夢の様な世界
「それで、俺はどういう経緯でここにいるんだ?俺にもわかるように説明してくれよ?」
もう泣き止んだらしい女の子に俺は質問をする。
「はい、ハルトさんはそちらの世界でいう魔法で眠っていました」
「………なぁさっきから気になってたんだけどそのハルトってのは俺のことか?」
「あ!そうでしたね、向こうでは確か…」
「外崎歩夢だ」
「そうでしたね。それで歩夢さん、あなたは魔法こちらの世界ではスキルと呼ぶものによって眠っていました」
やはり向こうではない特別な力があるのか。
「多分わかってると思いますけど、ただ単に眠っていただけではえりません。ちゃんとした理由があります」
そこまで話したところで女の子のお腹からぐぅーと言う音が聞こえた。
「……なにか作ろうか?一応料理は出来るし…ええと名前ってなんていうんだっけ?」
「あ、私はシャーロット・クレアっていいます」
「そうか、じゃあクレア食材はあるか?」
「はい、そこの氷漬けにしてあるやつです」
クレアが指を指した方向を見るとキッチンがありそしてその端の方に中学生が体操座りしたくらいの大きさの氷があった。
「……なぁクレア?お前料理とかってしたことは…」
「あの氷を削って食べています、いやーありがとうございます、あれ削るの大変なんですよ」
「とりあえず街に行こうか」
流石に肉や魚が入っているとはいえ、氷だけでは腹が満たされない為街へでかける事にした。
「ここから街までどれくらいあるんだ?」
窓の外は木や草などが生い茂っているのが見えた為流石にここが街ではないだろう。
「?何を言ってるんですか?目の前にあるじゃないですか」
「…は?目の前?木や草しかないけど」
もう一度外を見たが木と草しかなかった。
「その木と草の奥です。ここは自然の街ユグドラシル街はその草木の後ろにありますよ」
クレアがそう言うので、外に出て草木の奥へ行くとそこには巨大な木があった。
「これが…自然の街ユグドラシル。まさか木の上にあるとは」
そう、クレアが言っていた街とはユグドラシルと呼ぶ巨大樹にツリーハウスが大量にある街だった。
「けどあれどうやって登るんだ?」
「それじゃあ歩夢さん私に摑まってください」
「?まあいいけど何をするんだァァあぁ!?」
俺がクレアの手を掴んだ瞬間体が急速に空へ上がった。
「おいクレア!!何をしたんだ!?」
「何って魔法石を使ったんですよ。ここからの距離ならあと3個使えば着きますよ」
ユグドラシルの樹の全長が2キロくらいあるらしくそれを石3つで登れるそうだ。
「ハハ、まるで夢だな」
「夢じゃありませんよ。安心してください、私は急に夢が覚めて居なくなったり起きたら忘れてたりなんてそんな事にはなりませんから」
クレアに心配されてしまった。そんなことを考えていたらクレアがもう一つ魔石を使った。やっぱり風圧がすごい。
「もう少しですから、これでも薄いバリア貼って風圧半減してるんですよ?」
「そうだったのか、どうりで手を掴んでるだけなのに落ちないわけか」
そんな会話をしているともう半分くらいまで登っていた。
「どんなものがあるんだろうか」
「歩夢さん楽しそうですね!!」
「今までは殆ど面白くもない人生だったからな、せっかく夢から覚めたんだファンタジーを楽しまなくちゃな」
そして最後の魔石を使って街へはもうすぐだ。