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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
4.港町ウィダス
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11.東の盗賊調査 救出(1)


平原の中を街道に向かって移動している一団を発見した。

あれ?盗賊ってどこかに隠れてるんじゃなくて、移動してる?。

人数は・・・15人だな。

ちょっと聞いていた数よりも少ない。


あ!もう1ついるな・・・そっちも15人か。

そっちは止まってるっぽいから、合計で30人・・・なんですけど・・・。

18人のはずが30名か・・・人数が多すぎるな。

今回の討伐隊では勝てないとまではいかないけど、戦力が拮抗しちゃってるんじゃないかな。


このまま戻ってこの状況だけを報告してもいいけど、遠征延期になるかもしれないよね。

人員をさらに集めるって話になるかも知れないから・・・。

それって、延期した時にもう1回俺が偵察しないといけないよね。

面倒だな・・・少し削っておけば、延期にならないかな?


削るとしたら、アジトの方の人員だろう。

平地を動いている方は、アジトから離れる方向に移動しているみたいだから、

今のうちにアジトに行ってしまおう。


アジトに向かって、移動して行くと平原の雑草の丈が大分高くなり、

大人の胸くらいまでの丈になってくる。

いくつかの巨大な岩が転がっている場所にたどり着いた。

その中でもかなり大きな岩が重なり合い、

その隙間部分が洞窟のようになっている場所を見つけた。

ここをアジトにしているようだ。


俺は、洞窟の脇から回り込み、洞窟の様子が見える場所に移動した。

見張りが入り口に2人立っており、洞窟の奥はここからだと見えない。

まだ、日は沈んでおらず外は明るい。

どうするかな・・・。

見張りを気絶させるのは簡単だけど、そのあと中の奴らをおびき出さないといけない。

それなら、いっそ見張りに、中の奴らを呼んでもらうのもありかな?。


叫び声出させればいいか。

ここで叫び声出させても、出ているメンバーはもうかなり遠い所に居る為、

聞こえないだろうし大丈夫だろう。

今回も殺さない方向って事だな・・・その辺りは、ブラントさんに任せよう。


外に2人と、中に13人だ。

「さて、始めるとするか。」

俺は、ローブのフードをかぶってから、見張りの若い男2人に酸欠を行う。

中から誰も出てくる気配はないので、そのまま2人の装備を奪って真空の膜で包み、

左足の神経を引きちぎる。

大声で、痛がっているが外にはまだ聞こえていない。


俺は洞窟脇の隠れていた場所に戻って、2人の真空の膜を解除する。

「があぁあああああ!」

大声が外に漏れ、洞窟の中にも聞こえてるだろう。

しばらく待って、中から誰か出てくるのを待つ。


サーチで見る限り、1人だけ動きがあるな。

こっちに向かって来ている・・・出て来た。

かなり若い、子供のような子だが、同じく酸欠にして気絶させる。

すぐさま同じように、装備を奪い、真空膜からの神経引きちぎりを行う。

子供のようだが武装もしていたので、やはり盗賊なんだろう。


中には、まだ12人残っているが、先ほどから動きが無い。

こいつの叫び声も、解放し周りに響かせる。

サーチで確認しても、動きがほとんどなく、12人が固まって待っている感じだ。


どうするかな・・・。

アイカで俺が襲った時の話を、聞いてたのかな?

同じ手を使ってるわけだしな・・・。

もしもそうなら、警戒して待ち伏せしている可能性もあるか・・・。


「仕方ない・・・乗り込むか。」

俺は、不意打ち対策に反射の魔法を自分にまとわせてから、洞窟の入り口まで向かう。

中は、かなり暗くランプなどが付いている気配も無い。

視力を暗闇で見えるように強化してから、中に入って行く。

洞窟は、通路上に奥に続いており、少し行くと大きな部屋のような場所に突き当る。

通路から、部屋を覗くと、人が数人こっちを凝視しているのが見えるが、

結構奥行きがあるようで良く見えない。

壁に伝いながら、ゆっくりと中に入って行くと、少しずつ見えてくる人は・・・裸だ。


・・・なるほど・・・そういう事か。

全員裸の女の人だった。

リルの言っていた、女が囚われていると言うのは、こういう事だったのか。

本当に、この世界の盗賊と言うのは、虫唾が走るような奴ばかりだな。

俺の姿が見えたのか、囚われてる女の人達は、緊張し怯えて警戒している。


「お前らが、不審な行動を起こさないのであれば、ここから助け出し、

身の安全を保障してやる。」

助けるって言葉なのか、身の安全って言葉なのかで、女の人達が体を固くして、

警戒してたのを多少緩めた。


「盗賊達はどこに行った?」

「・・・夕方、村に到着する商隊を狙って出かけて行ったわ。」

1人の女の人が、他の子をかばうように前に出て返事をしてくれた。

「なるほど・・・狩り中って事か・・・。」

見張りは倒して安全になったとは言え、裸の女の人をこんなに連れて、

俺1人で村まで戻るのは難しそうだな。

だからと言って、ここに残して「明日まで待っててね。」なんて言うのも言いにくい。


サーチしても、盗賊達の集団は、街道に獲物を探しに向かっているようで、

こちらに戻る素振りも無い。

もしも、急遽戻って来たとしても、2時間以上かかる距離に居る。

時間的にも余裕はあるし、ここの地下に退避出来る場所を作って、そこに匿うか。

それから衣服を用意して、連れ出す感じかな。


女の人達は、全員ロープでつながれていて、逃げる事が出来ないようにされている。

「大きなケガしているやつはいるか?」

「この子が・・・目御覚まさないの。あと、この子が足の骨が折れてる。」

こんな状態だし、大事にされている訳無いわな・・・。

怒りが湧いてくるが、そんな場合でも無い。


とにかく、目を覚まさないのは致命的だ。

目を覚まさないと言っていた、女の人に近づき、拘束していたロープを切り、

魔法を込めて、状況を把握する。

頭蓋骨が陥没しており、脳に血が溜まってかなり危険な状況だ。

それに、他にも数か所血が溜まっているから、日常的に頭を叩かれ続けた感じか。

他にも打撲など各所にあるが、そっちは後回しでもいいだろう。

「危険な状態だな・・・。」


俺は、その子の頭に手を置き、魔法を込めて行く。

俺の魔法を、その子の体の中に浸透させて行き、浸透出来た所で治療を始める。

脳に溜まった血液を取り出し、陥没した頭蓋骨を修復して行く。

治療の魔法もそれなりにかかるのだが、それよりも他人の体の中に魔法を通すのに、

時間がかかる。

特に、治療をする場合にはより多くの魔法を浸透させる必要があるので、

さらに時間がかかってしまうのだ。


10分くらい俺は、治療を行っていた。

傍から見たら、俺が頭に手を置いた状態で、10分くらい固まってたように見えたはずだ。

俺の事を、いぶかしげに見ている。

「よし。取り合ず致命的な部分は治療出来た。」


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