第1話「ある日、2次元のおもちゃになる」
「踊れよ、ゴキブリが如く3次元生命体共。
我ら2次元生命体の手のひらで。
死にたくなければ、我らが人気投票で生き残ってみせろ」
目の前に広がる、2次元の美少女達。
俺は今、まさに絶望の渦の中。この空間を何かに例えるなら、そう、まさに法廷だ。
証言台のような所に、多くの人間と共に俺は立ち尽くしている。
皆が口を開け、目を見開き、動揺を隠せない。
膝を突き項垂れる者もいれば、気が狂って笑い出す者もいる。
それも分かる話だ。
この証言席を囲うように設置されている、いわば傍聴人席・弁護席・検察席、そして裁判長席。
そこに居座るは、何処かで見たことのある、2次元美少女の群衆。
軽蔑する視線を向ける者、腹を抱えて笑う者、鼻で笑う者、その全てが俺達人間に対して「憎しみ」を突き刺す。
駆除される害虫かの如く、俺達は2次元美少女に見下されている。
奴らは言う、人気投票を実施すると。
俺達が生き残るには、奴らが実施する人気投票で勝ち残らなければならないと。
ここにいる人間達の命は、2次元美少女達の人気投票で消し飛ぶ。
だけど、俺は生き残る。
俺の右手に確かに残る、彼女の手の感触がそう奮い立たせる。
俺は、百子さんと共に、必ずこの絶望から抜け出してみせる。