの弟でもある心透光。
俺の昔からの幼馴染でコイツらも"発現者"だ。
「幼馴染をコイツ扱いは酷いんじゃないかな~?せめてメイって呼んでよ~。あるいはメイちゃんでも良いよ~」
「姉さんがいつもご迷惑を掛けてすみません!」
相当コイツに振り回されているんだろうな。
ヒカルからは苦労人の雰囲気がひしひしと伝わってくる。
念の為に言っておくが、俺は一言も声を発していない。
その証拠に、一度も括弧書きで俺のセリフは書かれていないぞ。
賢明な読者には、姉の方の超能力が何なのかもう分かっただろう。
コイツの能力は"相手の心の声を読む"ことだ。
「厳密に言えば、私の能力は相手が考えていることが何でも分かる読心能力でね~。しかもオンオフ自由自在だよ~」
だからこそ、俺が一言も喋らなくてもこいつは俺の考えていることが分かる。
というか、オンオフ機能なんて便利機能付きなら永遠にオフ状態にしといてくれねえかな!?
「えへへ、それほどでもあるよ~」
別に褒めてはいない、俺の心の声を丸裸にしようとするな。
「ちなみに、トオルが描いた絵を疫病退散のお守りとしてSNSにアップロードしたのも私だよ~」
俺の黒歴史拡散した犯人、オマエだったのかよ!?
「姉さんがまたご迷惑をお掛けしているみたいで、すみません!」
ヒカルはそこまで畏まらなくても良いぞ。
コイツが手遅れなのは君のせいじゃない。
コイツのセリフを書いた作者の語彙力とコイツの人間性が残念なだけだ。
ちなみに弟の方の能力の説明はここでは割愛する。
この先ピンチの展開を迎えたときに『実はこんな能力を持っていたのだ!』という伏線にすることが出来るからな。
作者が何も考えずに書いただけのメインキャラの一人という訳じゃないぞ。
「そろそろ、このキュートで可愛い美少女幼馴染のことを紹介しても良いんじゃないかな~?」
おい!『そろそろ』の意味が分からないぞ。
そもそも自分のことを美少女と言うのはどうかと思うんだが?
まあ確かに、こいつは可愛い部類に入るだろう。
黒髪に整った顔立ちに加えて、顔も小さく、天使のように愛くるしい瞳だ。シミ一つない肌は見ていて飽きない上、小動物の様な可愛さも備えている。
「えっ、トオル!?ちょ、ちょっと待って!?」
言いたいことをズケズケ言うが、それが逆にコイツの良いところでもある。
鼻に掛けない態度のおかげか男女共に人気だし、学校の外にもコイツのファンクラブがいくつもある。
「だ、だから私が悪かったから!!もう止めて!!?」
街中をコイツと歩いていると、モデルのスカウトと思われる奴らに何度も声を掛けられる。
ちなみに、毎回後腐れなく断っている。
「あっ、それは相手の人たちがみんな下心丸出しで近づいて来ているからだよ」
「姉さん、またトオル先輩の心を勝手に読んで…」
まあ、確かに相手の考えが読めるコイツの能力があれば大抵の奴らは相手にならないか。
しかし、コイツは口よりも先に手が出るタイプだし、胸は弟の光と見間違う位に断崖絶壁のつるペt、グホォォッッッ!!?
「ン?心ノ声ガヨク聞コエナカッタ、カナ?胸ガナンダッテ?」
「姉さん!?突然どうしたの!!?」
ボ、ボディーブローは流石に反則だろ…。
確かに今のは俺が悪かったが、いきなり暴力系ヒロインに転身するなよ。
『幼馴染ざまぁ』されたいなら止めたりしないが、既に流行遅れになりつつあるジャンルだぞ…。
「や、やだな~私は美少女系ヒロインだよ~」
「姉さん、その前にトオル先輩に言わなくちゃいけないことがあるんじゃないの?」
ヒカルがジト目でコイツのことを見ているな。
内心でコイツのことを貶した俺にも確かに非はあるが、直接的な暴力に訴えるのはどうかと思うがな。
そのうち、キャラのテコ入れされたり、新ヒロインと交代させられても俺は知らないぞ。
「トオル、本当にごめんなさい…」
珍しく真面目に反省しているようだな。
まあ、キャラの定まっていない第一話目だし大目に見るか。
それに、これだけコイツの特徴を挙げておけば、奇特な誰かにイラスト化して貰える可能性もあるだろうしな。
ちなみに、俺自身の身体的特徴を詳しく説明する気はない。
重厚感のある低音ボイスが特徴のナイスガイな杉〇ボイスの高校生とだけ教えておこう。
「トオル、よく分からないけど危ない発言は止めようね?」
そこまで危険な発言をした覚えはないんだが…。
「そもそもさ、その『第四の壁』ってホントにあるものなの?」
やれやれ、残り文字数も少ないのに、根本的な部分から話さなければならないのか。
それならまずは、俺がこの超能力を認識した最初のきっかけから話すとするか。
その前に読者の諸君には言っておかなければならないことがある。
俺は、少年漫画の主人公たちのような正義感の強いヒーローを目指す少年ではない。
俺は、推理小説の主人公たちのような機転の利いた頭脳を持つ頭脳派少年でもない。
俺は、人気作品の主人公たちのような面白味のある主人公でもない。
俺は、現実世界の読者たちを楽しませるような物語を上手く語れないかもしれない。
それでも俺の物語に興味を持ってくれたのならば、
面倒かもしれないが、ページ下にある『次へ>>』のボタンを押してみてくれ。
というわけで、次話から始まる俺の物語も楽しみにしてくれよな!





