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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
2.転生
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5.酸欠魔法


南門をくぐると目の前には、草原がひろがっていた。

南門から出た所の街道はすぐに右側(西側)に折れ、そのまま橋のような所まで続いている。

街道以外の場所は、草の背が高いので良く見えないが、川が流れているんだろう。

街道は、土を固めただけの街道で、馬車や荷車なども頻繁に通るのか、一部わだちが多い所もあるようだ。

町の外壁の周辺は草が刈りこまれているが、街道から南側はほぼてが入って無さそうで、俺の身長よりも高い草が生い茂っている。

その草の隙間から、森のような木々が見えるので、あれが目的の南の森なのだろう。


ヘビやオオカミか‥‥。

いったん、川に向かうかな。

ちゃんと水浴びしたいし、川魚が取れれば危険な森に行く必要もないし。

川までなら、街道も続いてそうだし、森に行くにしてもそんなに遠回りにならないだろう。

そこで、ヘビやオオカミに対策できるように魔法の検証をしておこう。


街道を進んで行くとやはり川が流れていた。

川の水量はそれなりにあり、ここから町の西側を通って、どこかの海にながれていってるんだろう。

ここが町よりも上流なので、水がきっと綺麗だ。

下流なら下水とか流れてるかもしれないしな‥‥。

川の幅は20メートルくらいかな。


橋のたもとから、川に降り川沿いに少し南に向かって歩いて行く。

川沿いとはいえ、ここも背の高い草が生えているのでヘビとか出るかもしれないとびくびくしながら、でも街道から見える所で水浴びしたくないと言うのもあって少し奥まった所まで来た。


ともかく裸になって川の中にザブンと入って体をこすっていく。

「うふぉ!冷て~!」

朝方とあって、水は少し冷たい。

まあ、すぐ慣れる。

もう、体の寒いのは取れているし、歩いてそれなりに体もあったまったしな。


かなり汚れてたみたいで、みるみる肌は白くなっていく。

ほんとに薄汚れてたな~。

さっき少し洗ったけど、まだまだ水の色変わるくらい汚れてるよ。

あ、髪だ。髪の毛がすっごい汚れているんだ。

髪の先でくくってた紐を外して、がしゃがしゃと洗ってみる。

「ああ、金髪だったんだ。」


絡まった上に汚れで固まって、どうしようもない所がある。

‥‥どうせ長すぎてうっとうしいし、切ってしまいたいな。

ここで魔法の実験も兼ねて切ってしまおう!

ん?でも、魔法で切るってどうするんだろ?


う~ん。切る魔法って‥‥風魔法的な?でも、真空って実際には切れないって言うし‥‥。

じゃあ、レーザーメスとか?‥‥髪切るのになんか違う物も切れてしまいそう。

う~ん、ウォーターカッター?ダイアモンドもこれで切るって言うしね。

って、これも別のとこも切れちゃいそう。


もっとシンプルに考えよう‥‥ナイフを作ろう!

イメージするナイフよりも少し大きめの石を拾って、ナイフな感じに削って行く。

この石を削るのに、刃物は要らないのに、髪切るのに刃物がいると言うのもなんだかおかしい気がするな。

石は、魔法で必要のない部分を粉にして行っている。

という事は、髪も粉にして行けば削れるんじゃないだろうか。

‥‥ナイフ作って一気に切った方が楽そう。

どうせ、森に入るならいるだろうしね。


髪切るなら、ハサミが良いんだけど、あれを石で作るのは多分難しそう。

ナイフの形に削った石を使って、今度は刃を切れるように魔法で研磨して行く。

‥‥これくらいで切れるかな?

「お!切れた。」

でも、あんまりまとめては無理っぽいな。

「いたっ!」

切れにくくなってきたので、ナイフを引いたり押したりしてたら、髪の毛が引っかかって痛かった。

ナイフを見ると、欠けてそこに髪の毛が引っかかって引っ張った感じっぽい。


石だとすぐに欠けちゃうなぁ。

もっと固く出来ないかな?

圧縮したりできればいいんだろうけど‥‥やってみるか。

新しく石を見繕って、削るんではなく圧縮してナイフの形を作って行く。


パキッ!

「あ‥‥圧縮し過ぎたのか。」


あるていど削って、ナイフっぽい形にしてそれから圧縮してナイフのちゃんとした形にした方がよさそうだな。

何度か試して、強度がそれなりになるまで何本か作った。

そんなに時間はかからなかったんだけど、この試行錯誤のおかげで、何となく石からの加工のコツみたいなのがわかった。


ナイフもでき上がったので、髪の毛を軽く引っ張りながら、後頭部くらいで髪の毛をバッサリとカットしてしまう。

さらに、前髪と横もそれなりにカット、これで再度川に入って髪をきれいにしていく。

さっぱりした!


