19.冒険者ギルド登録(7)
ギルドマスターの尋問・・・質問に答えていると、
扉がノックされて、さっきの人が戻って来てギルドマスターに荷物を渡した。
「ハルト、ギルド証が出来たので渡すぞ。」
そう言うと、俺に小さなカードを渡してくれた。
ギルド証には、俺の名前や年齢、ランクなんかの情報が書かれている。
「このギルド証に、血を1滴たらしてくれ。」
「血?」
「ああ。このギルド証は魔法具だ。
最初に魔力を登録した奴以外だと、内容を表示出来ないような仕組みになっている。
でも、魔力を込めて、魔力切れを起こして気絶されるのも面倒なので、
血を垂らしておく方法を取ってるんだ。」
おお!魔法具だ。身分証明だけ、無駄に近代的だ!
針を渡されたので、左手の親指をプチってして血を1滴垂らす・・・つもりだったんだが、
結構垂れた・・・。
血まみれになっちゃた。
若いって血液も豊富なんだね。
カードをギルドマスタが拭いてくれて渡してくれる。
俺が持ってる間は、名前とか出るが、机に置いて手を離した瞬間消えた。
不思議な感じで、結構楽しいかも。
「あとは、これだ。」
かなり装飾多寡な、銀で出来た派手派手ネックレスだ。
なんか怪しげだな・・・。
「これは?」
「大銀なると、一目で身分が見えないと困るので、これを付けて貰っている。」
そういえば、さっき戦った人も似合わない感じの、
銀で出来た派手派手のネックレスしてたな。
呪われそうだ・・・。
もしくは・・・居場所が判る魔道具とか・・・。
「いらない。」
「そう言うな。大銀は仕事柄、一目で大銀と分からないと困るんだ。」
「俺はきっと大銀の仕事はしないし、俺が大銀だと一目で分かるようになっていると、
逆にトラブルが増えそうな気もするし。」
こんな子供が、大銀だなんて宣伝して歩いてると、弱そうだと挑んで来る奴や、
金持ってそうなので、襲って奪おうとするやつとか、増えそうだ。
「・・・確かにそうかもしれないな。」
「それに、なんだかそれって魔道具とかになってて、
いろいろ縛られたりしそうだし・・・。」
「それは大丈夫だ。これはただのネックレスだ。」
その確証はないんだけど、どうやって安心すればいいんだろう。
「着けずに、貰うだけでいいですか?
それが安全って確認する方法がないので・・・。」
「まあ、そうだな。
俺が1回着けてみてもいいが、それじゃあ確証にはならないだろうしな。」
そう言いながら、ギルドマスターは自分にネックレスを付けて外す。
まあ、付けたら外れない呪いのネックレスではなさそうだな。
「大銀の場合、ギルド証を見せても良いんだが、ネックレスだけでも身分証明になるんで、
持ってるだけでも持っておけ。」
いただいて、バッグの中に入れ込むふりをして亜空間に収納。
ギルド証は、ローブの中に入れるふりをして、亜空間に収納。
「今日は、いろんな事が起こる日だな・・・。」
ギルドマスターがそうつぶやく。
「なにかあったんですか?」
「いや。町で大量の殺人があってな・・・。しかも冒険者がかなりの人数含まれてた。」
「あら・・・。治安悪いですからね。」
「まあ、その治安を悪くしてるやつらが中心なんだがな・・・。
抗争があったんじゃないかって話だ。」
「悪くしてたやつらですか?」
「そうだな・・・。お前も大銀になったから、関係あるかもな・・・。
冒険者の中で、いくつかグループが作られている。
元々は、人数を集めて、獣や魔獣を狩る為のグループだったんだが、
規模が大きくなってくると、それなりに勢力争いをしたり、狩り以外の活動も始まる。
その中で、まっとうに狩り主体でやっている所もあれば、
人の足を引っ張るようなグループも出てくる訳だ。
今回、死んでいた奴らは、全員同じグループに所属していて、
