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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
3.襲撃
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6.襲撃の理由


リーダーらしき男を、壁にもたれさせて、座った体制にしてから、頭を蹴って起こす。

「どういうことか教えてもらえるかな?」

俺は冷めた声で、男に話しかける。


「だ、誰だ!」

「お前達が探してた相手だと思うが。」

「お前が、ガキか!」

目隠しをしてるので見えないだろうがね。


「で・・・お前たちの目的が知りたい。」

「目的は・・・。お前をぶっ殺す事だ!」

「ふ~ん。そんな事の為に、こんな何人も手伝ってくれたのか?」

「依頼だったんだよ!パン屋の奴が、自分の女を依頼料として依頼してきたんだ。」

マジか・・・本当にごみだな。


「で・・・その女1人で、命をかけて、どころか今死にかけてるのは理解できるかな?」

「お前みたいなガキに俺を殺せるわけがないだろうが!」

「そう?今ナイフでお前の首筋を撫でるだけで、死んじゃうんだと思うんだけどな。」

サバイバルナイフを首筋に軽く当ててあげる。


「・・・。」

「もうちょっと素直に話して貰えれば、生きてられるかもしれないけどな。」

「・・・。パン屋の話だと、お前がかなりの金を持ってるって話だった。

それに、パン屋に依頼料として女とその親の全財産貰ったからな。」

「親の金?」

「ああ。この女を攫う時に、親も皆殺しにして金をいただいて来たんだ。」

ああ・・・。パン屋もごみだし、こいつらもごみだな。


「なるほど。理解したよ。生きてる価値ないな。」

「ま、まて・・・。話したんだからいいだろ。」

そんなべたな話の流れはいらないな。

酸欠で気絶させ、拘束してたロープと目隠しを回収してから、

真空の膜で包んで、こいつの両足の神経を引きちぎる。


今回も殺さなかった・・・。殺せなかったわけではない。

心底ムカついてる。感情的には殺したいって本気で思う。

だが、あえて殺さない、生きて苦しめって言う感情なのかもな。


逃げ道を塞いでおいた裏口を元に戻しておく。

現場を調査された時に魔法の痕跡を残したくない。


女2人はどうするかな?

状況的には同情の余地があるので、話を聞いてからだな。

ここであまりに長くいるのも問題だし、とりあえず倉庫まで移動してしまうか。

ジャックの治療の続きもしたいしな。


倉庫につながる、亜空間の入り口を出して、ジャックと女2人を亜空間内に入れ俺も入る。

倉庫に移動して、ジャックの治療にとりかかる。

女2人は、ロープに縛った状態のまま、壁にもたれかけて座らせておく。


顔の骨の骨折の治療、左腕の骨折の治療、各所の打撲など治療していく。

治療の最中に、女2人の気が付いたようだ。

「ここは!?」

「なにが起こったの?」

「落ち着け。今の所危害を加えるつもりはない。」

女達は、思いのほか素直におとなしくなった。


「状況の説明をしてやろう・・・。パン屋の家にいた所までは覚えてるな?」

「はい。」

「その男たちは俺が全滅させた。」

「!!」

「で、お前達を連れて来た。

協力的であれば、そのまま解放してやってもいいと思ってる。

その為の目隠しだ。理解できたか?」

「はい。」

「先に子供の治療をしてしまう、そのまま待ってろ。」


まずなによりもジャックを治療して、ミーアの所に連れて行ってあげよう。

治すのに30分くらいかかったが、ケガ自体はほぼ大丈夫だろう。

ただ血が大分流れたみたいで、安静が必要だろうと思われる。

酸欠とは関係ないとは思うが、まだ気絶したままだ。

かなりひどい扱いをされた事で、ショックも大きいはずだ。


ジャックを魔法で持ち上げ、亜空間経由で地下部屋に移動する。

「お兄ちゃん!!」

ミーアが叫びながら、俺の元に駆け寄ってくる。

「ケガをしてたので、まだ気絶している。ベッドに寝かせてあげよう。」

魔法で、そのままジャックをベッドに乗せる。

「アリス、ミーア、看病をお願い出来るかな。体とかも拭いてやってほしい。」

「判った。」

「それと、倉庫でまだ残ってる用事があるのでそれだけ終わらせて来るよ。」

「気を付けてね。」

「もう、危ないのは終わったから片づけするだけだよ。」


再び、倉庫に戻って女たちの話を聞く。

「さて、話を聞かせてもらおうか。

お前たちを連れて来たのは、お前たちの知っている情報を聞きたかったからだ。

まず名前を聞こうか。」


「リルです。」

リルと名乗ったのは、身長はかなり低く、10代前半から中ごろくらいの人のようだ。

髪の毛は、腰近くまで伸びており、体全体が汚れている。

髪の毛も、浮浪児だった時の俺のように汚れて、汚れで固まってる所があるくらいだ。

ずっと裸で生活しているのか、体全体が汚れているって感じだ。


「マディです。」

マディと名乗ったのは、パン屋の嫁の方だ。

10代後半と言った年齢だろうか。

髪は肩よりも長いくらいのロングにしている。

リルとは違い、髪の毛も体も汚れていないようだ。

まあ、昨日まで実家で暮らしていたようだしな。


「じゃあ、まずはリル。お前はなんでここにいるかを話せ。」

「私は・・・私の住んでた村は盗賊に襲われてほぼ全滅しました。

盗賊に攫われ、そのまま盗賊のアジトで暮らしてました。

1年くらい経って、移動するとの事でここに連れてこられました。」

「あいつらが、盗賊だったって事か?」

「はい。」


リーダー的な男の装備の中に気になる物があった。

冒険者ギルドのギルド証だ。

「あのリーダー的な男も、盗賊だったって事か?」

「はい。私はあいつに気に入られて、ここに連れてこられたんだと思います。」

「冒険者ギルド証を持っているが、冒険者が盗賊か・・・。」

「ほかにも、冒険者は多くいました。」

なるほどな・・・。一部冒険者は、盗賊も兼業してるって事か。

冒険者ギルドの闇は、深いのかも知れないな。


「あの男が、盗賊のリーダーだったのか?」

「いえ・・・。幹部の1人ではあったと思うのですが、誰かに指示されてたようです。」


「盗賊団の人数的な物は判るか?」

「人の入れ替わりが激しくって、全員で何人いたのかは判らないです。

でも、30人以上はいると思います。」

はあ・・・。まだ残ってる感じなんだな。

そういえば、応援呼びに行ってたやつもいたっけな。

まあ、俺の姿を見た奴はいないので、情報としては男女2人の浮浪児ってだけだろう。

俺が見つかる可能性は低いけど、男女2人組の浮浪児が無差別に狙われるのは嫌だな。


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