鏡がないので、どんな感じになっているのかは、触った感覚だけなんだけどきっと大丈夫だろう。

町でも長い髪をしているのは、浮浪児と、女の人だけだったから、こんな髪型でも町で違和感はないだろう。

切れた髪を見ると、綺麗な金髪だぁ。


俺が、金髪の5歳の子になったのか‥‥。

町の人も白人顔ばっかりだったな。

そういえば、黒人の人とか黄色人種の人もいなかったな。

大航海時代のもっと前なのか?って、異世界か。

でも、黒人も黄色人種もいない事はないだろうから、船があまり発達していないのかもしれないな。


頭も洗って、上がったら服もかなり汚れてたのを忘れてた。

服と、マントのように羽織ってきた布も一緒に洗ってしまう。

これも、茶色の物だと思ってたんだけど、実際にはベージュくらいの色味の物だった。

汚れすぎ‥‥汚すぎ‥‥なにで汚れてたのかはあまり考えないようにしよう。

でも、水洗いだけで汚れが取れてよかったよ。


服を生えてた木の上に掛けて乾くのを待っている間に、狩の為の魔法を検証して行こう。

素っ裸だけど、ここなら誰にも見られない‥‥はず。


まず、狩りをするなら、前にやった石をエアガンのように打ち出すのが良さそう。

そのあたりの小石を魔法で持ち上げて、銃の弾のように削って、後ろに空気を貯めて・・・貯めて・・・打つ!


タァン!!

「おう!」

すっごい音が鳴ってしまった。

これはまずい。


こんな所でこんな音、普通は鳴らないよね。

門番や、街道を通っている商人とかに聞かれてそう。

人が来るとまずそうなので、服とマントを持って、裸のままで川沿いを森方面に移動する。

10分ほど移動して、周りの様子を見て‥‥誰も近づいて来てはなさそう。


服をまた、その辺の木にかけて魔法検証の続き。

「まずいな、石礫のエアガンはうるさすぎる。」


普通のエアガンレベルなら、きっと音はそれほどでもないんだけど、

獣を撃ち殺すほどの勢いで出さないとダメだろうから、さっきくらいの威力で考えると‥‥空気を一気に解放した瞬間に音が鳴っちゃう。

違う方法考えないとだね。


ほかに思いつくのは、定番ファイアーボール的な物かな。でも‥‥森で燃え移ったらどうするの?

とか、ファイアーボールって、そんな速度で獲物に当たるの?とか、獲物燃やしちゃっていいの?とか問題だらけだな‥‥。


ウォーターカッターというのもありか。デメリットは、水がないところで使えない。

これもまずいな。


ウインドカッター‥‥真空は切れないんだって。


ナイフを量産して、これを投げる要領で打ち出す方向か。

これなら、そもそも切れる物だから、打ち出しの威力はそれほどいらないので音は鳴らないか‥‥。

先にナイフを大量に作って持ち歩かないといけないと言う問題はあるけど‥‥。

面倒だし、重い荷物は持てない。


う~ん‥‥なんか根本的な間違えをしている気がする。要は、獲物を殺せばいいんだよね。

殺すとか狩りとかで考えて、いままで銃ってイメージだったけど、魔法があるのにわざわざ銃とか、何かを投げるとかする事なくない?


先に見つけて、一気に殺すができればいいので、そういう方向でかんがえてみよう。

一気に殺すには、頭をつぶす・心臓をつぶすがと言う手があると。

でも、魔法で直接これは出来なさそう。

魔法直接でも、持ち上げる程度はできるが、潰すまでは難しそう。


ならば‥‥呼吸ができないようにしてしまうのはどうだろう?

呼吸ができなければ、即死ではないが数分で死ぬだろう。


魔法で、空気中から水分だけ取り出したり、さっき井戸水から純粋な水だけ取り出したりできたんだから、空気中から酸素だけ取り出す事もできるはず。

酸素だけが無くなるって事は、呼吸はできるけど酸素が取り込まれないって事になるんじゃないか?

と言う事は、酸欠になっている事に気付かれずに酸欠起こさせて気絶もしくは死亡させられるんじゃないだろうか。

そして気絶していても、死亡していてもナイフで止めを刺すと。

何だか、せっかくの魔法なのにゲームとかのかっこいい感じでないのが残念だけど実利のみで。


方向性が決まったので、できるかどうかの検証と練習だ。

まずはできるのか。そして、どれくらいの時間で酸素をなくせるのか。さらにどれくらいの距離離れていてもできるのか。


できるのかと言う部分で言うとできた。

少し思ってたのと違うけど、魔法の触手を伸ばして球を作る。

その中から酸素だけ外に追い出すと言う操作で出来そうだ。

酸素が無くなるまでの時間は一瞬だった。

すっごい大きな球にすればもしかしたら時間がかかるのかもしれないけど、大人が入れるくらいの球でも一瞬だったので狩りする分には大丈夫だろう。

最後の距離なんだけど、これも見える範囲なら問題なさそう。

魔法の触手を伸ばしていって、そこで球を作って酸素を球の中から追い出す。


ただ、実際に球の中に入って確かめた訳じゃないので酸素が本当になくなっているかどうかは未確認。

後は実践してみるて、効果がなかったまた考えよう。


「では、獲物を探すとするか。」


森に向かって、歩き出そうとして‥‥。

「あ‥‥服着るの忘れてた。」

随分綺麗になった服を着こみ、石のナイフを腰に刺し、マントを装着して森に向かう。


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