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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
4.港町ウィダス
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20.西の盗賊調査(1)


「それに。。多分べったりと護衛する感じにはなりません。

ずっと一緒についていく感じではなく、少し離れて護衛する感じで考えてます。」

「それは。。どういうことです?」

「う~ん。その方が動きやすいんです。俺の姿が見えない方が何かと便利な事もあるでしょうし。

状況次第では合流しますけど、子供が一緒にいても盗賊除けにもならないですしね。あと・・・。」


俺は少し間を開けて、

「冒険者を疑ってます。先日、東の盗賊の退治をしてきました。盗賊は現役の冒険者でした。」

「確かに、冒険者が盗賊を行うという話はありますね。」

「最近は、特に町の治安が良くなって、東の森の獣の数も減ってると言う話もあり、

冒険者が利益を上げにくくなっているそうです。」

「なるほど。それで盗賊に身を落とすという事ですね。」

「悪い事に現役の冒険者なので、護衛の振りをしながら積み荷を確認して、

盗賊行為を行うなどもあり得るんじゃないかと思うんです。」

「無い話ではないですね。」

「という事で、今回雇う冒険者は本当に盗賊じゃないですか?

というのも含めて警戒したいと思ってます。

たしか、前回の冒険者は行方不明なんですよね?」

「たしかに、前回の冒険者は行方不明です。その前の時も冒険者2人しか死体は上がってません。」

「まあ、あくまで可能性でしかないんですけどね。なので護衛の冒険者だけで行けるのであれば、

俺はなにもせずに眺めて終わろうかと思ってます。

なのでついていくけど居ないものとして扱ってください。」

「かなり心強いと思いますが、いいんですか?今回も馬車を借りる事が出来なかったので、

ここからウィダスまでは、片道で3日程度かかります。結構な距離ですよ。」


「え?馬車って借りるものなんですか?」

「ええ。商業ギルドで借りる事が出来るのです。馬車なら途中1泊だけで着けるんですが・・・。」

「借りれないって、どういう事です?」

「そこが、レスリー商会ににらまれてる影響の一つです。

商業ギルドの会長をしているのが、レスリー会頭なので・・・。」

「なるほど。そんな所にも影響が・・・。ってすごい私怨ですね。公共の機関じゃないんですか?」

「公共だからって、力が働かないなんて事は無いという事です。」

「まあ、そうなんでしょうね。じゃあ、馬車買うって言うのは出来ないんですか?」

「馬がかなり希少なのですよ。

なので法律で個人で所有する事が許されているのは貴族様だけなのです。」

「そうなんですか。」

確かに、この世界では家畜系は、馬以外に見ない。

馬も、非常に珍しい。

獣や魔獣がいるので、それにやられちゃうのかな?

獣や魔獣を飼いならすとか出来ないかな・・・。


「じゃあ、ウィダス付いたら合流しましょう。観光してみたいので案内してください。」

「もちろんです。私の実家に泊まって、ゆっくり回りましょう。ウィダス料理をごちそうしますよ。」

「それは楽しみですね~。」

「明日の朝7時くらいには出発する予定です。」

「了解です。こっそり付いていくので、俺の事は気にしないでください。」

「分かりました。今回の冒険者は前回同様に、銀ランク2人と大銅ランク6人で構成しています。

あと荷車を引いて貰う1人です。」

「了解です。では、次会うのはウィダスの町でになりそうですね。・・・なにも無ければ。」

「そうですね。よろしくお願いします。」


いろいろ進みそうだな。

ほかの町なんて初めてだし、港町って言うから雰囲気もやっぱり違うのかな。

海か・・・潮の香か・・・魚取れるのかな・・・魚料理もいいなぁ~。

ウィダスにも拠点作って、入れるようにしたいな。

町中は難しくても、近所に地下部屋を作って移動出来るようにしておこう。

そしたら、魚がいつでも買いに行けるようになる。

アイカで動きにくくなったら、ウィダスに拠点を移すって事も出来るかもしれないな。


後は移動するのを、みんなに報告しないとダメだな。

体面的には町に戻る訳にはいかないから、1週間はアイカの町には行けない。

いっその事、納品系はクシェル達に任せるか。

ついでに、なんかの時の為にクシェル達にも大銅にはなっておいてもらおう。

ギルド証は持っててもらった方がいいからな。


俺は冒険者ギルドを出ると、クシェル達3人を連れて皮屋にいく。

今後はこの3人が皮を売りに来る事を伝えて、顔つなぎだけしておく。

ここでは、3人の靴も併せて買っておく。

あとは、3人用の綿の服を服屋に行って大人買いしてしまう。

結構な金額になったけど、必要な物だしな。

鎧や武器なども新調してあげた方がいいかとも思ったけど、ナイフだけ俺の作った物を渡して、

武器や防具は使う機会はないと思おう。


冒険者ギルドにも一言、言っておくか。

クシェル達には荷物だけ持ってそのまま帰ってもらい、冒険者ギルドに情報収集しに行く。

前に討伐の話もあったので状況を聞いておこう。


冒険者ギルドに着くと、そのままギルドマスターの部屋の前で面会の依頼を出す。

すぐに呼ばれ、ギルドマスターの部屋にはいり、

「ちょっと聞きたい事があるんですが。」

「ん?なんだ?」

「先日、西側の盗賊討伐も同時進行で行うって言ってましたけど、どうなりました?」

「結局、盗賊は発見できずに戻ってきてしまってるよ。」

「あらら。なにも手がかりもなしですか?」

「ああ。なにも手掛かりはつかめなかった。」

「それでもいいんです?」

「良い訳がない!だが、今までも何度が調査や討伐に人を出しているが、

まったく手掛かりがつかめないんだ。」

「あら。そうなんですね。情報は全くなし?」


「そうだな。行商で襲われた時、商人の死体や荷運び人、御者なんかの死体はあるんだが、

護衛の死体がほとんど上がらない。」

「護衛って、冒険者ですか?」

「護衛だけでなく、荷運びも冒険者登録はされている。戦力にはならないだろうがな。」

「戦力になる人がいなくなって、戦力にならない人が死んでるって事ですか?」

「まあ、そうだな。抵抗出来て逃げたにしては、こっちにも帰って来てない。

さらに、南西の森に狩りに行った奴らの中にも何人も帰って来てない奴がいる。」

「なんか冒険者の人攫い的な?」

「そんなのは無いだろうが、もしも攫ったとしたら生きてないだろうな。

人数は最低でも60人以上はいるはずだ。そんなに攫った後生かしておけないだろう。」


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