余り良い噂は聞かないグループだった。
いろんなグループとも、争っていたようなので、それらの抗争じゃないかって言うのが、
今の所の見方だ。」
「そんなグループを、ギルドは放置してるんです?」
「まあ、犯罪を犯すんじゃなければ、冒険者ギルドとしては、積極的に関与はしないさ。
治安維持は衛兵の仕事だからな。」
「なるほど。」
「お前も巻き込まれないように注意しろよ。」
「はい。」
なるほどな・・・そういう感じになったのか。
扉がノックされ、さっきの解体の担当者が入って来た。
「マスター。」と、言いながらギルドマスターに耳打ちして、木板を渡す。
「グリズリーベアの査定が終わった。
やはり最高級の結果だった。金貨2枚で買い取ろう。」
金貨出ちゃいました・・・。金貨1枚は100万円なので、200万か・・・。
この世界に来た時には、金貨なんて俺には、関係ない貨幣だと思ってたんだがな。
「交渉はしちゃっていいんですか?」
「・・・いや。これでも今後に期待して、それなりにのせてるんだがな。」
「了解です。じゃあ、それでお願いします。」
ここでこのギルドマスターが、目先の金額ケチって、
俺の不評を買う必要はないだろうから、大丈夫なんだろう。
話をしている限り、この人それなりにしたたかそうだし、頭も悪くなさそうだ。
「じゃあ、金貨2枚と、荷車の借用の返金の大銅貨7枚だ。」
「確かに。」
「あと、冒険者登録料、大銅ランク、銀ランク、大銀ランクの昇格料が必要なんだが、
これはこっちでサービスしておく。」
「ありがとうございます。」
「今回の金は、ギルド口座に振り込んでおく。」
「了解です。」
ギルド口座か・・・。すぐにおろしてもいいけど、使わない事だし、
しばらく預けておくか・・・。
それで、ギルドの運営も回ってるだろうしな。
これで、今日の大きな目標は達成出来たかな。
ギルド口座の分も含めて、現在のお金は、
銅貨 : 61枚
大銅貨 : 72枚
銀貨 : 15枚
大銀貨 : 25枚
銅貨100円換算で、272万8,100円になった。
これだけあれば、しばらくはお金に困らなさそうだ。
でも、日本で考えると、貯金が3百万足らず事か・・・。
今は、6人家族になってしまっているので、もう少し貯める必要があるかもなぁ~。
俺が動けなくなるってパターンは、あんまり考えたくないけど、
魔法が突然使えなくなるってパターンは、少しは考えておかないといけないよな。
この魔法はこの世界でも異常みたいだし。
もう少しがんばるか・・・。
ギルドマスターに挨拶して、冒険者ギルドから外に出る。
今日の残件は、買い物だけだな。
いろいろ買いたい物があるので、一気に行ってみよう!
まず、前にハーリさんに連れてきてもらった服屋さんに来た。
俺の事を覚えてくれていたみたいで、素直に買い物させてくれた。
前回も、それなりに買ったし、今回も大量に買い込んだので、上機嫌で対応してくれた。
俺、アリス、ジャック、ミーア用の子供用の平民服を2着ずつ購入した。
あと、マディとリルの平民服をそれぞれ2着購入。
下着も綿の物を5着ずつ6人分で30着購入。
あと、綿のシーツを洗い替えも含めて8枚購入。
それに、綿のタオル的な物を10枚に、
バスタオルに使えそうな大き目のタオルも10枚ほど購入。
他に、裁縫道具も売ってたので、裁縫道具と、綿糸それに綿布をいくつか購入しておく。
銀貨33枚の所を、大銀貨2枚(20万)まで負けて貰って購入
綿の生地高すぎる・・・。
お店の人も大量購入過ぎて驚いてた。
2日前には、銀貨1枚をケチってたからな・・・。
手持ち
銅貨 : 61枚
大銅貨 : 72枚
銀貨 : 15枚
大銀貨 : 23枚
銅貨100円換算で、252万8,100円になった。




