表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

眠りからの帰還

その日は頭痛が激しかった。家に帰り、薬を飲みそしてベッドに入る。

ふとこんな事を考えた。もしこの生活が夢だったら、実は幻覚だったら。そんな中二病の様な事を考えてしまった。

毎日何かして、寝て起きての繰り返しをもう19年も続けていたらこんな事を考えてしまう

「あ、そういえば今日って俺の誕生日じゃん」

時間の感覚が狂っていた。せっかくの20歳になった日なのにもうどうでも良くなっていた。

「もう寝よう」

─さようなら今日の俺、明日もクソみたいな人生を続けてくれ。

俺の独り言は聞き入れてもらえなかったらしい。


「ゴホッゴホッ、クソ風邪か?」

昨日は頭痛も酷かったし、本当に風邪かもしれない。

「薬を飲まないと」

そんな事を言いながらやっと目を覚ますと、そこは俺の知っている、我が家の壁ではなかった。

「は?何だここは夢か?」

周りを見渡す、俺は何故か知らない家の知らないベッドに寝ていた。

「俺の家じゃ…無いよな。………外はどうなってる」

とりあえず外の確認をしようとした、まずベッドから下りようと、床に足をつけようとした、その時だった。

フニ、と何だが柔らかいものを踏んだ感触があった、まだ片足しか下ろしてなく、床を確認していなかった。

「なんだ?なにか踏んだか?」

俺は床を見た。するとそこには、女の子がいた。

黒髪ロングで服はあまり見ない感じの、まさにファンタジーって感じの服。だが、それ以上に目を引くものがあった。「耳」だ。

「この子……あれか「エルフ」ってやつなのか?」

何故か驚かなかった。これが夢だと思っているからか、それもあったが、この子のそばにいるととても落ち着いた。

「とりあえず、俺が寝てたベッドにでも寝かしておくか」

そう思い、ベッドに寝かせようと、抱えて俺が上に上げると、その子は「うーん」と言いながら、目を覚ました。

「寝てしまいました、ハルトさんの世話をしないといけないのに、不覚です」

女の子がそれを言い終えると、ようやく今俺に抱えられているのがわかったのか、俺を見てポカンとしていた。

「あ、あのこれはですね、別に誘拐しようとか、不法侵入とかじゃなくてですね、ただ単にあなたをベッドに寝かせようと─」

全力の弁解をしようとしていたが、最後まで言葉は出なかった。

女の子が急に抱きついてきたからだ。

「あ、あのー女の子に抱きつかれるのは、嬉しいんですけど…いったん離してもらっても、いいですか?」

応答には応じてもらえなかった。

「あれ?これもしかしてですけど、俺このまま警察に捕まっちゃいます?逃げないように捕縛されてます?」

「違います!!」

女の子は少々涙目になりながら、俺を見た。その目には涙だけでなく、何だが喜びや怒りなどが混じっていたのを俺は感じた。

「ハルトさん…やっと目が覚めましたか」

目が覚めた?ここは夢のはずじゃないのか?

「ここは夢じゃないのか?」

「ハルトさんには1から説明しないといけないことがたくさんあります。ですがもう少しこのままでいさせてください」

「分かったよ、でも分からないことだらけだ、後でちゃんと教えてくれよな」

女の子は無言で俺の肩に顔をうずめながら、首を縦に振った。

─ここが夢じゃないとしたら、俺が今まで過ごしてきた20年は一体何だったんだろうか。

少しの疑問を残しながら、俺はベッドに座った

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